2026年2月4日午前、ベトナム・ホーチミン証券取引所(HoSE)のVN-Indexは、大型株の急落に引きずられ1800ポイントの節目を3度目の割り込みとなった。しかし市場の実態を詳しく見ると、指数の下落幅ほど全体が悲観に染まっているわけではなく、資金は上昇銘柄に偏って流入する「積極的な二極化」が進行している。
大型株4銘柄だけで約20ポイントの下押し
午前終値でVN-Indexは前日比18.79ポイント安(-1.04%)の1794.61ポイントとなった。しかし、この下落の大部分は特定の大型株に起因する。ビングループ(VIC、ベトナム最大の複合企業体)が-5.66%、ベトコムバンク(VCB、国内最大手の国有商業銀行)が-1.25%、ビンホームズ(VHM、不動産最大手)が-5.45%、そしてビンパール・レジャー(VPL)が-6.34%と急落し、これら4銘柄だけで指数を約20ポイント押し下げた。言い換えれば、指数全体の下落は大型株の売り圧力がほぼすべてを説明できる構図である。
VN30指数は比較的底堅い展開
主要30銘柄で構成されるVN30指数は-0.5%の下落にとどまった。内訳を見ると11銘柄が上昇、16銘柄が下落と、ある程度の「まだら模様」が見られる。上昇組では、鉄鋼最大手のホアファット(HPG)が+6.17%と急騰し、証券大手SSIが+3.4%、化学大手DGCが+2.8%、リエンベト郵便銀行(LPB)が+1.08%と堅調だった。ただし、これらの銘柄は時価総額が相対的に小さく、指数への寄与度は限定的である。下落側では、前述の大型株に加えてベトジェット航空(VJC)が-3.81%、ビンコム・リテール(VRE)が-3.35%、IT大手FPTが-1.35%と値を下げた。
1800ポイントは心理的節目、売り崩しは発生せず
VN-Indexが1800ポイントを下回るのは今回で3度目であり、投資家心理を試す重要な局面となっている。この水準が維持できなければ、追随的なパニック売りを誘発し、相場全体の調整が深まるリスクがある。一方で、二極化が進み上昇銘柄への資金流入が続く限り、指数の変動とは切り離された物色が継続する可能性も高い。
午前終値時点の騰落銘柄数は144銘柄上昇/166銘柄下落とほぼ拮抗している。しかし資金面では明確な偏りがある。1%以上上昇した78銘柄がHoSE全体の売買代金の41.4%を占めた一方、1%以上下落した66銘柄は19.4%にとどまった。上昇銘柄全体の売買代金シェアは54.3%に達し、下落銘柄の41.6%を大きく上回っている。
HPGに外国人買いが殺到、売買代金2250億ドン超
この日最も注目されたのはホアファット(HPG)の急騰である。午前中だけで売買代金は2250.8億ドン(約13億円相当)に膨らみ、株価は+6.17%と急伸した。これは2025年4月の「関税ショック」時の底値から反発して以来、1日の上昇率としては最大となる。外国人投資家が総売買高の39%超を買い越しており、買い越し金額は762.2億ドンに達した。HPG以外にも、売買代金100億ドン超かつ上昇率+1%以上の銘柄が13銘柄存在し、個別株への選別物色が活発であることを示している。
証券セクターに資金流入、エネルギー・物流株も堅調
セクター別では証券株の強さが際立つ。SSI(+3.4%)、VCI(+1.79%)、HCM(+1.46%)といった主要銘柄が大商いとなり、中小型のPHS、AAS、SHS、MBSも2%以上の上昇を記録した。証券セクター全体で1%以上上昇した銘柄は約20に上る。
このほか、ここ数日堅調な動きを続けている個別株も注目される。発電大手POW(+2.1%)、製油所運営BSR(+1.46%)、港湾VSC(+1.35%)、建設・発電PC1(+2.53%)、石油タンカーPVT(+3.88%)、工業団地SZC(+5.42%)、ゼネコンVCG(+1.3%)などがいずれも売買代金100億ドンを超えて推移している。
下落銘柄は「Vinグループ+FPT+VCB」に集中
一方、下落銘柄の売買代金上位はVinグループ関連(VIC、VHM、VPL)、FPT、VCBで占められており、売り圧力が特定の大型株に集中していることが分かる。1%以上下落した66銘柄のうち、売買代金が100億ドンを超えたのは19銘柄にとどまり、KBC(-1.19%)、GEX(-2.27%)、GEE(-1.7%)、VTP(-1.29%)、PDR(-1.13%)などがわずかに目立つ程度である。
外国人は小幅売り越しも、HPGのみ大幅買い越し
HoSEにおける外国人投資家の売買動向は、午前終値時点で138.8億ドンの小幅売り越しとなった。ただし内訳を見ると、HPGが突出した買い越しとなった一方で、VIC(-165.3億ドン)、FPT(-134.1億ドン)、VHM(-119.5億ドン)、VCB(-95.5億ドン)、VPB(-88.4億ドン)、ACB(-77.5億ドン)、BID(-57.8億ドン)など大型株が軒並み売り越しとなっている。外国人投資家も大型株から資金を引き揚げ、個別の成長株へシフトする動きを強めている可能性がある。
日本企業・投資家への示唆
今回の相場動向は、VN-Indexの指数変動だけでベトナム株式市場を評価することの危うさを示している。指数は大型株の影響を色濃く受けるため、個別銘柄や中小型株への選別投資を行う日本の機関投資家にとっては、むしろ好機となり得る。とりわけ鉄鋼や証券、エネルギー関連といったセクターへの資金流入が続くかどうかが、今後の市場センチメントを占う鍵となろう。午後の取引で押し目買いが入り、上昇銘柄がさらに勢いを増すようであれば、「指数」と「実態」の乖離が一段と鮮明になる展開も予想される。
出典: VnEconomy












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