【ベトナム観光革命】Crystal Bay Airlines が仕掛ける「質重視」戦略──フーコック・ニャチャン・ダナンの観光地が抱える課題と新たな解決策

Crystal Bay Airlines: Đổi mới du lịch Phú Quốc, Nha Trang, Đà Nẵng?

ベトナムの主要リゾート地であるフーコック島、ニャチャン、ダナンが、観光客の「量」から「質」への転換を迫られている。こうした中、「レジャー航空」という新たなビジネスモデルを掲げるCrystal Bay Airlines(CBAir)が、従来の観光戦略に一石を投じようとしている。

目次

「便数増加=観光発展」という幻想からの脱却

ベトナムでは長年、地方自治体が観光振興を語る際、航空便数と観光客数の増加を最重要指標として掲げてきた。しかし現実には、「便数が増えても、観光地の経済的価値が比例して高まるわけではない」という課題が浮き彫りになっている。

フーコック島(ベトナム最大の島でカンボジア沖に位置するリゾートアイランド)、ニャチャン(南中部の代表的なビーチリゾート)、ダナン(中部最大の都市で近年急成長を遂げた観光都市)といった人気観光地が真に必要としているのは、単なる観光客数の増加ではない。安定した客足、長期滞在、そして高い消費額を持つ「質の高い観光客」の獲得である。

ベトナムのビーチリゾートが抱える構造的問題

ベトナムの沿岸リゾート地は、長年にわたり深刻な構造的問題を抱えてきた。最大の課題は「季節変動の激しさ」と「短期滞在客への依存」である。

ハイシーズンには観光客が殺到する一方、オフシーズンには急激に客足が落ち込む。この結果、以下のような悪循環が生じている。

第一に、雇用の不安定化だ。ホテルやレストランは繁忙期に大量採用し、閑散期には人員削減を余儀なくされる。第二に、サービス品質の維持困難である。年間を通じた高品質なサービス提供が難しくなる。第三に、客単価の低迷だ。観光客数は多くても、一人当たりの消費額は伸び悩んでいる。

ロシア・中央アジア・モンゴル市場の可能性

一方、ロシア、中央アジア諸国、モンゴルといった遠方市場の観光客は、全く異なる特性を持つ。これらの地域からの旅行者は、パッケージツアーを利用し、7泊から14泊という長期滞在を好む傾向がある。ビーチリゾートでの休暇、グルメ体験、スパ・ウェルネス、各種アクティビティに積極的に消費する。

こうした顧客層を取り込むためには、単発的で散発的なチャーター便ではなく、計画的かつ安定した輸送能力の確保が不可欠となる。ここにCrystal Bay Airlinesの存在意義がある。

「レジャー航空」という新発想──航空と観光地の一体運営

Crystal Bay Airlinesが提唱する「レジャー航空(Leisure Airline)」モデルの核心は、フライトスケジュールを独立して設計するのではなく、観光地の受け入れ能力と完全に同期させる点にある。

CBAirは単に座席を埋めることを目指すのではなく、現地の「エコシステム全体」を稼働させることを目標としている。ホテルの客室、レストラン、エンターテインメント施設、スパ・ウェルネス、そして長期滞在型の体験プログラム──これらすべてが航空輸送と連動して計画される。

この統合的アプローチは、フーコック、ニャチャン、ダナンにとって複数の重要なメリットをもたらす。まず、観光客の流入が季節を通じて平準化され、ピーク時の過密とオフシーズンの閑散という極端な変動が緩和される。また、滞在期間の長期化により、地元企業は観光客一人当たりからより多くの価値を引き出せるようになる。

現地消費の最大化──オールインクルーシブの経済効果

レジャー航空と連携したオールインクルーシブ型パッケージツアーでは、航空券代金はパッケージ全体のごく一部に過ぎない。収益の大部分は、宿泊、飲食、エンターテインメント、ヘルスケアサービスといった、まさに観光地で提供されるサービスから生まれる。

これは「来て、すぐ帰る」短期滞在モデルと比較して、地域経済への波及効果が格段に大きい。滞在期間が10泊から14泊に延びると、観光客一人当たりの総消費額は従来型ツアーと比べて30〜50%増加するとされる。この恩恵は観光事業者だけでなく、農産物、食品、物流、サービス業の労働者に至るまで、地域のサプライチェーン全体に及ぶ。

雇用の安定化と人材育成への好影響

見落とされがちだが極めて重要な効果として、地域労働市場への影響がある。安定した観光客の流入は、宿泊施設やサービス事業者が年間を通じて営業を継続できることを意味する。繁忙期だけ採用してオフシーズンに解雇するという慣行から脱却できる。

これは単に収入の安定化にとどまらない。従業員が長期的に勤務することで、スキルの向上とサービス品質の改善が可能になる。ベトナムの観光産業が抱える人材育成の課題解決にも寄与する。

さらに長期的視点では、観光客数と収益の予測精度が向上することで、インフラ投資、サービス開発、新商品開発に関する意思決定がより確実なものとなる。従来の「季節に賭ける」ような投機的判断から、計画的な成長戦略への転換が可能になる。

航空会社を超えた「観光地経営」の視点

より広い視野で見ると、CBAirは単にフーコック、ニャチャン、ダナンへの航空便を増やすだけの存在ではない。より重要なのは、航空会社、ツアーオペレーター、観光地が一体となった計画的な観光客誘致の仕組みを持ち込んでいる点である。

航空が観光地開発戦略の「外部要因」ではなく「内部構成要素」となることで、地方自治体は観光の質的向上、シーズンの長期化、経済的価値の地域内還流を主体的にコントロールする手段を得る。

この観点から見れば、CBAirがベトナムのビーチリゾートにもたらす最大の貢献は、航空便数ではない。それらの航空便をいかに活用して地域観光を持続可能な方向へ再構築するか、という発想の転換そのものにある。

日本企業・投資家への示唆

この動きは、ベトナムの観光産業に関心を持つ日本企業や投資家にとっても注目に値する。従来の「観光客数至上主義」から「観光客の質と滞在価値の最大化」へのパラダイムシフトは、投資判断の基準を変える可能性がある。

フーコック島は近年、外国人投資家にも開放された不動産市場や、免税措置などの優遇政策で注目を集めている。ダナンは日本からの直行便も運航され、日系ホテルの進出も進んでいる。こうした市場において、「高付加価値観光」を支えるインフラやサービスへの需要は今後さらに高まると予想される。

Crystal Bay Airlinesの取り組みは、ベトナム観光業界における新たな潮流の象徴として、今後の展開が注目される。

出典: Vn Economy

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