【歴史的快挙】ベトナム南北高速道路が全線開通──2025年、3,000km超の大動脈が国を変える

2025: Hành trình nối thông cao tốc từ Bắc tới Nam

2025年12月19日、ベトナムのインフラ整備史上、画期的な節目が刻まれた。中国国境に近い北部カオバン省から、最南端のカマウ省までを結ぶ南北高速道路が、ついに全線開通を果たしたのである。総延長は目標の3,000kmを上回り、約3,800km(本線3,345km、取り付け道路458km)に達した。これはベトナム建国以来、最大規模の国家インフラプロジェクトの完成を意味する。

目次

20年分を5年で──驚異的な建設スピード

トラン・ホン・ミン建設相が明かした数字は衝撃的だ。2001年から2010年の10年間で完成した高速道路はわずか89km。2011年から2020年でも約1,200kmにとどまった。ところが2021年から2025年のわずか5年間で、それまでの20年間の合計を2倍以上上回る距離を一気に建設したのである。ベトナム交通・建設史上、類を見ない建設ペースだ。

ファム・ミン・チン首相は同日開催された記念式典で、「これらの道路はコンクリートと鉄鋼だけでなく、国民の信頼、責任、そして発展への渇望によって築かれた」と述べ、現場で汗を流した労働者たちへの敬意を表した。第14回党大会を前に、ベトナム共産党にとっても大きな政治的成果となった。

コロナ禍という逆風の中での建設

特筆すべきは、この大規模プロジェクトが新型コロナウイルスのパンデミックによるサプライチェーン断絶という最悪の条件下で進められた点だ。レ・クエット・ティエン建設経済・投資管理局長によれば、第1期の南北高速道路建設では、投資手続き、用地取得、建設資材の確保、資金調達、施工業者の動員など、あらゆる面で「システム的なボトルネック」が露呈した。

この教訓を踏まえ、第2期では各種手続きの並行処理が認められた。設計審査を「ローリング方式」で処理し、完了した部分から順次着工する手法により、従来の準備期間を大幅に短縮。国家重要プロジェクト指導委員会と建設省が現場に張り付き、「問題が起きた場所で即座に解決する」原則を徹底した。

現場では文字通り「眠らない工事現場」が出現した。管理者、技術者、作業員が現場に泊まり込み、投光器に照らされた夜間工事が連日続いた。進捗は会議室で決まるのではなく、基礎工事の足元で一つひとつの障害を克服することで達成されたのである。

3.2kmの山岳トンネル──技術の結晶

南北高速道路の難所の一つが、クアンガイ~ホアイニョン区間である。デオカ・グループのグエン・クアン・フイ社長によれば、この区間には大規模な山岳トンネルが複数あり、中でも全長3.2kmの「第3トンネル」は、ハイヴァントンネル、デオカトンネルに次ぐ国内第3位の長さを誇る。

当初、同社は工期48カ月を見込んでいた。しかしチン首相から「他の全区間が12月に開通するのに、この区間だけ遅れたらどうするのか」と問われ、工期短縮を決断。通常は両端からの2方向掘削だが、トンネル内空間を拡張して機材を増強し、掘削箇所を増やす工法を採用。1回の掘進距離を1~3mから4~6mに伸ばすことに成功した。

乾季の施工中、山中の地下水不足という問題にも直面したが、「トンネル施工における水の循環利用」という独自技術を開発。使用済み水を濾過・再利用し、90%以上の循環率を達成した。仕上げ工程では、通常の4セットではなく10セットの型枠を交互配置し、コンクリート打設時間を最短化。この手法は今後のトンネル工事にも横展開される予定だ。

建設資材という「隠れた戦場」

高速道路建設の成否を分けたのは、実は建設資材の確保だった。ベトナム人民軍第12兵団のグエン・バー・ドアン政治主任は、「ベトナムには土、石、砂、砂利が豊富にあるが、採掘許可手続きの遅れが資源の活用を妨げている」と指摘する。同兵団は400km以上の高速道路建設を手がけてきた経験から、「資材を早期に確保できた現場が決定的な優位に立つ」と断言する。

カントー~カマウ高速道路では、資材問題の早期解決により予定より早く工事を完了。一方、フオンタイン投資会社が手がけたヴンアン~ブン区間では、ザン川に黄砂は豊富にあるものの、許可された採掘量が実際の需要に対して少なすぎ、当初の技術計画を変更せざるを得なかったという。

民間資本の台頭と2030年への展望

今回の高速道路整備で注目すべきもう一つの変化は、資金構成の転換だ。国家予算に対する民間資本の比率が明らかに上昇しており、これは政治局決議第68号に基づく「民間経済発展」の方針がインフラ分野でも具体化しつつあることを示している。

ベトナム政府は2030年までに高速道路網を5,000kmに拡大する計画を掲げている。建設省はこのネットワークが国家物流の基盤となり、郊外の都市化を促進し、経済全体の競争力を高めると期待している。政治・経済・国防の各面で戦略的意義を持つこのインフラは、ベトナムの中長期的成長の「背骨」となる存在だ。

日本企業への示唆

南北高速道路の全線開通は、ベトナムに進出する日本企業にとっても大きな意味を持つ。これまで南部と北部の工業団地間の陸送には時間とコストがかかっていたが、高速道路網の整備により、サプライチェーンの効率化が期待できる。また、沿線地域の開発が進むことで、新たな投資先や消費市場が生まれる可能性もある。

ベトナム政府が示した「官民連携」「手続きの並行処理」「現場主義」という建設手法は、今後の大型インフラプロジェクトにも適用されるだろう。鉄道、空港、港湾など、ベトナムが計画する次なるインフラ整備においても、同様の手法が採用される公算が高い。

出典:VnEconomy

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