イランがホルムズ海峡で通行料を徴収開始、1隻200万ドル─ベトナム含む新興国への原油・LNG供給リスクが浮上

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世界のエネルギー輸送の大動脈であるホルムズ海峡で、イランが一部の商業貨物船に対し非公式の通行料を課し始めたことが、ブルームバーグの報道で明らかになった。1隻あたり最大200万ドルという巨額の「通行料」は、原油価格が1バレル100ドル前後で推移する中、世界のエネルギー安全保障とサプライチェーンに新たなリスクを突きつけている。ベトナムを含むアジア新興国にとっても、エネルギー調達コスト上昇という形で直接的な影響が及ぶ可能性がある。

目次

ホルムズ海峡で何が起きているのか

ブルームバーグが複数の関係筋から得た情報によると、イランはホルムズ海峡を通過する一部の商業船舶に対し、1航行あたり最大200万ドルの非公式な通行料を設定した。ただし、すべての船舶に一律に適用されているわけではなく、一部の船舶がすでに支払いを行ったとされる。支払いに使用される通貨の種類や、徴収の具体的な仕組みは現時点で不明であり、体系的な料金制度が整備されているわけでもないという。

この動きの背景には、2月28日に米国とイスラエルがイランに対して軍事行動を開始したことがある。イランはその報復措置として、ホルムズ海峡の封鎖を宣言。開戦からおよそ4週間が経過した現在、海峡を通過できた船舶はごく少数にとどまり、その大半はイラン関連の船舶である。一部の船舶はイラン沿岸に沿った航路を利用して通過しているとみられる。

ホルムズ海峡の戦略的重要性

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾(アラビア湾)とオマーン湾を結ぶ幅わずか約33キロメートルの狭い水路である。世界で消費される原油および液化天然ガス(LNG)のおよそ5分の1がこの海峡を通過するほか、食料、金属、その他の物資も大量に輸送される、文字通り世界の海上交通の「チョークポイント(要衝)」である。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった湾岸アラブ産油国は、自国の原油輸出をホルムズ海峡に大きく依存してきた。現在は代替パイプラインを活用して海峡を迂回する動きも出ているが、パイプラインだけではホルムズ経由の輸送量を完全に代替することは不可能であるとされる。

湾岸アラブ産油国にとっては、非公式であれ通行料が課されること自体が受け入れがたい。これは単なるコストの問題ではなく、主権、前例、そして重要な貿易航路が「武器化」されるリスクに関わる根本的な問題であると、関係筋は指摘している。

インドの反発とモディ首相の動き

開戦以降、ホルムズ海峡を通じてペルシャ湾からLNG輸送船4隻を出航させたインドは、3月24日に明確な立場を表明した。国際法はホルムズ海峡の自由通航を保障しており、いかなる国もこの航路の使用に対して料金を課す権限を持たないという主張である。

インドのナレンドラ・モディ首相は、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談でイランとの戦争について協議したことを明かし、「ホルムズ海峡が開放され、安全でアクセス可能な状態にあることは全世界にとって不可欠である」とSNSに投稿した。エネルギー輸入大国であるインドにとって、ホルムズ海峡の安全確保は国家的な最重要課題の一つである。

イラン議会は通行料の「制度化」を模索

関係筋によると、イランはホルムズ海峡の通行料徴収を戦後の和平合意の一部として正式に制度化する構想を打ち出している。先週にはイランの国会議員が、各国がホルムズ海峡を安全な輸送航路として利用するためにイランに対価を支払うべきだとする提案を議会が推進中であることを明らかにした。

これは、国際法で保障されてきた「国際海峡の自由通航権」に真っ向から挑戦するものであり、仮に制度化された場合、世界のエネルギー貿易の構造そのものが変容する可能性を孕んでいる。

投資家・ビジネス視点の考察──ベトナム経済と市場への影響

ベトナムは急速な工業化と経済成長に伴い、エネルギー輸入への依存度を高めている。特にLNGについては、バリアブンタウ省のティバイLNG受入基地をはじめとする大型プロジェクトが進行中であり、中東・湾岸地域からの調達ルートの安全性は今後ますます重要になる。ホルムズ海峡の通行リスク上昇は、LNG調達コストの増加を通じて、ベトナムの電力コストや製造業の競争力に間接的な影響を及ぼしうる。

原油価格が100ドル/バレル近辺で高止まりしている状況は、ペトロベトナム・ガス(GAS)やペトロベトナム・パワー(POW)といったベトナムのエネルギー関連上場銘柄にとって追い風となる面もある一方、ペトロリメックス(PLX)やベトナム航空(HVN)のように燃料コストが収益を圧迫する企業にとってはマイナス要因である。

ベトナムに生産拠点を持つ日系企業にとっても、輸送コストの上昇やサプライチェーンの遅延リスクは注視すべきポイントである。ホルムズ海峡の不安定化が長期化すれば、海上輸送保険料(戦争リスクプレミアム)の上昇を通じて、ベトナム発着の海上物流コスト全体が押し上げられる可能性もある。

2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げについては、直接的な影響は限定的であるものの、世界的な地政学リスクの高まりが新興国市場全体のセンチメントを冷やす展開となれば、格上げに向けた海外資金流入のペースに影響が出る可能性も否定できない。

いずれにせよ、ホルムズ海峡をめぐる情勢は流動的であり、今後の米・イラン間の停戦交渉や、インド・中国といったアジアの大口エネルギー需要国の外交的対応が、原油・LNG価格の方向性を左右する最大の変数となる。ベトナム市場に投資する立場からも、中東地政学リスクの動向を日々フォローすることが不可欠である。


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出典: 元記事

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