ゲアン省が産業クラスター開発の課題解消へ本腰――71カ所・約2,659ha計画の実現に向けた取り組みと残る壁

Nghệ An tháo gỡ vướng mắc trong quản lý, phát triển cụm công nghiệp

ベトナム中北部に位置するゲアン省(Nghệ An)が、地域経済の成長エンジンと位置づける「産業クラスター(cụm công nghiệp)」の管理・開発をめぐり、山積する課題の解消に乗り出した。2025年3月11日、同省人民委員会は関係部局や地方行政機関を集めた会議を開催し、インフラ整備の遅れや用地確保の困難、行政手続きの煩雑さといった問題への具体的な対応策を協議した。

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71カ所・約2,659haの壮大な計画

ゲアン省はベトナムで最大の面積を誇る省であり、ホーチミン市の故郷としても知られる。近年は南北高速道路やヴィン(Vinh)国際空港の整備が進み、製造業の投資先として注目度が高まっている地域である。

2023年9月15日付の首相決定第1059号により承認された「ゲアン省計画(2021~2030年、2050年までのビジョン)」では、同省内に合計71カ所の産業クラスターを整備する方針が盛り込まれた。総計画面積は約2,658.58haに及ぶ。産業クラスターとは、ベトナムにおいて工業団地(khu công nghiệp)よりも小規模な産業集積地を指し、主に地方部における中小企業の集積と雇用創出を目的として各省が整備を進めているものである。

現状:23カ所が稼働、稼働率75%

現時点で設立済みの産業クラスターは31カ所、総面積約924.37haである。このうち11カ所は民間企業がインフラ投資の主体となっており、残る20カ所はかつて県級人民委員会が投資主体として整備したものである。

実際に稼働しているのは23カ所で、面積は604.68ha。ここに257件の投資プロジェクトが入居しており、平均稼働率(入居率)は約75%に達している。これら産業クラスター内の企業群は合計2万5,689人の雇用を生み出しており、平均月給は約750万ドンとなっている。ゲアン省は全国的に見ると賃金水準が比較的低い地域であるが、地方部の農業収入と比較すれば安定した現金収入を得られる就業機会として、地域住民にとって大きな意味を持つ。

産業クラスター内企業の年間総売上高は約4兆5,000億ドンに上り、国家財政への貢献額は年間約3,750億ドンに達している。地方財政の基盤が脆弱なゲアン省にとって、産業クラスターの税収貢献は無視できない規模である。

立ちはだかる課題――インフラ未整備と行政の壁

しかしながら、計画の進捗は順調とは言い難い。会議では多岐にわたる課題が報告された。

計画間の不整合:建設計画や土地利用計画と、産業クラスター開発計画との間に整合性が取れていないケースが散見される。産業クラスターの開発方針を変更・追加するには省全体の計画を修正する必要があり、投資需要に機動的に対応できていない。

国有産業クラスターの管理問題:国が投資した産業クラスターでは、技術インフラの未完成・不統一、投資進捗の遅れが深刻である。消防設備の共同整備が行われていないクラスター、環境影響評価が未承認のクラスター、集中排水処理施設が未建設のクラスターが存在する。ベトナムでは近年、工業排水による環境汚染が社会問題化しており、排水処理施設の欠如は今後の操業許可にも影響しかねない重大な問題である。

主な原因として、行政改革の一環で導入された「二層制地方政府モデル」のもと、管理主体が県級から社(xã)級人民委員会に移管されたものの、社級行政には対応資金(マッチングファンド)を確保する財政的余力がないことが挙げられた。老朽化したインフラの補修・維持管理も滞っている。

民間投資クラスターの遅延:民間企業が投資主体となっている産業クラスターでも、インフラ整備の進捗が計画を大幅に下回っている。用地収用(立ち退き補償)の長期化、土地交付・賃貸手続きの煩雑さ、プロジェクト履行保証金の預託手続きの遅延が主因である。さらに、送電網への接続手続きや関連する法的手続きも遅れがちであるという。

管理主体の移管問題:社級人民委員会が管理する産業クラスターを民間のインフラ運営企業に移管する作業も難航している。賃貸可能な残余工業用地が限られている上、産業クラスターのインフラ資産(公有資産)の移管に関する中央政府からの具体的なガイドラインが未整備であることが障壁となっている。

省政府が打ち出した対応策

会議を主宰したゲアン省人民委員会のフン・タイン・ヴィン(Phùng Thành Vinh)副主席は、以下の方針を各機関に指示した。

第一に、商工局が関係部局・地方行政と連携し、2021~2030年省計画における産業クラスター開発方針を見直し・調整すること。計画の整合性を確保し、投資・生産ニーズに的確に対応できる体制を構築する。

第二に、各社・坊(phường)級人民委員会は、旧県級人民委員会が投資主体であった産業クラスターのインフラ資産を速やかに引き継ぎ、管理・運営を担うこと。同時に、投資家によるインフラ建設や関連手続きの円滑化を支援する。

第三に、各地方行政は財源を確保し、特に集中排水処理施設の整備を最優先課題として取り組むこと。環境保護要件の充足、公共サービスの維持、インフラの保全・補修を徹底する。

第四に、民間のインフラ投資主体に対しては、資源を集中させ法的手続きの迅速化とインフラ建設スケジュールの厳守を求めた。

さらに、省は中央政府の新たな政策が打ち出された段階で、2021年の省議会決議第22号(工業・手工業振興に関する支援策)の改正・補完を検討する方針も示した。投資環境の魅力を高め、特に環境基準を満たす排水処理施設への投資を民間に促す狙いがある。

日本企業への示唆――ゲアン省の産業クラスターは投資先として有望か

ゲアン省は、ハノイから南に約300km、ダナンから北に約470kmに位置し、ラオスとの国境にも接する交通の要衝である。人口は約340万人とベトナム全省で最多級であり、豊富な若年労働力が強みだ。月給750万ドン(日本円換算で約4万円台)という水準は、ハノイやホーチミン市近郊の工業団地と比較して大幅に低く、労働集約型産業にとっては魅力的なコスト構造といえる。

一方で、今回の会議で浮き彫りになったように、インフラの未整備、排水処理施設の欠如、行政手続きの遅延といったリスクは依然として大きい。特に環境規制が年々厳格化するベトナムにおいて、排水処理施設のない産業クラスターへの入居は、将来的な操業停止リスクを孕む。日系企業が進出を検討する際には、個別クラスターのインフラ整備状況や環境対応の進捗を慎重に確認することが不可欠である。

ゲアン省が計画する71カ所の産業クラスター構想は、現在の31カ所から倍以上に拡大する野心的なものだ。省政府が課題を正面から認識し、対策に動き出したことは前向きな兆候であるが、財政基盤の弱い地方行政がどこまで実効性のある施策を打てるかが今後の焦点となる。中央政府による制度的支援や、民間資本の呼び込みがカギを握るだろう。

出典: Vn Economy

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