ベトナム中北部に位置するゲアン省(Nghệ An)で、高速道路、港湾、エネルギー施設など複数の大型インフラプロジェクトが本格的な施工段階に入ろうとしている。2026年2月25日午後、同省の重点プロジェクト指導委員会が会議を開催し、各プロジェクトの進捗状況を確認した。時間的制約が厳しい中、用地取得と住民の移転補償が成否を分ける鍵となっている。
戦略的インフラプロジェクトに集中投資
ゲアン省は、ベトナム全63省・中央直轄市の中で最大の面積を誇り、ホーチミン元国家主席の生誕地としても知られる歴史的に重要な省である。同省の省都ヴィン市は、南北を結ぶ交通の要衝であり、今回進められている複数のプロジェクトは、同省のみならずベトナム中北部全体の経済発展に大きな影響を与えるものだ。
ヴィン~タインティ高速道路については、フィージビリティスタディ(事業化調査報告書)の最終化作業が急ピッチで進められており、計画通りに進捗している。2026年4月30日の着工が予定されており、省人民委員会は関連部局および地方行政機関に対し、用地補償と収用作業に集中するよう指示を出した。各地方では、土地利用現況の確認、資産の棚卸し、補償・支援・移転計画の策定が進められるとともに、住民への説明会や同意取得のための広報活動も強化されている。
南北高速鉄道に関しては、正式なルートがまだ確定しておらず、事業主体による用地境界杭の設置も行われていないため、地方行政機関は影響を受ける世帯の棚卸しや補償計画の策定に着手できていない状況だ。ただし、各地方は先行して土地の分筆・測量図の承認準備、補償案の検討、移転用地の整備などを進め、着工スケジュールへの対応に備えている。
既存空港の滑走路延長プロジェクトは、空港敷地内の工事については概ね予定通り進んでいる。しかし、敷地外の用地取得、特に国防用地や国防施設の移転に関しては、移転・原状回復の方式について関係機関間で合意に至っておらず、遅延が生じている。地籍測量作業は現在最終段階にある。
クアロー深水港(Cảng nước sâu Cửa Lò)の建設・運営プロジェクトは基本的に予定通り進捗している。クアローはゲアン省の主要な港湾都市であり、深水港の整備によって大型船舶の寄港が可能となり、同省の物流機能が大幅に強化される見通しだ。
一方、国道46号線ヴィン~ナムダン区間の拡幅プロジェクトでは、用地引き渡しで問題が発生している。一部の住民が補償金を受け取ったにもかかわらず土地の引き渡しを行っておらず、2026年1月15日の期限までに用地確保が完了しなかった。
クインラップLNG火力発電所は、2026年4月30日の着工に向けた準備作業が進行中である。また、ホーチミン主席生誕地であるキムリエン社に位置する「ホーチミン主席記念特別国家遺跡区」内の文化・歴史観光プロジェクトでは、インフラ工事を担当する建設業者の選定作業が行われている。
用地取得が進捗の鍵を握る
国境地域の寄宿制一貫校建設プロジェクト(全10校)については、すべての学校で補償・支援・移転計画が策定・承認された。現在、4校分が建設局での審査中、6校分が財務局での審査を経て権限ある機関の承認待ちとなっており、2026年2月中に完了する見込みだ。
バンモン貯水池(Hồ chứa nước Bản Mồng)の第1・第2期用地補償・住民移転工事は、貯水池エリア全体の用地取得を含む主要項目が完了した。分断された生活道路の復旧などの付帯工事も予定通り進んでいる。
省行政センター建設プロジェクトについては、建設局が建設省および関係機関の意見を聴取するための書類を作成中である。ヴィン市の2030年までの総合計画(2050年までの展望を含む)およびヴィン~クアロー大通り両側の分区計画の部分修正承認を目指しており、2026年2月末までの完了を予定している。また、ヴィン市気候変動適応型都市開発・優先インフラプロジェクトの各項目も実施中だ。
会議では、キムリエン、ナムダン、ホアンマイ、フンギエンの各地方指導者が用地取得の進捗状況と直面している課題を報告した。財務局からは、東南経済区内の工業団地インフラ用地取得状況についても説明があった。
省党書記が指導力を発揮
会議を総括したゲアン省党委員会書記兼指導委員会委員長のグエン・カック・タン氏は、各機関・部局、特に用地取得業務に携わる担当者の努力を評価しつつ、改善が必要な課題を明確に指摘した。
タン書記は、重点プロジェクトが省の経済社会発展にとって持つ意義を強調し、各部局・地方に対して困難を果断かつ柔軟に解決するよう求めた。用地取得こそがプロジェクト進捗を左右する決定的要素であるとの認識を示し、各地方には移転用地の主体的な整備を、プロジェクトルート上に施設を持つ各機関には期限内の移転・引き渡しへの協力を指示した。
国防用地に関わる箇所については、省軍事指揮部が地方と連携して用地取得を実施する。農業・環境局には土地関連の問題解決を、財務局には各プロジェクトへの十分な資金配分を担当させた。建設資材の採石場確認や工事現場の治安維持についても、一体的に取り組むよう指示が出された。
日本企業・投資家への示唆
ゲアン省で進む一連のインフラ整備は、同省の投資環境を大きく改善する可能性を秘めている。高速道路の開通は物流コストの削減に直結し、深水港の整備は輸出入の効率化をもたらす。LNG火力発電所の稼働は、安定的な電力供給という製造業にとって不可欠な条件を整えることになる。
一方で、今回の会議でも明らかになったように、ベトナムにおける大型プロジェクトでは用地取得が常に最大の課題となる。補償金を受け取りながら土地を引き渡さない住民の存在や、国防関連施設の移転調整の難航など、日本では想定しにくい問題が発生することも珍しくない。ベトナムへの投資や事業展開を検討する際には、こうした「用地リスク」を十分に織り込んだスケジュール策定が求められる。
ゲアン省はホーチミン主席の故郷として国内外からの注目度が高く、政治的にも重要な地域である。今後、インフラ整備の進展とともに、日系企業を含む外国投資の誘致活動も活発化することが予想される。
出典: Vn Economy
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