トランプ大統領が医薬品に100%関税、金属関税も再編―ベトナム製造業への影響は

Tổng thống Trump áp thuế quan dược phẩm, điều chỉnh thuế quan với nhiều kim loại
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2026年4月2日(木)、米国のトランプ大統領が輸入医薬品に最大100%の関税を課す大統領令を発出するとともに、鉄鋼・アルミニウム・銅に関する関税体系を大幅に再編した。ちょうど1年前の「解放の日」関税から始まった通商政策の大転換は、最高裁による違憲判決を経てもなお新たな形で継続しており、ベトナムを含むアジアの製造拠点に波及する可能性がある。

目次

医薬品関税の概要―最大100%、条件次第で段階的に軽減

トランプ大統領は国家安全保障調査の結果に基づき、外国の製薬企業が特許で保護された医薬品(いわゆるブランド薬)を米国に輸出する際、以下の二つの条件を同時に満たすよう求めた。

  • 米国政府との間で処方薬の価格引き下げに関する合意を締結すること
  • 製造拠点を米国内に移転すること

米政府高官によれば、両条件を完全に満たした場合のみ関税は免除される。製造の一部のみを米国に移転した場合は20%、いずれの条件も満たさない場合は100%の関税が課される。大手製薬企業には120日、中小メーカーには180日の猶予期間が設けられた。

ただし、この関税はすべての国に一律に適用されるわけではない。既存の通商協定に基づき、EU(欧州連合)、日本、韓国、スイスからのブランド薬には最大15%の上限が設定された。また、米英間では別途合意が成立し、英国製の医薬品は少なくとも3年間免税となる。英国はその間に米国内での生産を段階的に拡大する計画である。

金属関税の再編―課税基準を「米国市場価格」に変更

同日、トランプ大統領は鉄鋼・アルミニウム・銅に関する関税についても大幅な見直しを発表した。主な変更点は以下の通りである。

  • これら金属の加工製品に対する関税を従来の50%から25%に半減
  • 金属含有量が重量の15%未満の製品は関税を完全免除(例:ステンレス製の小さな刃が付いたデンタルフロス容器など)
  • 原材料としての鉄鋼・アルミニウム・銅には従来通り50%の関税を維持
  • 一部の産業機器・送電網設備については2027年末まで関税を50%から15%に引き下げ、データセンター建設や産業生産能力の拡大を支援

特に注目すべきは課税基準の変更である。従来は企業が申告する輸入価格に基づいて関税が計算されていたが、今後は米国内市場での金属販売価格が基準となる。米政府は、企業の申告価格が実態より低く設定されてきたと指摘しており、実質的な増税効果が見込まれる。これらの変更は米国東部時間4月6日(月)午前0時01分に発効する。

背景―「解放の日」関税から最高裁違憲判決、そして新たな関税へ

今回の措置が発表されたのは、ちょうど1年前の2025年4月2日にトランプ大統領が「解放の日(Liberation Day)」と銘打ち、ほぼすべての貿易相手国に10%〜50%の相互関税を課した記念日にあたる。この関税は国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠としていたが、2026年2月に米最高裁判所が「大統領にはIEEPAに基づく関税賦課の権限はない」と判断し、違憲と判決した。下級裁判所は米税関・国境警備局(CBP)に対し、既に徴収した約1,660億ドルの関税の返還計画を策定するよう命じている。

アナリストらは、今回の医薬品・金属関税が、この最高裁判決によって失われた税収の一部を補填する狙いがあると分析している。一方、米商工会議所(U.S. Chamber of Commerce)の政策責任者ニール・ブラッドリー氏は「医薬品への新たな複雑な関税体系は、米国の家庭の医療費を押し上げる」と警告。金属関税の変更についても、消費者物価の上昇と製造業・建設業・エネルギー産業へのさらなるコスト圧力を懸念した。

他方、米国鉄鋼製造業者協会のフィリップ・ベル会長は、金属派生製品リストの「合理的な調整」と価格算定方法の変更を歓迎し、関税がより適切な対象に課されることで米国鉄鋼業の回復を支援すると評価した。米通商代表のジェイミソン・グリア氏も「相互関税は歪んだグローバル貿易体制の『リセットボタン』だった」と述べ、企業の米国内工場建設や貿易相手国の譲歩を促す効果があったと主張している。

なお、イランとの軍事的緊張によりエネルギー価格が高騰している中での今回の追加関税であり、米国の消費者・企業にとって二重の負担となる可能性が指摘されている。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム製造業への影響:ベトナムは鉄鋼製品や金属加工品の対米輸出国であり、原材料ベースの鉄鋼・アルミに50%関税が維持される一方、加工製品は25%に引き下げられた点は、ベトナムの加工・組立型輸出企業にとってやや追い風となる可能性がある。ホアファット・グループ(Hòa Phát、ベトナム最大手の鉄鋼メーカー、銘柄コード:HPG)やホアセン・グループ(Hoa Sen、銘柄コード:HSG)など鉄鋼関連銘柄は、製品構成によって影響が異なるため注視が必要である。

医薬品関税とベトナム:ベトナムの医薬品対米輸出は現時点では限定的だが、近年ジェネリック医薬品のCMO(受託製造)拠点としての存在感を高めつつある。EU・日本・韓国・スイスには15%上限の優遇措置があるのに対し、ベトナムにはこうした特別枠がないため、今後の米越通商交渉の行方が重要となる。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSEによるベトナムの新興市場指数への格上げは、米国の関税政策とは直接的にリンクしないものの、貿易環境の不透明感が高まれば外国人投資家のセンチメントに間接的に影響し得る。格上げ期待で流入する資金の持続性を見極めるうえで、米越間の通商関係の安定は重要な前提条件である。

日本企業への示唆:日本の製薬企業は15%上限の恩恵を受けるが、ベトナムに生産拠点を持つ日系メーカーが米国向けに出荷する場合、ベトナム原産として扱われれば100%関税の対象となりかねない。サプライチェーンの原産地管理が一層重要になる局面である。


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出典: 元記事

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