ハノイ一等地の28階建てビルを巡る買収劇――キンバック社が327億ドンの利益を計上、その背景とは

Kinh Bắc lãi hơn 300 tỷ đồng khi mua tòa nhà trên đất vàng Láng Hạ

ベトナムの大手不動産デベロッパーであるキンバック都市開発総公司(Tổng công ty Phát triển Đô thị Kinh Bắc、以下キンバック)が、ハノイ中心部の「一等地」として知られるランハー(Láng Hạ)通りに位置する28階建てビルの事業主体の株式99%を取得し、この取引を通じて327億ドン(3,270億ドン)の利益を計上したことが明らかになった。首都ハノイの不動産市場が依然として高い関心を集めるなか、今回の大型案件はベトナム国内外の投資家から注目を浴びている。

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取引の概要――ランハー通りの「黄金の土地」

今回キンバックが取得したのは、ハノイ市ドンダー区(Đống Đa)ランハー通りに立地する28階建て複合ビルの開発事業者の持ち分99%である。ランハー通りはハノイ中心部を南北に走る主要道路の一つで、周辺には政府機関、大使館、高級マンション、オフィスビルが集積する。ベトナムの不動産業界では「đất vàng(黄金の土地)」と呼ばれる超一等地であり、ここに大型物件を確保すること自体が極めて大きな資産価値を持つ。

キンバックはこの株式取得により、帳簿上327億ドン(原文では「hơn 300 tỷ đồng」=300億ドン超、正確には327億ドン)の利益を認識した。これは取得価額と当該事業体が保有する資産の公正価値との差額、いわゆる「負ののれん(バーゲン・パーチェス・ゲイン)」として計上されたものとみられる。つまり、実質的な資産価値に対して割安な価格で買収に成功したことを意味する。

キンバックとはどのような企業か

キンバック都市開発総公司(ホーチミン証券取引所上場、ティッカー:KBC)は、1990年代から北部ベトナムを中心に工業団地・都市開発事業を展開してきた大手デベロッパーである。特にバクニン省やハイフォン市などで大規模工業団地を開発・運営しており、サムスン電子をはじめとする外資系製造業の誘致で知られる。近年は工業団地事業で蓄積した資金力を背景に、ハノイやホーチミン市の都心部における商業・住宅不動産への投資を積極的に拡大してきた。

同社の創業者であるダン・タイン・タム(Đặng Thành Tâm)氏はベトナムの著名な実業家であり、国会議員としても活動する人物だ。キンバックは近年、業績の変動が大きいことでも知られるが、優良な土地資産を多数保有しており、市場からは「含み益の大きい企業」として評価されてきた。

ハノイ中心部の不動産市場の現況

ハノイの中心部、とりわけドンダー区やバーディン区(Ba Đình)、ホアンキエム区(Hoàn Kiếm)といったエリアでは、再開発に適した大型用地がほぼ枯渇しつつある。新規供給が極端に限られるなか、既存の大型ビルや開発プロジェクトの所有権が売買される「M&A型」の取引が増加している。今回のキンバックの案件もまさにこの流れに沿ったものであり、土地使用権を直接取得するのではなく、プロジェクト会社の株式を取得するスキームが採用された。

ベトナムでは土地使用権の譲渡に高額な税負担や煩雑な行政手続きが伴うため、事業会社ごと買収する「株式取得方式」が不動産取引の主流となっている。この手法は税務上の効率性が高い一方で、取引の透明性に対する懸念も指摘されており、ベトナム政府は規制の強化を模索している段階である。

日本企業・投資家への示唆

ハノイ中心部の不動産は、ベトナムの経済成長と都市化の進展を背景に、長期的な資産価値の上昇が期待される分野である。日本からも住友林業、野村不動産、三菱地所といった大手デベロッパーがベトナム市場に参入しており、とりわけハノイ・ホーチミン市の都心部プロジェクトへの関心は高い。

一方で、今回のようなプロジェクト会社の株式取得を通じた間接的な不動産取引は、デューデリジェンス(資産査定)の難易度が高く、法務・税務リスクの精査が不可欠である。ベトナムの不動産関連法規は改正土地法(2024年施行)をはじめ大きな転換期にあり、日本企業がこの市場に参入する際には、現地の法律・会計の専門家との連携がこれまで以上に重要となるだろう。

まとめ

キンバックによるハノイ・ランハー通りの28階建てビル案件は、首都の超一等地における不動産M&Aの典型的な事例である。327億ドンという利益計上は、同社が割安な条件で優良資産を手中に収めたことを示しており、ハノイ中心部の不動産に対する市場の旺盛な需要を改めて浮き彫りにした。ベトナム不動産市場のダイナミズムと、その裏にある制度的な課題の双方に注目していく必要がある。

出典:VN Express

いかがでしたでしょうか。今回のキンバックによるハノイ一等地ビル買収について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

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