ベトナム南部の経済動脈として期待される高速道路「ビエンホア~ブンタウ」の開通が2026年3月末に迫る中、ベトナム高速道路投資開発総公社(VEC)が、本線開通前の段階で既存の高速道路上に仮の料金徴収体制を敷く方案を提案した。車両の出入り管理と収入漏れの防止を両立させる狙いだが、拡幅工事中の区間との兼ね合いから渋滞リスクも指摘されており、関係当局の調整が急がれている。
VECが提案した「仮料金徴収」の中身
VECは、建設省傘下のプロジェクト管理委員会85(PMU85)に対し、ビエンホア~ブンタウ高速道路の本線が供用開始される際に、既存の「ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路」上で仮の料金徴収を行う方案を文書で提出した。
VECの説明によれば、仮料金徴収を実施するためには、まず料金徴収エリアの技術インフラを同期的に完成させる必要がある。具体的には、ガントリー(門型フレーム)、基礎杭、吊り桁などの構造物を完工し、ETC(ノンストップ自動料金収受システム)の設置に即座に対応できる状態にしなければならない。さらに、ETC機器の設置を担う施工業者が円滑に作業できるよう、技術的条件を整えることも求められている。
加えて、ビエンホア~ブンタウ高速道路上のすべての開放ポイント(正式な料金所が未設置の接続ランプを含む)を閉鎖し、車両の出入りを厳格に管理することが不可欠だとしている。これは、仮開通段階で料金を支払わずに高速道路を利用する車両が発生し、収入が漏れることを防ぐための措置である。
国道51号インターチェンジ付近の渋滞リスク
建設省は、ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路の国道51号インターチェンジ料金所に「無料通行レーン」を1車線設け、ビエンホア~ブンタウ高速道路への接続車両を通すよう指示していた。しかしVECは、現時点でこの措置を実施すると渋滞を引き起こす恐れがあると警告している。
その理由は、ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路が現在拡幅工事の真っ最中であり、特に国道51号インターチェンジ料金所のCランプ付近が工事の影響を受けているためだ。複数の車両の流れが交差し、交通衝突が生じるリスクが高まっている。
VECは対策として、PMU85に対し、Cランプ手前の区域に路面標示、バリケード、案内標識、硬質分離帯などによる車線誘導システムを追加設置するよう要請した。さらに、国道51号料金所からロンタインインターチェンジまでの区間に硬質分離帯を設置し、料金所通過後に誤った方向へ進む車両を物理的に防止することで、収入漏れと交通事故の両方を抑止する考えだ。
VECの提案では、Cランプからビエンホア~ブンタウ高速道路への接続は、渋滞緩和のための緊急時に限り、機能部隊(交通警察など)の誘導のもとでのみ許可されるとしている。
2026年3月30日の第1期開通を目指す動き
ホーチミン市人民委員会もまた、建設省に対し、ビエンホア~ブンタウ高速道路の第1期区間(ロンタインインターチェンジ~国道56号間)の仮開通に関する方案を提出している。2026年3月5日に開催された国家重要プロジェクト指導委員会の会合で、ホーチミン市はこの区間の仮開通を関係省庁に提案済みであり、それ以前の2026年2月5日付の公文書(第979号)でも同様の内容を報告していた。
ホーチミン市の提案によると、開通予定日は2026年3月30日で、ブンタウからロンタイン方面へは国道56号からホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路まで約37.7kmの全線が通行可能となる。逆方向(ロンタインからブンタウ方面)は、ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路からホイバイ・チャウファ交差点まで約27.7kmを走行し、そこからホイバイ・チャウファ道路を経由して国道51号に接続する形となる。
通行が許可される車両は、乗用車および29人乗り未満のバスに限定される。全線開通は、プロジェクトの完成進捗に合わせて段階的に実施される予定だ。
さらにホーチミン市は、PMU85とベトナム空港総公社(ACV)に対し、サブプロジェクト2に属する工事項目の施工を加速するとともに、ロンタイン国際空港プロジェクトの路線1号・路線2号から高速道路への接続ランプ2か所を完成させ、2026年3月30日の同時供用開始に間に合わせるよう求めている。
ビエンホア~ブンタウ高速道路の全体像
ビエンホア~ブンタウ高速道路は全長43.7kmで、ドンナイ省とバリア・ブンタウ省を貫く。プロジェクトは3つのサブプロジェクトに分割されている。サブプロジェクト1(16km)はドンナイ省投資建設プロジェクト管理委員会が、サブプロジェクト2(18.2km)はPMU85(建設省)が、サブプロジェクト3(19.5km)はバリア・ブンタウ省の交通・農業専門プロジェクト管理委員会(現在はホーチミン市交通局に移管)がそれぞれ事業主体を務める。計画では、サブプロジェクト2・3の合計37km超の本線が2026年3月31日までに供用開始となる見通しだ。
日本企業・投資家への示唆
ビエンホア~ブンタウ高速道路は、ベトナム南部の物流網を大きく変える可能性を秘めたインフラプロジェクトである。ホーチミン市と南部最大の港湾都市ブンタウを結ぶこの路線は、建設が進むロンタイン国際空港とも接続予定であり、完成すれば工業団地が集積するドンナイ省やバリア・ブンタウ省へのアクセスが飛躍的に向上する。日系の製造業や物流企業にとっては、サプライチェーンの効率化に直結するインフラとして注目すべきだろう。
一方で、今回のVECの提案が示すように、開通直前になっても料金徴収体制や交通管理の詳細が確定していない点は、ベトナムの大型インフラプロジェクトに共通する課題でもある。仮開通段階での車種制限や方向別のルート差異など、利用者にとっては複雑な運用が予想されるため、現地で事業を展開する日系企業は、実際の開通状況と利用条件を継続的にウォッチする必要がある。
出典: Vn Economy
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