ベトナム政府は2026年の温室効果ガス排出枠(ハン・ガック)として、火力発電、鉄鋼、セメントの主要3業種に対し、合計2億6,800万トン超のCO2相当量(CO2tđ)を割り当てた。この数値は前年比10.4%増となり、同国の経済成長と環境対策の両立を図る姿勢が改めて浮き彫りとなった。
目次
排出枠拡大の背景——成長優先か、段階的移行か
ベトナムは2021年のCOP26において、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げた。しかし急速な経済発展を続ける同国にとって、エネルギー多消費型産業の即時削減は現実的ではない。火力発電は依然として国内電力供給の約半分を担い、鉄鋼・セメント産業はインフラ建設ブームを支える基幹産業である。今回の排出枠増加は、経済成長を維持しつつ、将来の排出権取引市場(ETS)導入に向けた準備期間を確保する狙いがあるとみられる。
2028年稼働予定のカーボン市場に向けた布石
ベトナムは2028年を目処に国内排出権取引市場の本格稼働を目指している。今回の排出枠設定は、各企業に排出量の正確な計測・報告を義務付け、市場参加への基盤を整える重要なステップとなる。政府は段階的に排出枠を厳格化し、企業に低炭素技術への投資インセンティブを与える方針だ。
日本企業への示唆
ベトナムには多くの日系製造業が進出しており、サプライチェーン上の脱炭素対応は避けて通れない課題である。今後、現地パートナー企業が排出規制の対象となれば、日本企業にも間接的な影響が及ぶ可能性がある。JCM(二国間クレジット制度)を活用した省エネ技術の移転や、再生可能エネルギー事業への参画など、先手を打った対応が求められる。
出典: VnExpress












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