ベトナム「高品質国産品」認定企業581社を発表——30周年の節目に見える消費トレンドの大転換

581 doanh nghiệp được người tiêu dùng bình chọn hàng Việt Nam chất lượng cao 2026
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ベトナムの消費者が選ぶ「高品質ベトナム製品(Hàng Việt Nam Chất Lượng Cao=HVNCLC)」認定企業として、2026年度は581社が選出された。プログラム開始から30周年を迎える節目の年に、消費者の購買基準が「価格・利便性」から「品質・信頼・責任」へと大きくシフトしている実態が浮き彫りとなった。

目次

30周年の記念式典、3月31日にホーチミン市・統一会堂で開催

2026年3月24日午前、ベトナム高品質製品企業協会(Hiệp hội Doanh nghiệp Hàng Việt Nam Chất Lượng Cao)は記者会見を開き、HVNCLC 2026の認定証授与式に関する詳細を発表した。授与式は「30年の誇りと継承」をテーマに掲げ、2026年3月31日にホーチミン市の統一会堂(旧・独立宮殿、ベトナム戦争終結の歴史的舞台として知られる建造物)で開催される予定である。

このHVNCLCプログラムは1996年に始まり、ベトナム国内の消費者による投票を通じて品質の高い国産製品・企業を認定する制度である。30年にわたり毎年実施されてきた同プログラムは、ベトナムにおけるブランド構築と品質向上の象徴的な取り組みとして広く認知されている。

約2万2,000人の消費者が参加、大規模調査で581社を選定

2026年度の選定にあたり、協会は2025年9月から2026年1月にかけて大規模な消費者調査を実施した。調査は2つの形式で行われた。第一に、ハノイ、ホーチミン市、ダナン、カントー、ハイフォン、ザライ省、ドンナイ省、ドンタップ省の8省・直轄市における消費者および小売拠点への対面調査。第二に、全国規模のオンライン調査である。

調査の規模は、消費者2万1,952人、小売拠点4,080カ所に及び、170人のインタビュアーと35人の地域管理・監督スタッフが参加した。調査を通じて、消費者から4,439社に対し、延べ15万5,266件の投票が集まった。

この結果をもとに、まず暫定リスト659社が選出され、その後さらに企業の書類審査、全国23省・直轄市にまたがる39の行政機関・所管部局からの意見聴取、メディアや消費者からのフィードバック、そして法令遵守状況の確認といった多角的な審査を経て、最終的に581社がHVNCLC 2026の認定を受けた。

30年連続認定28社、初認定42社——市場の新陳代謝を反映

今回の認定企業の中には、プログラム開始以来30年連続で認定を受けた企業が28社含まれている。一方で、初めて認定を受けた企業も42社あり、長年のブランド力を維持するベテラン企業と、新たに消費者の支持を獲得した新興企業の両方の存在が確認された。この「28社と42社」という数字は、ベトナム消費市場の活力と新陳代謝を如実に示している。

地域別では、ホーチミン市が302社と圧倒的に多く、次いでハノイ58社、タイニン省34社、アンザン省27社、ドンナイ省21社、カントー18社、ドンタップ省17社、ヴィンロン省16社と続く。南部に集中する傾向は、ベトナムの製造業・消費財産業がメコンデルタや東南部に集積している地理的構造を反映している。

消費トレンドの転換:「価格と利便性」から「信頼と品質と責任」へ

協会のヴー・キム・ハイン(Vũ Kim Hạnh)会長は、ベトナムの消費市場が「価格・利便性」重視から「信頼・品質・責任」重視へと構造的に転換している点を強調した。今年の調査データは単なる購買行動の記録にとどまらず、ベトナム企業間の競争構造そのものがより深いレベルで変化していることを示しているという。

一方で、ハイン会長は偽造品・模倣品の問題にも言及した。ホーチミン市のような大都市では消費量が多い分、出所不明の製品が流通しやすく、正規企業にとって大きな障害となっている。同会長は「啓発活動の強化や取り締まりの厳格化は不可欠だが、最終的には企業自身がブランドを守り、主体的に行動することが最も重要だ」と述べ、企業側の自助努力の必要性を訴えた。

グリーン消費、「トレンド」から「市場基準」へ——86%が5〜10%の追加支出を許容

協会は同日、2025年のグリーン消費調査の結果も公表した。同調査は2025年10月から12月にかけて、ハノイ、ホーチミン市、ダナン、カントーの384世帯を対象に実施されたものである。

協会の消費者調査部門を率いるグエン・ヴァン・フオン(Nguyễn Văn Phượng)部長によれば、グリーン消費はもはや「補助的な選択肢」ではなく、購買決定における「明確な基準」へと移行しつつある。消費者は製品の良し悪しだけでなく、安全性、トレーサビリティ(追跡可能性)、長期的な健康への影響、環境への影響をますます重視するようになっている。

注目すべき調査結果として、回答者の約3分の2が今後グリーン製品の使用を増やす意向を示した。さらに、86%が環境配慮型製品に対して5〜10%の追加支出を許容すると回答している。フオン部長は「グリーン要素はもはや高所得層だけのものではなく、中間層や慎重な消費者層にも浸透しつつある。ただし、製品が『価格に見合う』と感じられ、安全で明確な情報があることが条件だ」と分析した。

ただし、協会はグリーン消費が「認知面では安定期に入ったが、実際の行動面での成長は緩やか」であるとも指摘している。2025年から2027年の中期においてグリーン消費は引き続き拡大が見込まれるものの、政策面・市場面での体系的な介入がなければ大きなブレークスルーは難しいとの見通しを示した。

FMCG企業の対応——Nakydacoの事例

企業側の視点として、タンビン植物油株式会社(Nakydaco)のチャン・ヒュウ・タン(Trần Hữu Thân)副社長が発言した。同氏は、各企業がそれぞれ独自の戦略を持つ中でも、持続可能な発展が一貫した優先事項であると述べた。NakydacoをはじめとするFMCG(日用消費財)企業は「グリーン・クリーン・安全」の基準を追求しており、「グリーン」はパッケージにとどまらず、製品の本質的な品質に及ぶものだと強調した。

また同氏は、コスト最適化、特に生産・運営における電力消費の削減を推進しつつも、製品の安全基準は堅持する方針を示した。さらに、政府が打ち出す新たな政策や法令が企業の発展余地を広げており、国内市場だけでなく輸出や国際市場への統合も視野に入れた2026年の展開に期待を寄せている。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースは、ベトナム国内消費市場の質的転換を象徴するものであり、複数の投資・ビジネス上の含意がある。

第一に、消費財セクターの構造変化である。消費者が品質と信頼を重視する傾向が強まることは、ブランド力のある上場企業にとって追い風となる。ベトナム株式市場においては、乳製品大手ビナミルク(VNM)、食品大手マサングループ(MSN)、消費財を手がけるキドグループ(KDC)など、HVNCLC認定を長年受けてきた銘柄がブランドプレミアムを享受しやすい環境が続くと見られる。

第二に、グリーン消費の拡大がESG関連投資テーマを後押しする。86%の消費者が追加支出を許容するというデータは、環境配慮型製品を展開する企業の価格転嫁力を裏付ける。ベトナムのFTSE新興市場指数への格上げ(2026年9月に最終判断が見込まれる)に向けて、ESG対応は海外機関投資家の注目ポイントとなっており、グリーン戦略を明確に打ち出す企業はバリュエーション上の優位性を得る可能性がある。

第三に、日系企業への示唆である。ベトナムに進出している日本の消費財・食品メーカーにとって、HVNCLC認定は現地での信頼獲得の有力な手段となりうる。また、偽造品対策の強化は正規流通チャネルを持つ企業に有利に働く。グリーン消費の高まりは、環境技術やトレーサビリティシステムを持つ日本企業にとってもビジネスチャンスである。

第四に、地政学リスクとの関連である。協会が言及した「地政学的不安定性の増大と世界市場の不透明感」は、ベトナム企業が内需品質の向上と輸出多角化を同時に進める動機となっている。国内消費の底上げは、外需依存度の高いベトナム経済の安定性向上にも寄与し、マクロ経済の観点からもポジティブな材料と評価できる。


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出典: 元記事

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