ベトナムの空港周辺でドローン違法飛行が急増――航空会社に56億ドンの損害、9200人超の旅客に影響も

Siết chặt quản lý thiết bị bay không người lái (UAV), đảm bảo an ninh hàng không

ベトナムの主要空港周辺で、無人航空機(UAV)やドローン、フライカム(空撮用小型ドローン)の違法飛行が相次ぎ、民間航空の安全運航に深刻な影響を及ぼしている。ベトナム航空局(CAAV)は2025年3月17日、緊急会議を開催し、被害状況の評価と対策の統一方針を打ち出した。ベトナム航空(Vietnam Airlines)だけでも、わずか1週間で56億ドンもの損害が発生しており、当局は抜本的な規制強化に乗り出す構えだ。

目次

ダナン、カットビ空港で相次ぐドローン侵入事案

3月17日、ベトナム航空局のホー・ミン・タン副局長が主宰した緊急会議には、航空局幹部のほか、ベトナム航空管制総公社(VATM)、ベトナム空港総公社(ACV)、そして全国各地の空港管理者がオンラインおよび対面で参加した。議題の中心は、中部の主要都市ダナン(Đà Nẵng)にあるダナン国際空港と、北部の港湾都市ハイフォン(Hải Phòng)に位置するカットビ(Cát Bi)国際空港周辺で頻発しているドローンの飛行禁止区域への侵入問題である。

ダナン国際空港は、ベトナム中部最大のハブ空港として国内外の旅客・貨物輸送を担い、近年は観光需要の急増とともに発着回数が大幅に増加している。カットビ国際空港もまた、ハイフォン市および周辺地域の玄関口として重要な役割を果たしている。こうした空港の飛行禁止区域にドローンが侵入することは、旅客機との衝突リスクを高め、最悪の場合は大惨事につながりかねない。

ベトナム航空に56億ドンの損害、9200人超の旅客に影響

ホー・ミン・タン副局長は会議の中で、具体的な被害状況を示した。ベトナム航空の統計によると、2025年2月17日から24日までのわずか1週間で、ドローン・UAVの違法飛行がベトナム航空に与えた損害額は56億ドン(5.6 tỷ đồng)に上った。この間、約9,200人の旅客が影響を受け、出発の遅延、着陸地の変更(ダイバート)を余儀なくされたほか、すでに搭乗を完了していたにもかかわらず出発できなかった便も複数あったという。

さらに、カットビ国際空港では3月15日に発生した事案により、空港の運用が約4時間にわたって中断された。複数の便が離着陸不能となり、他の空港への振り替え運航を強いられた。空港側の代表者は、未確認飛行物体の位置や特性を早期に特定することが、適切な対応策を講じるうえで最も重要な要素だと強調した。

現場が抱える構造的課題――「終了宣言」の難しさ

ドローン侵入が疑われる場合、航空管制官は即座に離着陸の一時停止を発動し、上空で旋回待機(ホールディング)させるか、他空港への転進を指示する手順が定められている。しかし、カットビ空港の代表者は、パイロットと管制官の間の情報共有をさらに強化し、対象物をより正確に識別することで、不必要な運用停止を減らす必要があると提言した。

各航空管制部門からは、UAVの活動が終了した時点の確認に関する課題も指摘された。北部航空管制センターの代表は、現状では滑走路安全チームが活動終了を報告する仕組みだが、監視範囲を空港周辺の空域全体に拡大する必要があると述べた。地上と上空の双方で連携する体制の構築と、UAV探知用の専用機器への投資が急務だとの認識で一致した。

半径8キロの飛行禁止区域、それでも止まらない違法飛行

ベトナム航空局飛行管理課のマイ・マン・フン課長によれば、空港を中心とした半径8キロメートル以内は絶対的な飛行禁止区域に指定されている。しかし、一般市民による違法なドローン飛行は依然として広範に行われているのが実態だ。近年、ベトナムでは個人向けドローンやフライカムの価格が大幅に低下し、ECサイトや電気街で手軽に購入できるようになったことが背景にある。趣味の空撮や不動産の宣伝撮影などの目的で飛ばすケースが多いとみられるが、飛行禁止区域に関する知識や意識が十分に浸透していないのが現状である。

ノイバイ(Nội Bài)国際空港(ハノイ)の代表者は、空港周辺住民への啓発活動の重要性を強調した。地域の有線放送やチラシ配布、SNSなどを活用して、ドローンの違法飛行がもたらす危険性と法的責任について広く周知する取り組みを進めるべきだと提案した。ノイバイ国際空港はベトナム最大の国際空港であり、年間旅客数は数千万人規模に達する。同空港周辺でドローン事案が発生すれば、その影響は計り知れない。

軍との連携強化と探知システム導入へ

航空局の幹部は、滑走路安全チームに地元の軍事組織を参加させ、関係各機関間の協力体制を明確な規定として整備する必要があると述べた。ベトナムでは、領空管理は基本的に国防省の管轄下にあり、民間航空と軍の連携は安全保障上も極めて重要なテーマである。

長期的な対策としては、UAV探知システムの導入を主導する機関を明確にし、空港周辺に侵入するドローンを効果的に制御するための技術的ソリューションの導入ロードマップを策定することが求められている。世界的には、電波妨害(ジャミング)やドローン捕獲用ネットガン、対ドローンレーダーなど様々な技術が実用化されており、ベトナムでもこうした先進技術の導入が急がれる。

会議の結論――60分ルールと今後の方針

会議の結びにあたり、ホー・ミン・タン副局長は、建設省(Bộ Xây dựng)が国防省、公安省、および空港所在地の各地方自治体に対し、航空安全を脅かすUAVの取り締まり強化を求める公文書を送付済みであることを明らかにした。また、会議では以下の統一原則が合意された。「最後の報告から60分が経過し、その間に新たな不審物体が確認されなかった場合、通常の航空運用を再開できる」というものだ。この「60分ルール」は、安全確保と運航効率のバランスを図る現実的な判断基準として導入される。

航空局は今後、各機関に対し、協力体制の規定整備、UAV探知機器の補充、そして啓発活動の強化を指示し、ドローンによる航空安全への脅威を根本的に解消することを目指す方針だ。

考察――急成長するドローン市場と規制のギャップ

ベトナムは東南アジアの中でも特にドローン市場の成長が著しい国の一つである。農業分野でのドローン散布や、観光PR映像の空撮、物流への活用など、その用途は急速に広がっている。一方で、機体の登録制度や操縦者の免許制度、飛行区域の電子的管理システムなど、規制面のインフラ整備は発展途上にある。今回の一連の事案は、技術の普及スピードに規制が追いついていない現実を如実に示している。

日本企業にとっても、この問題は無縁ではない。ベトナムに生産拠点や駐在員事務所を持つ日系企業の関係者が頻繁にベトナム国内線を利用しており、ドローンによる遅延やダイバートは出張スケジュールやサプライチェーンに直接的な影響を及ぼし得る。また、日本のドローン関連技術や対ドローンソリューションを持つ企業にとっては、ベトナム市場への参入機会が広がる可能性もある。ベトナム政府がUAV探知・制御システムの導入を本格化させる中、技術協力や機器納入の分野で日越連携が進展するか、今後の動向が注目される。

出典: Vn Economy

いかがでしたでしょうか。今回のベトナムにおけるドローン規制強化と航空安全対策について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

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