ベトナム・クアンニン省の観光業が絶好調──2026年第1四半期で627万人突破、夏の大型イベント15本も発表

Quảng Ninh: Du lịch quý 1 thành công, tiếp tục “tung” 15 sự kiện chào hè
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
ハノイ在住13年の現地投資家による、より深い企業分析・投資戦略は👉 メンバーシップで公開中

ベトナム北東部に位置し、世界自然遺産ハロン湾を擁するクアンニン省(Quảng Ninh)の観光業が、2026年の年初から力強い回復・成長軌道を描いている。第1四半期の来訪者数は約627万5,000人と前年同期比10%増を記録し、四半期計画を5%上回った。省当局はこの勢いをさらに加速させるべく、夏の大型イベント「カーニバル・ハロン2026」で15の文化・スポーツ・観光プログラムを一斉に展開する方針を打ち出した。一方で、原油価格の変動や中東情勢の緊張といった外部リスクへの対応も急ピッチで進む。

目次

第1四半期の実績──観光収入は1兆5,687億ドンに到達

クアンニン省文化・スポーツ・観光局の発表によると、2026年3月単月の来訪者数は約212万人で、前年同月比9%増となった。内訳は国内客が約164万人、外国人客が約48万人である。同月の観光収入は推計5,300億ドンに達した。

これを含む第1四半期の累計では、来訪者数が約627万5,000人に上り、うち国内客が約489万5,000人、外国人客が約138万人であった。宿泊を伴う旅行者は約140万人で、前年同期比で二桁台の伸びを維持している。第1四半期の観光総収入は推計1兆5,687億ドンで、前年同期比19%増という高い伸びを示した。

注目のクルーズ船観光──ハロン国際旅客港に高消費層が集結

とりわけ明るい材料が、富裕層の比率が高いクルーズ船観光の好調ぶりである。2026年の最初の2カ月間で、ハロン国際旅客港(Cảng tàu khách quốc tế Hạ Long)には6隻のクルーズ船が寄港し、1万人以上の旅客が上陸した。3月にはさらに16隻の国際クルーズ船が入港予定で、アジアおよび欧州市場から1万6,000~2万人の高消費層旅客がクアンニンを訪れる見込みである。

ハロン湾そのものの来訪者構成を見ると、年初から3月15日までの累計で約64万9,000人が訪れ、うちベトナム人はわずか5万人強にとどまり、残る約59万9,000人が外国人客であった。入場料収入は2,008億6,000万ドンを超えている。国際的な世界遺産としてのブランド力が、外国人旅行者を強く惹きつけている構図が鮮明である。

年間目標は2,200万人──うち外国人520万人を計画

クアンニン省はこうした好調な第1四半期を足がかりに、2026年通年で2,200万人の来訪者を受け入れる目標を掲げている。そのうち外国人客は520万人を見込む。ベトナム全体の観光戦略の中でも、クアンニン省はホーチミン市やダナンと並ぶ最重要観光拠点として位置付けられており、この数値目標の達成はベトナムの観光産業全体にとっても象徴的な意味を持つ。

逆風も──原油高・中東緊張で欧米客に減速の兆し

ただし、すべてが順風満帆というわけではない。原油価格の変動や中東情勢の緊張が、間接的にクアンニン省の観光にも影響を及ぼしつつある。一部の国際ツアーがキャンセルや日程延期となったほか、燃料コスト上昇が旅行事業者の運営収支を圧迫している。特に欧州・北米といった遠距離市場からの旅客は、航空運賃の上昇やグローバルな地政学的不安心理により、やや減少傾向にあるという。

これに対し、現地の旅行各社は機敏に対応策を打ち出している。ベトナム大手旅行会社ビエットトラベル(Vietravel)クアンニン支店のレ・ティ・ビック・ハン支店長は、当面は短日数ツアーの開発や地域間連携による輸送コスト削減に注力するとともに、燃費効率の高い輸送手段やグリーン燃料を採用するパートナーとの連携を進める方針を示した。

近隣市場シフト──中国人客85万〜100万人の獲得へ

外部環境の変動への長期的な適応策として、クアンニン省の観光当局が最も重視しているのが、輸送コストの影響が比較的小さい近隣市場の深掘りである。2026年3月初頭には、省文化・スポーツ・観光局が中国市場を専門に扱う旅行会社と協議を行い、誘客策の統一方針を固めた。2026年の中国人観光客は85万~100万人に達し、前年比15~20%増を見込む。

これと並行して、フィリピン、タイ、韓国、インド、台湾、ロシアといった市場に対するプロモーション活動も強化している。いずれもクアンニン省の強みである「海洋・島嶼観光」「高級リゾート」「ハロン湾とイエントゥ(Yên Tử、ベトナム仏教の聖地として知られる山岳地帯)をつなぐ遺産ルート」を前面に押し出した内容である。

夏の目玉──「カーニバル・ハロン2026」で15イベント一斉開催

省人民委員会は、夏の観光シーズンに合わせた大型イベント「カーニバル・ハロン2026──新時代に輝く奇観(Carnaval Hạ Long 2026 – Kỳ quan bừng sáng kỷ nguyên mới)」の開催計画を正式に発表した。4月25日から5月3日にかけて、ハロン、バイチャイ、ホンガイ、イエントゥの各地区で15の文化・芸術・スポーツ・祭り・体験プログラムが繰り広げられる。

例年、カーニバル・ハロンはクアンニン省を代表する看板イベントとして知られるが、2026年はさらに規模を拡大。64台の大型フロートによる壮大なパレードに加え、世界5大陸から芸術団体を招聘する。最大の見どころは、ハロン湾上で数十隻の観光船が参加する光のショー「ソン・ホイ・アイン・サン(Sóng hội ánh sáng=光の波の饗宴)」で、世界遺産の水面そのものを巨大なステージに変えるという、前例のない演出が予定されている。

さらに、イエントゥでの文化・精神的行事、チャン・クオック・ギエン公を祀る廟(Đền Đức ông Trần Quốc Nghiễn)の祭礼、クアンニン映画週間、炭鉱地帯にちなんだ文芸展覧会、各種スポーツ大会や国際芸術プログラムなど、多彩な催しが同時期に集中開催される。

省文化・スポーツ・観光局によれば、この「夏迎え文化・スポーツ・観光週間」の期間中、ハロン、カムファ(Cẩm Phả)、ヴァンドン(Vân Đồn)といったエリアの宿泊施設は客室稼働率80~90%に達する見通しである。ハロン湾上の観光船も運航頻度を大幅に引き上げ、周遊・宿泊・体験サービスの提供体制を強化する計画だ。

文化×観光の融合──実景パフォーマンスやコミュニティ観光も推進

中長期的な視点では、クアンニン省は文化芸術と観光の融合を一層推進する方針を示している。具体的には、ハロン湾畔で行う「実景パフォーマンス(biểu diễn thực cảnh)」プロジェクトへの投資誘致を調査中であるほか、バーチェ(Ba Chẽ)、ビンリエウ(Bình Liêu、少数民族文化が色濃く残る山岳地帯)、イエントゥなどでのコミュニティ観光商品の開発にも着手している。実景パフォーマンスとは、自然の景観を舞台に大規模な照明・音響・演劇を組み合わせるショーで、中国の張芸謀(チャン・イーモウ)監督による「印象」シリーズで世界的に知られる手法である。ハロン湾という世界遺産を背景にしたこのプロジェクトが実現すれば、夜間観光の強力なコンテンツとなり、旅行者の滞在日数と消費額の引き上げに直結するだろう。

安全管理の徹底──ハロン湾の船舶を多機関合同で監視

イベント規模の拡大と来訪者数の急増に伴い、安全対策にも力が入る。水上警察(クアンニン省公安所属)、ハロン湾・イエントゥ世界遺産管理委員会、内陸水路港務局の3機関からなる合同作業チームが、ハロン湾上の観光船に対する定期巡回と抜き打ち検査を実施している。検査内容は、船舶の技術的状態、防火設備、救命・救難装備、船長・乗組員の資格証明など多岐にわたり、緊急時に備えた通信体制の維持も義務付けられている。

投資家・ビジネス視点の考察

クアンニン省の観光データは、ベトナムの観光セクター全体の力強さを裏付けるものであり、以下の観点から注目に値する。

①観光関連銘柄への追い風:ホーチミン証券取引所(HOSE)上場の観光・ホテル関連銘柄、例えばビングループ(VIC)傘下のビンパール(Vinpearl)やサンワールドを運営するサングループ(非上場だがグループ子会社経由で間接的に影響)、航空大手ベトジェット(VJC)やベトナム航空(HVN)にとって、クアンニン省の来訪者増加は直接的なプラス材料である。特にクルーズ船観光の拡大は、港湾インフラや高級宿泊施設への投資需要を喚起し、建設・不動産セクターにも波及しうる。

②中国人観光客の回帰とリスク:中国人客85万~100万人の見通しは、コロナ前の水準への本格回帰を示唆する。ただし、中国経済の減速や人民元安が進行した場合、下振れリスクも否定できない。中国依存を高めすぎないために、インド、韓国、ロシアなど多角的な市場開拓を並行して進めている点は評価できる。

③FTSE新興市場指数の格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からのベトナム株投資が一段と拡大する。その際、マクロ経済指標として観光収入の伸びはポジティブなシグナルとなり、ベトナム市場全体のバリュエーション向上に寄与する可能性がある。

④日本企業への示唆:日本の旅行会社やホテルチェーンにとって、クアンニン省は引き続き有望な進出先である。特に実景パフォーマンスやコミュニティ観光といった体験型コンテンツの開発は、日本のコンテンツ産業やイベント運営企業にとってもビジネスチャンスとなりうる。また、「グリーン燃料」や「省エネ輸送」への需要拡大は、環境技術を強みとする日本企業との協業の余地を広げるだろう。

総じて、クアンニン省の2026年第1四半期の実績は、ベトナム観光セクターの「量と質の両面での進化」を象徴するものといえる。地政学リスクや燃料コスト上昇といった逆風を受け止めつつも、近隣市場の深掘り、高消費層の取り込み、イベントによる需要創出という三本柱で攻めの姿勢を崩さないクアンニン省の動向は、ベトナム投資の文脈においても引き続き注視すべきテーマである。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

📊 ベトナム経済研究会メンバーシップ
ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
✅ 個別銘柄の詳細分析 ✅ FTSE格上げ関連速報 ✅ 現地だからわかるリアルタイム情報
👉 月額980円でメンバーシップに参加する

出典: 元記事

noteメンバーシップのご案内

ベトテク太郎noteメンバーシップ
Quảng Ninh: Du lịch quý 1 thành công, tiếp tục “tung” 15 sự kiện chào hè

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次