ベトナム共産党のトー・ラム書記長が訪米し、科学技術、デジタル化、航空、医療分野における総額372億ドル規模の協力協定締結式に立ち会った。両国関係が新たな段階に入る中、イーロン・マスク氏率いるStarlinkのベトナム参入許可や、ベトナム航空・ベトジェットによる大型航空機購入契約など、注目の案件が相次いで調印された。
ワシントンD.C.で大規模な協定締結式
現地時間2026年2月18日午後、米国の首都ワシントンD.C.において、トー・ラム書記長立ち会いのもと、ベトナムと米国間の各種契約・協力協定の締結式が開催された。総額は372億ドルに上り、ベトナム側からはファン・バン・ザン国防相、ルオン・タム・クアン公安相、レー・ホアイ・チュン外相らベトナム共産党政治局員が多数出席。米国側からはマイケル・ジョージ・デソンブル国務次官補(東アジア・太平洋担当)、デビッド・フォーゲル商務次官補らが参加した。
Starlinkがベトナムで事業許可取得
今回の締結式で特に注目を集めたのが、ベトナム科学技術省からStarlink Services Vietnam社への通信事業許可証の授与である。これにより、イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」が、ベトナム国内で固定衛星通信および移動衛星通信の両方のサービスを提供できるようになる。ベトナムは約9,800万人の人口を擁し、特に山岳地帯や離島における通信インフラ整備が課題となっていたため、Starlinkの参入はデジタル格差解消に大きく寄与すると期待されている。
航空分野で大型契約が相次ぐ
航空分野では複数の大型契約が締結された。まず、ベトナム航空(Vietnam Airlines)がボーイング社とBoeing 737 MAX 50機の購入契約を締結。ベトナム航空にとって初のボーイング製ナローボディ機の発注となり、国内線および地域路線の拡充を支える戦略的投資と位置付けられている。
また、新興航空会社のサン・フーコック・エアウェイズ(Sun Phu Quoc Airways)もボーイング社とBoeing 787-9 Dreamliner 40機の購入契約を結んだ。同社は長距離国際線への本格参入を目指しており、今回の契約により大陸間運航能力を確保することになる。
さらに、格安航空会社ベトジェット(Vietjet)は、米RTX傘下のプラット・アンド・ホイットニー社との間で、137機分のGTFエンジンおよび保守サービス契約を締結。加えて、グリフィン・グローバル・アセット・マネジメントとBoeing 737-8計6機のファイナンス契約も結んだ。
医療分野ではアジア初の最新がん治療機器導入
医療分野では、ベトナムの民間大手病院タムアイン総合病院(Tam Anh General Hospital)が、米メビオン・メディカル・システムズ社から最新の陽子線治療システム「Mevion S250-FIT」を購入する契約を締結した。同システムは米国で最も先進的ながん治療機器の一つであり、ベトナムはアジアで初めてこの機器を導入する国となる。従来の放射線治療と比較して正常組織への影響が少なく、より安全で効果的ながん治療が可能になると期待されている。
30年の歴史を経て「包括的戦略的パートナーシップ」へ
グエン・クオック・ズン駐米ベトナム大使は式典で、1995年の国交正常化から30年を経て、両国が「平和、協力、持続可能な発展のための包括的戦略的パートナーシップ」へと発展したことを強調。「歴史的な距離を持続可能な協力の架け橋に変えてきた」と述べ、相互尊重と相互理解に基づく関係構築の成果を評価した。大使館としても、政策対話の促進や障害の除去、両国企業の協力支援に引き続き尽力する姿勢を示した。
Gaza和平会議にも創設メンバーとして参加
なお、トー・ラム書記長は今回の訪米で、ドナルド・トランプ大統領の招待を受け、「Gaza和平評議会」の開幕会合(2月18日〜20日)にも出席している。ベトナムは同評議会の創設メンバーとして、国連安保理決議に基づくGazaの和平と復興、パレスチナ人民の正当な利益確保に向けた取り組みを支援する方針である。この参加は、ベトナムが地域・国際問題においても積極的な役割を果たす意志を示すものであり、米越関係の深化を象徴する動きといえる。
日本企業・投資家への示唆
今回の372億ドル規模の協定締結は、ベトナムが米国との経済関係を急速に深化させていることを如実に示している。特に航空・通信・医療といった成長分野での大型投資は、ベトナム市場の将来性と購買力の拡大を反映したものである。日本企業にとっては、米国企業との競争激化が予想される一方で、サプライチェーンや部品供給、サービス面での協業機会も生まれる可能性がある。また、Starlinkのベトナム参入は、デジタルインフラ関連ビジネスの新たな展開を促すことになろう。ベトナムの外交・経済戦略の動向は、引き続き注視が必要である。
出典: Vn Economy
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