ベトナム・ハノイでILO主導のDX・グリーン転換研修——中小企業98%の国が挑む生産性革命

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国際労働機関(ILO)がベトナム財務省傘下の民間企業・集団経済発展局と共同で、ハノイにおいて中小企業向けのデジタル転換(DX)およびグリーン転換に関する研修を開催した。スイス連邦経済庁(SECO)とノルウェー政府が共同出資するこのプログラムは、ベトナム経済の屋台骨である中小企業の生産性向上と「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現を目指すものである。

目次

研修の概要——北部5回シリーズの第2弾

2025年4月9〜10日にハノイで実施された今回の研修は、北部各省の組織・企業を対象とした全5回シリーズの第2回にあたる。会場には数百名規模の政府関係者、専門家、コンサルタント、業界団体の代表者、そして製造業を中心とする中小企業の経営者らが集結した。

研修内容は理論から実践までを幅広くカバーしており、主なテーマは以下のとおりである。

  • 生産性・DX・グリーン転換・労働環境の相互連関
  • 中小企業支援プログラム設計におけるニーズ評価の重要性と評価ツールの紹介
  • グリーン成長・持続可能な開発に関する市場トレンドと法規制要件
  • 原材料の節約、エネルギー効率の向上、廃棄物管理、クリーナープロダクション(より清潔な生産)といった具体的なグリーン転換ソリューション
  • 資金・人材・技術などのリソース動員手法
  • 地方における企業ネットワーク構築の課題

ILO・ノルウェー・ベトナム政府——三者の視点

ILOベトナム国代表のシンウォン・パーク氏は「技術やグリーン生産手法は、それ自体が目的ではない。企業の競争力向上と同時に、労働条件・安全衛生・職場での協力関係、そして労働者と管理者双方の成長機会を改善するものでなければならない」と強調した。これはILOが提唱する「ディーセント・ワークのための生産性エコシステム」アプローチの核心であり、生産性向上と労働環境改善を一体的に捉える考え方である。

ベトナム財務省・民間企業集団経済発展局のグエン・スアン・トー副局長は、ベトナムには100万社超の企業と520万の事業者・個人事業主が存在し、そのうち98%が中小企業であるという実態を紹介した。同氏は、この中小企業群こそが国家経済の中核であり、科学技術・イノベーション・DX・グリーン転換の最前線に立つ存在であると位置づけた。ベトナム政府は科学技術・イノベーション・DXに関する共産党決議57号(57-NQ/TW)、決議68号(68-NQ/TW)、国会決議198号(198/2025/QH15)など重要な政策を相次いで発出しており、制度面での後押しも加速している。

ノルウェーのメッテ・モーグレストゥエ駐ベトナム副大使は、ノルウェーの経験を踏まえ、政府機関・専門家・業界団体・企業コミュニティが一堂に会する「セクター横断的対話」の重要性を指摘。今回の研修がまさにそうした「エコシステム」を体現していると評価した。

ベトナムのDX・グリーン転換の政策的背景

ベトナムは2050年のカーボンニュートラル達成を国際公約としており、グリーン転換は外交的コミットメントでもある。また、EU向け輸出においてはCBAM(炭素国境調整メカニズム)やEUデューデリジェンス指令への対応が迫られており、サプライチェーン全体でのグリーン化は中小企業にとっても「選択」ではなく「必須」の段階に入りつつある。DXについても、政府は2025年までにデジタル経済のGDP比20%達成を目標に掲げており、今回のILO研修はこうした国家戦略と連動した取り組みといえる。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースは特定の上場企業に直接影響するものではないが、ベトナム経済の構造的なテーマとして以下の点に注目すべきである。

1. 中小企業のDX・グリーン化は関連銘柄の追い風に:IT・DXサービスを提供するFPT(ホーチミン証券取引所上場、ベトナム最大手IT企業)や、クリーンエネルギー関連銘柄にとって、中小企業向け支援の拡大は潜在的な需要増につながる。

2. 日本企業への示唆:ベトナムに製造拠点を持つ日系企業にとって、現地サプライヤーである中小企業のグリーン対応力向上は、サプライチェーン全体のESG評価改善に直結する。JICAや日本の中小企業支援機関との連携余地も大きい。

3. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムは市場制度だけでなく、経済の「質」も問われている。ILOやスイス・ノルウェーといった先進国機関との連携による人的資本・生産性向上の取り組みは、国際的な信認を高める間接的な要因となりうる。

4. 98%が中小企業という構造:ベトナム経済の成長ポテンシャルは大企業だけでなく、この圧倒的多数を占める中小企業の底上げにかかっている。ILO主導の研修が全国展開されることで、地方経済の活性化と労働生産性の改善が進めば、ベトナム全体のGDP成長率にもプラスに寄与する構造である。


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出典: 元記事

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