ベトナム・フエ市が重点プロジェクト加速へ総力戦—VSIP工業団地467haや南北高速道路の用地取得が焦点

Huế dồn lực khơi thông tiến độ loạt dự án trọng điểm
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ベトナム中部の古都フエ市が、用地取得の遅延や投資手続きの停滞といった長年のボトルネック解消に向けて総力を挙げている。2025年4月2日、フエ市人民委員会のグエン・カック・トアン主席が自ら複数の重点プロジェクト現場を視察し、具体的な指示を出した。南北高速道路、VSIP工業団地、コトゥ族文化村、レノー橋の復旧という4つの案件が対象であり、インフラ・産業・文化の各分野にわたるフエ市の開発戦略の全体像が浮き彫りとなった。

目次

南北高速道路カムロー〜ラソン〜ホアリエン区間——用地取得が最大の壁

ベトナムの国家的プロジェクトである南北高速道路(đường cao tốc Bắc – Nam)は、ハノイからホーチミン市を結ぶ大動脈として段階的に建設が進んでいる。フエ市域を通過するカムロー〜ラソン〜ホアリエン区間では、省道12Bとの交差点(インターチェンジ)付近やトゥアン橋周辺のUターンポイント、キムロン地区の側道(đường gom)などで用地取得作業が進められているが、進捗は計画を下回っている。電力インフラの移設、住民の墓地移転、未完了の法的手続きといった問題が複合的に絡み合い、工事の遅延を招いている状況である。

現在、建設業者は既に用地が確保された箇所から「ローリング方式(cuốn chiếu)」で施工を進めている。整地が完了した区画から順次工事に着手することで工期短縮を図る手法であり、用地取得と施工を並行して進めるベトナムの大型インフラ事業で頻繁に採用されるアプローチである。フエ市はインターチェンジや側道の用地取得をさらに加速するよう関係機関に指示した。

レノー橋の復旧——2025年の暴風雨被害が影を落とす

手続き上の問題だけでなく、自然災害もインフラに深刻な爪痕を残している。ケチェー(Khe Tre)地区のレノー橋(cầu Lê Nô)は2025年の暴風雨で甚大な被害を受け、橋台が流失し、河岸の崩落と河川の流路変化を引き起こした。現在、人員と重機を投入して補強・修復工事が急ピッチで行われている。加えて、レノー川周辺には大量の砂礫が堆積し、洪水排水能力が低下している。早急に浚渫しなければ、次の雨季に浸水被害が拡大するリスクがあり、市は修復と浚渫の同時進行を求めた。

VSIP工業団地フエ——467haの大型案件に残る課題

フエ市が特に注力するプロジェクトの一つが、フンロック(Hưng Lộc)地区に建設予定のVSIPフエ工業団地(Khu công nghiệp VSIP Huế)である。VSIPはベトナムとシンガポールの合弁で展開される工業団地ブランドで、南部のビンズオン省を発祥とし、現在ベトナム各地に複数の拠点を持つ。フエの案件は総面積467ha超の大規模プロジェクトであり、2段階に分けて用地取得が進められている。すでに投資家と関係機関が現地で境界杭・中心線の引き渡しを完了した段階にある。

しかし、開発スケジュールに関する計画調整や、森林用途の土地の転用手続きがまだ完了しておらず、これらが予定通りの着工に向けた最大のハードルとなっている。フエ市は経済区・工業区管理委員会に対し、投資・環境・防火関連の手続きを早急に完了させるよう指示するとともに、用地取得への積極的な連携を「成否を分けるカギ」と位置づけた。

コトゥ族文化村——文化保全と観光開発の融合

インフラや産業だけでなく、文化プロジェクトにもフエ市は力を入れている。ケチェー地区ゾイ集落(thôn Dỗi)に建設中の「コトゥ族文化村(Làng văn hóa Cơ Tu)」は、高床式住居や茅葺き屋根、伝統的な文様を取り入れた空間で、少数民族コトゥ族の暮らしと文化を体験できる施設である。コトゥ族はベトナム中部の山岳地帯に居住する少数民族で、独自の織物や木彫りの文化を持つ。

市指導部は視察の場で、投資は重点を絞り、観光開発と結びつけた形で効果的に運営すべきだと強調した。具体的には、先住民文化を体験できるツアーやルートを整備し、地元住民の持続可能な生計手段を創出することを関係部局に求めている。世界遺産を擁するフエにとって、文化観光の多様化は都市競争力の源泉であり、山岳部の少数民族文化は新たな観光資源として注目されている。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のフエ市の動きは、以下の点でベトナム投資家やベトナム進出を検討する日本企業にとって注目に値する。

①インフラ関連銘柄への波及:南北高速道路はベトナム最大級の公共投資案件であり、建設資材、セメント、鉄鋼などの需要を下支えする。用地取得の加速は工事発注の前倒しを意味し、ホアファット(HPG)やビナコネックス(VCG)など関連銘柄への短期的な追い風となり得る。

②VSIP工業団地と日系企業:VSIP各拠点には多くの日系製造業が入居しており、フエの新拠点が本格稼働すれば、中部ベトナムへのサプライチェーン分散を検討する日本企業にとって有力な選択肢となる。ただし、森林用地の転用手続きが遅延するリスクには留意が必要である。

③FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げに向けて、政府はインフラ整備と投資環境改善を急いでいる。地方都市レベルでのこうした「ボトルネック解消」の動きは、外国人投資家が重視するガバナンス改善の一端として評価される可能性がある。

④観光セクター:コトゥ族文化村のようなエスニック・ツーリズムの開発は、フエの観光収入多角化に寄与する。ベトナム観光関連株やフエ周辺のホテル・不動産開発にも中長期的にポジティブな材料となるだろう。

総じて、フエ市の今回の取り組みは「地方の開発ボトルネックをトップダウンで解消する」というベトナム全体のトレンドを象徴するものである。用地取得という構造的課題がどこまで迅速に解決されるかが、プロジェクトの成否と投資リターンの鍵を握る。


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出典: 元記事

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