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ベトナム・ホーチミン市で進行中の大規模複合都市開発「The Global City」が、国際水準の都市設計と芸術・ライフスタイルの融合という新たなコンセプトで注目を集めている。開発を手がけるのは、ベトナムを代表するブランデッドレジデンス開発企業Masterise Homes(マステリーゼ・ホームズ)。JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)やULI(アーバン・ランド・インスティテュート)の最新調査データが示すグローバルな都市開発トレンドを背景に、同プロジェクトがなぜ投資家から高い関心を集めているのか、詳しく解説する。
世界的調査が示す「多目的都市」への需要シフト
不動産サービス大手JLLが発表した「Global Consumer Experience Survey 2025」によると、調査対象者の73%が「multi-purpose destinations(多目的複合空間)」を居住環境として優先すると回答した。さらに72%が、都市開発プロジェクトには地域コミュニティへの積極的な貢献を期待しているという結果が出ている。
この調査結果は、不動産選びの基準が「利便性」から「社会的つながりやコミュニティの価値」へと大きくシフトしていることを如実に示している。単なる住居としての機能だけでなく、住む・働く・遊ぶ・学ぶといった多層的な体験が一つの空間で完結する都市のあり方が、グローバルスタンダードとして定着しつつあるのである。
加えて、アーバン・ランド・インスティテュート(ULI)の研究では、パブリックアートや芸術空間を統合した都市開発プロジェクトは、住民の交流・エンゲージメントが約40%高まることが明らかになった。芸術が自然な出会いの場を生み出し、都市空間における社会的体験を活性化させるという知見は、世界中の先進的な都市開発に取り入れられている。
シンガポール「マリーナベイサンズ」と東京「六本木ヒルズ」——国際都市のロールモデル
こうした「オールインワン」型の都市開発は、すでに世界の主要都市で実績を上げている。シンガポールのマリーナベイサンズ(Marina Bay Sands)は、金融センターとしての機能を超え、パフォーミングアーツやグローバル規模のフェスティバルが行われる舞台として、都市のアイコンとなっている。
一方、日本の読者にとってより身近な事例が、東京・六本木ヒルズ(Roppongi Hills)である。森美術館、クリエイティブスペース、公共広場、商業施設、高層オフィスが一つの都市構造にシームレスに組み込まれた「街の中の街」モデルは、まさに多目的複合都市の先駆的な成功例である。六本木ヒルズがもたらした文化的な吸引力は、同エリアの不動産価値を長期的に押し上げ、東京を代表するクリエイティブ拠点としての地位を確立した。
両者に共通するのは、「機能」を超えた「多層的体験」の設計によって、都市そのものがグローバルなシンボルとなり、長期にわたる集客力と資産価値の向上を実現している点である。
The Global City——ホーチミン市中心部に誕生する117.4haの国際複合都市
こうしたグローバルな潮流を受け継ぐ形で、ホーチミン市(旧サイゴン)の中心部に開発が進んでいるのが「The Global City」である。総面積117.4ヘクタールという広大な敷地に、約45万平方メートルの緑地・水面空間が計画されており、まさに「自然との対話」をコンセプトに掲げる。
ランドスケープデザインを担当するのは、世界160カ国以上で70年以上にわたりラグジュアリーリゾートの設計実績を持つ米国の設計事務所WATG(ワッツ・アンド・アソシエイツ)である。同社が手がけるThe Global Cityの景観設計は、東南アジア最長とされるミュージカル噴水運河を中心に、広大なグリーンパークや芝生エリアが全域に配置される多層的なランドスケープ構成となっている。
開発コンセプトの核は「ヒューマンセントリック(人間中心)な都市設計」である。教育、医療、高級エンターテインメントなどあらゆる生活ニーズに5~15分以内でアクセスできる動線設計により、自家用車への依存を最小限に抑え、歩行者に優しいコミュニティを形成する。この「15分シティ」的な発想は、パリやメルボルンなど世界の先進都市が推進するまちづくりの潮流とも合致するものである。
文化・芸術・スポーツの発信拠点としての実績
The Global Cityは、すでに2025年中に大規模イベントの開催地として数百万人の来場者を集めた実績を持つ。ベトナムで社会現象となった音楽番組「Anh Trai Vượt Ngàn Chông Gai」のコンサート、人気歌手Soobin(スービン)やQuốc Thiên(クォックティエン)のコンサート、チャリティイベント「Ngày hội Nón Hồng(ピンクハットフェスティバル)」、さらにはプロゴルフツアー「PPA Tour Asia」など、多彩なジャンルのイベントが開催されている。
こうした文化・エンターテインメント機能は、不動産プロジェクトとしての集客力と資産価値を大きく押し上げる要素である。単なる住宅地ではなく「都市の文化的目的地」としてのブランド力を構築することで、長期的なテナント需要や不動産価格の安定的な上昇が期待される。
個性豊かな4つのサブゾーン——多様なニーズに対応する分区設計
The Global Cityは、エリアごとに明確な個性を持つ複数のサブゾーンで構成されている。
- Masteri Park Place(マステリー・パーク・プレイス):エネルギーの交差点と位置づけられ、全エリアで最も美しい日の出を望める区画。
- Masteri Cosmo Central(マステリー・コスモ・セントラル):グローバルなコミュニティが共鳴するダイナミックな空間を代表するゾーン。
- Lumière Midtown(ルミエール・ミッドタウン):ニューヨークスタイルのモダン建築と自然が融合した洗練された都市居住空間。
- Sola(ソラ):The Global City唯一のヴィラコンパウンド。三方を水辺に囲まれた半島という地形を活かし、究極のプライバシーと自然との一体感を提供する、富裕層向けの最上位レジデンスゾーン。
インフラ整備が加速——リエンフォン通り開通とアンフー交差点
The Global Cityの大きなアドバンテージの一つが、既存インフラとの連携である。リエンフォン通り(Đường Liên Phường)がプロジェクトに直結する形で開通し、さらに大規模国家プロジェクトであるアンフー(An Phú)インターチェンジの建設が進行中で、完成すればホーチミン市東部の交通ネットワークが飛躍的に強化される。
加えて、隣接するラックチエック国立スポーツコンプレックス(Khu liên hợp thể thao quốc gia Rạch Chiếc)の存在も見逃せない。将来的に国際的なスポーツ大会やイベントが同施設で開催される場合、The Global Cityは「国際スポーツ施設に隣接する唯一の国際都市開発」としてのポジションを確立することになる。この立地条件は、ホテル需要や短期賃貸、商業施設の稼働率に直接的なプラス効果をもたらすと見られている。
投資家・ビジネス視点の考察
The Global Cityの動向は、ベトナム不動産市場全体のトレンドを映し出すものとして注目に値する。以下の観点から、投資家やベトナム進出を検討する日本企業にとっての示唆を整理する。
1. ベトナム不動産関連銘柄への影響:Masterise Homesは非上場企業であるため、直接的な株式投資は難しいが、同社の親会社であるMasterise Group(マステリーゼ・グループ)やその関連企業の動向には注目が必要である。また、The Global Cityクラスの大規模複合開発が活況を呈すれば、建設資材、インテリア、不動産仲介など周辺セクターの上場企業にも恩恵が波及する可能性がある。ホーチミン市東部(旧トゥドゥック市=Thủ Đức)エリアの開発加速は、Novaland(NVL)やKhang Điền(KDH)など同地域に展開する上場デベロッパーの評価にも間接的に影響を与え得る。
2. 日本企業への示唆:六本木ヒルズを手本とする「街の中の街」モデルは、日本のデベロッパーやコンサルティング企業にとって馴染み深い概念である。実際、三井不動産やNTT都市開発など複数の日本企業がベトナムの都市開発に参画しており、The Global Cityのような大規模プロジェクトは協業のポテンシャルを秘めている。特にスマートシティ技術や環境配慮型建築のノウハウは、日本企業が強みを発揮できる分野である。
3. FTSE新興市場指数格上げとの関連性:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの投資資金が大幅に流入し、不動産セクターも直接的な恩恵を受ける。The Global Cityのような国際水準の複合都市開発は、外国人投資家にとってベトナム不動産市場の成熟度を示すショーケースとなり、市場全体の信頼性向上に寄与する。
4. ホーチミン市の「グローバルシティ」戦略との整合:ホーチミン市はベトナム政府の方針のもと、国際的な都市間競争力の強化を進めている。地下鉄1号線(ベンタイン~スオイティエン)の開業、環状高速道路の整備、空港拡張計画など、大型インフラ投資が次々と具体化するなかで、The Global Cityのような民間主導の高品質都市開発はまさに官民協調の好事例と位置づけられる。
ベトナムの不動産市場は2023~2024年にかけての調整局面を経て、2025年以降は段階的に回復基調にある。特にホーチミン市東部のトゥドゥック市エリアは、テクノロジーパークや大学群の集積も相まって、中長期的に最も成長ポテンシャルの高い地域の一つと見られている。The Global Cityの開発進捗とインフラ整備の進展は、ベトナム不動産投資における重要なモニタリングポイントとなるだろう。
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