ベトナムのファム・ミン・チン首相は、同国最大の国家プロジェクトであるロンタイン国際空港(ドンナイ省)の第1期工事を2026年上半期中に完成させるよう、関係省庁およびベトナム空港公社(ACV)に対し緊急指令を発出した。2026年2月26日付の政府官房通達第89号により明らかになったもので、国家重要プロジェクト運営委員会の第23回会議における首相の結論が示されている。
ロンタイン空港──東南アジア有数のハブ空港へ
ロンタイン国際空港は、ホーチミン市中心部から北東約40キロメートルに位置するドンナイ省ロンタイン地区に建設中の巨大空港である。完成すれば年間旅客処理能力は最終的に1億人規模となり、現在のタンソンニャット国際空港の慢性的な過密状態を解消し、ベトナムを東南アジアの航空ハブとして飛躍させる狙いがある。第1期工事では年間2,500万人の旅客処理能力を持つターミナルと4,000メートル級滑走路が整備される予定だ。
チン首相は、ACVをはじめとする関係機関に対し、残工事の精査と詳細な工程表の作成を指示。「党・政府・国民に対し、進捗・品質・安全について責任を負うこと」と明言し、違反行為には法に基づく厳正な処分を行う姿勢を示した。
高速道路網──2025年末開通区間のフル稼働へ
通達では、2025年12月19日に技術開通した各高速道路についても言及されている。ホーチミン市、ランソン省、カオバン省、トゥエンクアン省、カインホア省、ダクラク省、ドンナイ省、ドンタップ省、カントー市、アンザン省、タイニン省の各自治体は、残工事の完成を「政治的最重要任務」と位置付け、「3交代・4勤務体制」でのフル稼働を指示された。
建設省は、南北高速道路(東ルート)およびその他開通済み区間において、側道・サービスエリア・料金所・重量管理システム・ITS(高度道路交通システム)の整備を同時並行で完了させるよう各事業主体に命じている。
APEC開催に向けた空港・道路整備
ベトナムは2027年のAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議の開催国となる見込みであり、それに備えたインフラ整備も急ピッチで進む。ハノイ市とバクニン省は、ザービン空港(Gia Bình)へのアクセス道路に関する事業化調査報告書を2026年2月中に承認するよう求められた。また公安省・建設省は、ザービン空港本体の事業化調査報告書の承認手続きを同じく2月中に完了させる方針である。
地方空港・港湾プロジェクトも加速
アンザン省は、フーコック空港(原文では「Cảng hàng không Phú Quốc」と記載されているが、アンザン省管轄の記述があるため文脈上の誤記と推測される)の拡張・アップグレード工事について、品質管理と労働安全を徹底しつつ進捗を加速するよう指示を受けた。
港湾分野では、カイメップ・ティーヴァイ港(バリア・ブンタウ省)、ラックフエン港(ハイフォン市)、リエンチウ港(ダナン市)について、各自治体が用地収用を急ぐよう求められている。さらに、クアンチ空港、フーカット空港、コンダオ空港、トーチュー空港の改修・拡張工事も、品質・安全・進捗を確保しつつ推進するよう通達された。
建設資材の安定供給も課題
大規模インフラ工事に不可欠な建設資材の確保も重要な論点である。ハノイ市、バクニン省、アンザン省、ドンタップ省、ヴィンロン省には、首都圏環状4号線、チャウドック~カントー~ソクチャン高速道路、ミートゥアン~カントー高速道路向けに、一般建設資材の採掘許可・増産に関する特別措置の適用が認められた。ホーチミン市、ドンナイ省、アンザン省、ヴィンロン省は、2026年完成予定プロジェクトへの砕石供給を引き続き優先的に支援する。
また、天候不順による遅延を取り戻すため、各自治体には進捗の再点検と資材の先行確保が求められている。高速道路が通過する省のUBND(人民委員会)は公安省と連携し、工事現場の治安確保と資材盗難への厳正対処を徹底するよう指示された。
日本企業・投資家への示唆
ベトナム政府がインフラ整備を「政治的最優先課題」として推進する姿勢は、製造業の物流コスト削減やサプライチェーンの効率化に直結する。特にロンタイン空港の開港は、ホーチミン経済圏への航空貨物輸送能力を飛躍的に高め、日系メーカーの部品供給体制にも好影響を与えると見込まれる。一方、「3交代・4勤務体制」に象徴される突貫工事は、品質管理や労働安全面でのリスクを内包しており、関連事業に携わる日本企業は現地パートナーとの緊密な情報共有が不可欠となるだろう。
出典: Vn Economy
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