2026年2月18日(現地時間)、ベトナム共産党のトー・ラム書記長は、米国ワシントンD.C.で開催された「ガザ和平会議」の開会式に出席した際、米上院議員2名と相次いで電話会談を行った。相手は、スティーブ・デインズ上院議員(共和党・モンタナ州選出、外交委員会委員)とビル・ハガティ上院議員(共和党・テネシー州選出、外交委員会・歳出委員会委員)である。今回の会談は、ドナルド・トランプ大統領の招待により訪米中のトー・ラム書記長が、米越「包括的戦略パートナーシップ」の一層の強化に向けて精力的に外交活動を展開していることを示すものだ。
30年以上の外交関係を基盤に関係強化を確認
デインズ上院議員との会談において、トー・ラム書記長はまず、ベトナム共産党第14回全国代表大会の成功を祝う書簡を送ってくれたことに謝意を表明した。書記長は、第14回大会で掲げられた国家目標について説明し、「2030年までに中高所得国かつ近代的工業国への移行、2045年までに先進国入りを目指す」という壮大なビジョンを共有した。
トー・ラム書記長は、デインズ議員が米上院において「米越国交樹立30周年記念決議」の採択を推進した功績を高く評価した。この決議は、米国議会における超党派の支持を示すとともに、デインズ議員個人のベトナムへの関心と愛情を体現するものとして、ベトナム側から感謝されている。1995年の国交正常化から30年余りを経て、かつての敵国同士が「包括的戦略パートナーシップ」という最高レベルの外交関係にまで発展したことは、両国関係の劇的な変化を象徴している。
書記長は、議員交流・議会間協力を含む多層的な関係強化の必要性を訴えた。また、経済・貿易・投資関係については「安定的かつ持続可能な方向」での維持を求め、さらに米国議会に対し、戦争被害克服への継続支援を要請した。具体的には、ビエンホア空港(南部ドンナイ省)におけるダイオキシン除染プロジェクト、不発弾処理、障害者・戦争被害者支援、そしてベトナム戦争中に行方不明となったベトナム兵の捜索・身元確認への協力が挙げられた。一方で、トー・ラム書記長は「ベトナムも米国側の戦争行方不明者捜索に全面的かつ責任ある協力を継続する」と約束し、相互主義に基づく協力姿勢を強調した。
デインズ議員は、トー・ラム書記長の再選を祝福するとともに、2025年3月のベトナム訪問時の思い出に触れ、ベトナムの経済・社会発展に感銘を受けたと述べた。米国がベトナムの第2位の貿易相手国となったことを喜ばしく思うとともに、「ベトナムは米国にとって地域における重要な経済パートナーである」と位置づけ、「相互貿易協定」の早期妥結への期待を示した。同議員は、超党派で何世代にもわたる米国議員たちがベトナムとの関係を支持してきた歴史に言及し、「ベトナムが強く、独立し、自立した繁栄国家になることを望む」と表明。各レベルでの接触・訪問団交流の重要性に同意し、戦争被害克服協力などを個人的に優先事項として推進する意向を示した。
また、デインズ議員は、ベトナムがガザ和平会議に参加したことについて、国際社会の能動的・積極的・責任ある一員としての役割を果たしていると高く評価した。
「相互貿易協定」交渉で大きな進展 早期妥結に自信
ハガティ上院議員との会談では、トー・ラム書記長が第14回党大会の成功について報告し、「ベトナムの新たな発展段階の幕開けとなる歴史的転換点」と位置づけた。書記長は、ベトナムが「独立・自主・自立・平和・協力・発展」という対外政策を一貫して堅持し、外交関係の多角化・多様化を推進していることを強調。米国との包括的戦略パートナーシップを効果的かつ実質的に発展させたいとの意向を伝えた。
両者は、政治的信頼関係の強化と経済・貿易・投資協力の拡大が続いていることを喜ばしく確認した。トー・ラム書記長は特に戦争被害克服協力を「両国関係の輝かしい成果」と評価し、議会間交流を含む各レベルでの協力の継続と、安定的・持続的な経済・貿易・投資関係の維持を求めた。
ハガティ議員は、ベトナムの国際的地位と役割の向上を高く評価し、両国共通の利益に基づく包括的戦略パートナーシップの一層の深化を望むと表明した。同議員は、「公正で均衡のとれた相互貿易協定」の交渉で両国が重要な進展を遂げたと述べ、「開放的で率直な相互尊重の精神に基づき、早期に協定を完成させることができると確信している」と楽観的な見通しを示した。両国間の経済協力強化が、包括的戦略パートナーシップの基盤を固めることにつながるとの認識も示された。
ハガティ議員は、米軍行方不明者捜索へのベトナムの積極的かつ責任ある協力に感謝し、米国議会・政府がベトナムの戦争被害克服に引き続き緊密に協力することを約束した。同議員は定期的な対話・接触の重要性に同意し、「近いうちにベトナムを再訪し、二国間関係促進策について直接意見交換したい」との意向を表明。テト(旧正月)を迎えたトー・ラム書記長とベトナム国民に新年の祝賀を伝えた。
日本企業・投資家への示唆
今回の電話会談は、ベトナムが米国との関係強化に極めて積極的であることを改めて印象づけた。トランプ政権下で進む「相互貿易協定」交渉は、関税政策の見直しを伴う可能性があり、ベトナムの対米輸出環境に大きな影響を与え得る。ベトナムに製造拠点を持つ日本企業や、ベトナムへの投資を検討する投資家にとって、米越貿易協定の行方は注視すべき重要事項である。
また、戦争被害克服協力が「両国関係の輝かしい成果」として位置づけられていることは、ベトナムが過去の歴史問題を外交資産として活用しながら、実利的な関係構築を進めていることを示している。ダイオキシン除染や不発弾処理といった分野では、日本企業の技術・ノウハウが貢献できる余地も残されている。
ベトナムがガザ和平会議に参加するなど、国際舞台での存在感を高めていることも注目に値する。ASEAN議長国経験を持つベトナムは、地域の「中堅国」として外交的影響力を拡大しつつあり、日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想においても重要なパートナーであり続けるだろう。
出典: Vn Economy
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