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2026年4月10日夜、ハノイで開催された協同組合セクターの記念式典において、ホー・クオック・ズン(Hồ Quốc Dũng)副首相がデジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーン転換の加速を協同組合に求める方針を表明した。全国の協同組合数は3万4,880超、組合員は約570万人に達しており、ベトナム経済の「集団経済」セクターが新たな成長段階に入りつつある。
ホーチミン主席の呼びかけから80周年——記念式典の概要
この式典は、1946年4月11日にホーチミン主席が地主・農家に対し農業協同組合への参加を呼びかける書簡を発表してから80周年を記念するものである。会場では「協同組合の星(Ngôi sao Hợp tác xã)」賞と「マイ・アン・ティエム(Mai An Tiêm)」賞の授与も行われ、全国から選ばれた100の模範的協同組合が表彰された。
「協同組合の星」賞は優れた経営管理能力と運営実績を持つ組織を対象とし、「マイ・アン・ティエム」賞は起業精神と困難を乗り越える創造性を体現し、国内外市場で競争力のある製品を生み出した協同組合に贈られる。マイ・アン・ティエムとはベトナムの伝説に登場する人物で、無人島に流されながらもスイカ栽培で自立した逸話から「自力更生と創意工夫」の象徴とされている。
協同組合セクターの現状——3.4万超、570万人規模
ズン副首相によると、1948年にベトナム北部の抗仏戦争根拠地(チエンクー・ヴィエットバック)で最初の協同組合が設立されて以来、現在では全国で3万4,880以上の協同組合が活動し、組合員数は約570万人に上る。規模の拡大だけでなく、業種も農業から加工・サービス・ITなど多岐にわたり、国内需要と輸出の双方に対応できる体制が整いつつある。
ベトナム協同組合連盟(Liên minh Hợp tác xã Việt Nam)のカオ・スアン・トゥー・ヴァン(Cao Xuân Thu Vân)主席は、「かつての農村の単純な互助組織から、今日の協同組合は生産思考から経済思考への大転換を遂げている」と強調した。DX、グリーン経済、循環型経済の導入が経営・生産の両面で進み、協同組合同士あるいは企業との連携によるバリューチェーンへの参画が加速しているという。
副首相が示した4つの重点方針
ズン副首相は、協同組合セクターが持続的に発展するための重点課題として以下の4点を挙げた。
第一に、自主・自立の精神発揮。生産・経営における主体的な取り組みと思考の刷新、活動の質と効率の向上を求めた。
第二に、DXとグリーン転換の推進。科学技術の応用とイノベーションを加速し、製品は「クリーン・グリーン・責任ある」基準を満たすべきとした。ターゲット市場として米国、欧州、日本といった「要求の厳しい市場」が明示された点は注目に値する。
第三に、バリューチェーン連携の強化。協同組合間の連携にとどまらず、企業・研究者・国際パートナーとの協力により、各地域の強みを活かした総合力の発揮と競争力向上を目指す。
第四に、制度面のボトルネック解消。2023年に施行された新協同組合法の実効性をさらに高め、政策・メカニズムの整備と資源動員を通じて、国際的な潮流に合った支援体制を構築する方針である。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のニュースは協同組合という「非上場セクター」の話題であり、株式市場への直接的なインパクトは限定的に見える。しかし、いくつかの重要な示唆がある。
農業・食品関連銘柄への間接的追い風。協同組合がバリューチェーンに深く組み込まれることで、上流の種苗・肥料(DCM:ペトロベトナム化学肥料、DPM:ペトロベトナム肥料化学など)や下流の食品加工・輸出企業にとって、安定した原料調達先の拡充につながる。
日本企業との連携機会。副首相が日本を「要求の厳しい市場」として名指ししたことは、ベトナム産農産物・加工品の対日輸出拡大に向けた品質基準の引き上げを意味する。JICAや日本の農業関連企業がベトナムの協同組合と技術支援・バリューチェーン構築で連携する余地は大きい。実際、日本の生協モデルはベトナムの協同組合改革において参考事例として度々言及されてきた。
グリーン成長・ESGテーマとの接続。ベトナム政府が2050年カーボンニュートラルを目標に掲げる中、協同組合を含む農業セクターのグリーン転換は国全体のESG評価向上に寄与する。2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムはガバナンスや持続可能性に関する制度整備を進めており、協同組合法の実効性強化もその文脈に位置づけられる。
構造的な視点。ベトナムの農業はGDPの約12%を占めるが、労働人口に占める割合はなお約27%と高い。協同組合のDX・近代化が進めば、農業生産性の向上を通じて労働力の製造業・サービス業へのシフトが加速し、中長期的にはベトナム全体の経済構造転換を後押しする。投資家としては、農業テック企業やデジタルプラットフォーム、物流関連銘柄にも波及効果が期待できるだろう。
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出典: 元記事












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