ベトナム文化産業を「数十億ドル規模」へ—DatVietVACが2026年IPO計画、市場規模24億ドルの好機

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ベトナム政府が文化産業を国家成長の新たな柱と位置づけるなか、エンターテインメント大手DatVietVAC Group Holdings(ダットベトVACグループホールディングス)が2026年中のIPO(新規株式公開)を計画していることが明らかになった。同国のメディア・エンタメ市場は2026年に24億ドル規模に達する見通しであり、文化を「輸出産業」へと転換する動きが本格化している。

目次

文化を「戦略的競争力」に——ベトナム政府の歴史的転換

ベトナム政府は「決議80号(Nghị quyết 80-NQ/TW)」を通じ、文化を新たな発展の柱と明確に位置づけた。これはベトナムにとって画期的な政策転換である。コンテンツ、テクノロジー、商業が交差するクリエイティブ経済のエコシステムを形成するという方向性が初めて国家戦略として打ち出された。

具体的な目標として、海外における文化センターの設立、グローバル競争力を持つ5つのナショナルブランドの構築、そして年間予算の2%を文化分野に充当することが掲げられている。ベトナムが初めて独自の「国家文化戦略」を策定したという点で、その意義は極めて大きい。

Bloomberg Businessweek Vietnam「The Year Ahead 2026」フォーラムの「Velocity」セッションに登壇したDatVietVACの創業会長ディン・バー・タイン(Đinh Bá Thành)氏は、「文化はもはや単なる遺産ではなく、国家の戦略的競争力そのものだ。4,000年の文明を持つベトナムには特別な優位性がある」と語った。

K-pop、アニメに続け——ベトナム版「ソフトパワー輸出」の挑戦

タイン氏は、韓国のK-pop、日本のアニメ、台湾のMandopop(華語ポップス)を引き合いに出し、文化がすでに各国で「数十億ドル規模の輸出産業」となり、国家の地位を再定義する力を持っていると指摘した。ベトナムも「Kỷ nguyên vươn mình(飛躍の時代)」というスローガンのもと、文化産業を発展の中心に据えようとしている。

ただし同氏は、「文化」と「文化産業」を明確に区別する必要性を強調した。真の文化産業を確立するには、以下の3要素が不可欠だという。

①生産規模(Scale)——安定的かつ大衆のニーズに応える量産体制
②知的財産(IP)の所有・活用能力——多層的なエコシステムを生み出すIP戦略
③「創造×テクノロジー×イノベーション」の融合——製品を国際市場に展開する力

DatVietVACの実績——「Anh Trai Say Hi」コンサートで国際進出を実証

DatVietVAC(ダットベトVAC)は約30年にわたりベトナムのエンタメ業界で事業を展開してきた企業である。現在はコンテンツ(content)、テクノロジー(technology)、イノベーション(innovation)の3本柱からなるエコシステム型の事業モデルを構築している。

その象徴的な事例が、ベトナム国内および米国で開催されたコンサートシリーズ「Anh Trai Say Hi(アイン・チャイ・サイ・ハイ)」「Em Xinh Say Hi」である。ベトナム国内では数十万人規模の観客を動員し、米国ラスベガス公演では約13,000人の観客を集めた。これはベトナム発の文化コンテンツを国際市場で試す初の本格的な取り組みとして注目されている。

経営面では、一過性のヒットに依存しないビジネスモデルの構築を進めている。オリジナルコンテンツを起点に、マルチプラットフォーム配信、イベント運営、ファンコミュニティの育成、アーティストの商業化といった形でIPを連鎖的に活用する仕組みだ。

業績と2026年IPO計画——文化産業銘柄としての注目度

DatVietVACの2025年実績は、売上高3,235億ドン(約3,235 tỷ đồng)、税引後利益380億ドン、配当性向30%であった。2026年の見通しとしては売上高3,382億ドン、利益420億ドンを計画している。さらに2030年までの中期目標として売上高5,000億ドン、年平均成長率15%を掲げ、コンテンツ制作の拡大と国際展開の加速で達成を目指す。

タイン氏は、2026年中にIPOを実施する計画を明らかにした。調達資金はテクノロジー投資、デジタルインフラ整備、海外市場の開拓に充てる方針である。文化産業が国家戦略として追い風を受けるなかでの上場であり、ベトナム株式市場における「文化産業銘柄」の先駆けとなる可能性がある。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響:DatVietVACのIPOが実現すれば、ベトナム市場において初めて本格的な「文化・エンタメ純粋プレイ」銘柄が登場することになる。現状、ホーチミン証券取引所(HOSE)にはメディア・エンタメに特化した大型銘柄が乏しく、投資家にとって新たなセクターへのアクセスが可能になる。売上高3,000億ドン超、利益率10%台という規模感は中型株としては十分に注目に値する。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速する。そのタイミングでの新規上場は、グローバル投資家の目に触れやすいという点で戦略的である。文化産業という「成長ストーリー」は、新興国投資を検討する海外ファンドにとっても魅力的なテーマとなり得る。

日本企業への示唆:日本はアニメ・コンテンツ産業で世界をリードしてきた実績がある。ベトナムが「V-culture」を国策として推進するなかで、日本のコンテンツ企業やIPホルダーとの協業の余地は大きい。共同制作、ライセンス供与、デジタル配信プラットフォームの連携など、多面的なビジネス機会が想定される。また、ベトナムの若年人口(中央年齢30歳台前半)はエンタメ消費の成長余地を裏付けており、市場としてのポテンシャルも高い。

マクロ的な位置づけ:ベトナムは製造業・輸出主導の成長モデルからの多角化を進めている。文化産業への年間予算2%の配分方針は、単なるスローガンではなく財政的裏付けを伴う政策であり、中長期的にセクター全体の底上げにつながる可能性がある。メディア・エンタメ市場が2026年に24億ドルに達するという予測が実現すれば、関連するデジタル広告、イベント運営、観光産業にも波及効果が期待できる。


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出典: 元記事

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