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2026年3月26日、ベトナム建設省はダナン市人民委員会と共催で、2025年建設法(法律番号135/2025/QH15)の施行に向けた会議を開催し、同法を具体化するための施行令(Nghị định)草案に対する意見公募を開始した。同法は2026年7月1日の全面施行を控えており、建設投資プロジェクトの分類・許認可手続きの簡素化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など、ベトナムの建設・不動産業界に広範な影響を与える内容を含んでいる。
会議の概要と建設省の方針
会議は3月26日から27日の2日間にわたり、ダナン市での対面形式と全国各省・市とのオンライン形式のハイブリッドで開催された。開会挨拶に立った建設省のブイ・スアン・ズン(Bùi Xuân Dũng)副大臣は、今回の法改正の背景として、共産党政治局が2025年4月30日に発出した決議第66号(NQ-TW)に基づく「法整備の思考刷新」の精神を挙げた。同決議は、透明で安全かつコンプライアンスコストの低い法的環境の整備、投資・ビジネス環境の継続的改善、行政手続きの簡素化、国民と企業にとっての公平な条件の確保を目標として掲げている。
ブイ・スアン・ズン副大臣は、「法律を早期に実社会へ浸透させるため、建設省はグエン・フック・チャン首相が2026年1月23日に承認した決定第160号(QĐ-TTg)に基づくプログラムに沿って、施行令および通達(Thông tư)の策定を急ピッチで進めている」と強調した。
2025年建設法の主な改正ポイント
2025年12月10日の第15期国会第10回会期で可決された新建設法には、以下のような重要な改正点が盛り込まれている。
1. 建設投資プロジェクトの分類見直し:従来の分類基準が改められ、プロジェクトの規模や性質に応じたより合理的な区分が導入される。これにより、審査・承認プロセスの効率化が期待される。
2. プロジェクトの立案・審査・承認手続きの改革:投資プロジェクトの立案から設計の審査・承認に至るまでの一連のプロセスが見直され、手続きの迅速化と簡素化が図られる。
3. DX・情報技術の活用強化:国家管理におけるIT応用とデジタルトランスフォーメーションの推進が法的に明確化された。具体的には、建設活動に関する国家情報システム・データベースの整備が規定され、「建築物の識別(定danh công trình)」を通じて建設プロジェクトの一元管理が可能になる。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用促進もこの文脈に含まれる。
4. グリーン建築・環境配慮の推奨:環境に優しい建材の使用、スマート建築物、エネルギー効率の高い建設技術の導入が奨励される。ベトナムは2050年までのカーボンニュートラル達成を宣言しており、建設分野での脱炭素化は国家戦略の重要な柱である。
5. 建設秩序管理の強化:分権・権限委譲の推進と事後検査(hậu kiểm)の強化を両立させるための枠組みが整備される。
6. 特別公共投資プロジェクトの簡略化手続き:国家的に重要なインフラプロジェクトについて、迅速な意思決定を可能にする簡易プロセスが導入される。
7つの施行令と4つの通達—2日間で5令1通達を集中審議
新建設法の施行に向けては、建設省、財務省、公安省、国防省が主管となり、合計7つの施行令と4つの通達が策定される。今回の2日間の会議では、このうち5つの施行令と建設工事の等級分類に関する1つの通達について集中的に議論が行われた。
ブイ・スアン・ズン副大臣は、出席者に対し以下の4分野の施行令草案について重点的に意見を求めた。
- 建設活動管理に関する施行令(建設法の一部条項の詳細規定・施行措置)
- 建設投資費用管理に関する施行令
- 建設契約に関する施行令
- 建設活動に関する国家情報システム・データベースおよび建設活動能力条件に関する施行令
ダナン市の対応と期待
共催者であるダナン市人民委員会のレ・クアン・ナム(Lê Quang Nam)副主席は、同市がすでに建設局や各投資主体、関連部局に対し、施行令・通達の草案策定段階から建設省と積極的に連携するよう指示していると述べた。ダナン市はベトナム中部最大の直轄市であり、近年はハイテク産業やスマートシティ構想の推進で注目を集めている都市である。
レ・クアン・ナム副主席は、「今回の会議は、ダナン市が新建設法の内容を十分に理解し、2026年7月1日の施行日以降、建設分野における行政改革をスムーズに推進するための重要な機会である」と強調。具体的には、建設許可、業務資格証明書、設計審査などの手続き時間の短縮を目指すほか、国家建設データベースの整備、BIMの活用推進、グリーン建築・持続可能な建設の推進に積極的に貢献していく姿勢を示した。
なお、新建設法は2026年7月1日が全面施行日であるが、一部の規定については2026年1月1日からすでに先行施行されている点にも留意が必要である。
投資家・ビジネス視点の考察
建設・不動産関連銘柄への影響:行政手続きの簡素化とプロジェクト審査の迅速化は、建設・不動産セクターにとってポジティブな材料である。ベトナム株式市場(ホーチミン証券取引所=HOSE)に上場する大手不動産デベロッパーやゼネコンにとっては、プロジェクトの着工から竣工までのリードタイム短縮が収益改善に直結する。特に、ビングループ(Vingroup、ティッカー:VIC)、ノヴァランド(Novaland、ティッカー:NVL)、コテコンズ(Coteccons、ティッカー:CTD)といった銘柄は、新法の恩恵を受けやすいと見られる。
日系企業・ベトナム進出企業への影響:建設投資費用管理や建設契約に関する施行令の内容次第では、日系ゼネコンやエンジニアリング企業のベトナム事業にも直接的な影響が及ぶ。建設活動の能力条件に関する規定が明確化されれば、外資系企業にとっても参入障壁の見通しが立てやすくなる。また、BIM導入やグリーン建築の推奨は、日本企業が強みを持つ分野であり、新たなビジネス機会につながる可能性がある。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数(エマージング・マーケット)への格上げにおいて、ベトナムの法制度の透明性と予測可能性は重要な評価項目である。建設法の整備とDX推進は、政府のガバナンス改善への取り組みを示す好材料として、海外機関投資家からの評価向上に寄与するだろう。
ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ:ベトナム政府は近年、「分権化と規制緩和の両立」を一貫して推進しており、今回の建設法改正もその延長線上にある。公共投資の加速、インフラ整備の迅速化は、2026年以降のGDP成長率を押し上げる原動力として期待されている。特に、南北高速道路や各地の都市鉄道(メトロ)プロジェクトなど、大型インフラ案件が施行令整備によりさらに加速する可能性は高い。
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