ベトナム映画チェーンGalaxy Cinema、4年連続赤字から脱却—2025年に40億ドン超の黒字転換

Chủ rạp phim Galaxy Cinema thoát lỗ
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ベトナムの映画館チェーン「Galaxy Cinema(ギャラクシーシネマ)」を運営するGalaxy Entertainment Holding(ギャラクシー・エンターテインメント・ホールディング)が、4年連続で数百億ドン規模の赤字を計上してきた苦境から脱却し、2025年通年で40億ドン超の黒字を達成した。コロナ禍で壊滅的な打撃を受けたベトナムの映画館業界にとって、この黒字転換は業界全体の回復を象徴するニュースである。

目次

Galaxy Cinemaとは——ベトナム映画館市場の主要プレイヤー

Galaxy Cinemaは、ベトナム国内で展開される主要シネマコンプレックスチェーンの一つである。ベトナムの映画館市場は、韓国系の「CGV」(CJグループ傘下)、「Lotte Cinema」(ロッテグループ傘下)、そしてベトナム地場資本の「Galaxy Cinema」「BHD Star Cineplex」などが激しくシェア争いを繰り広げている。Galaxy Cinemaはホーチミン市を拠点に、全国の大型ショッピングモールや商業施設内を中心に複数のスクリーンを展開しており、ベトナムの若年層を中心に根強い支持を集めてきた。

運営母体であるGalaxy Entertainment Holdingは、映画館運営のほか、映画配給やコンテンツ制作、オンラインチケット販売プラットフォームなど、エンターテインメント事業を幅広く手がける企業グループである。

4年連続赤字の背景——コロナ禍と消費行動の変化

Galaxy Entertainment Holdingは、2021年から2024年にかけて4年連続で毎年数百億ドン(hàng trăm tỷ)規模の赤字を計上してきた。その最大の要因は、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大である。

ベトナムは2021年半ばから後半にかけて、特にホーチミン市を中心とする南部地域で厳格なロックダウンを実施した。映画館は「不要不急の施設」として長期間にわたり営業停止を余儀なくされ、収入がほぼゼロとなる一方で、テナント賃料や人件費などの固定費は重くのしかかった。2022年以降、営業再開は果たしたものの、観客動員数がコロナ前の水準に戻るには時間を要した。

加えて、コロナ禍を契機にNetflix、FPT Play、VieONといった動画配信サービス(OTT)がベトナム国内で急速に浸透したことも、映画館の集客回復を遅らせた要因である。ベトナムのインターネット普及率は約80%に達し、スマートフォンでの動画視聴が日常化する中、「わざわざ映画館に足を運ぶ」消費行動そのものが問い直される局面が続いていた。

2025年、ついに40億ドン超の黒字へ

こうした逆風の中で、Galaxy Entertainment Holdingは2025年通年で40億ドン(hơn 40 tỷ đồng)を超える純利益を計上し、黒字転換を果たした。4年間にわたる赤字体質から脱却できた背景には、いくつかの要因が指摘できる。

第一に、ベトナムの映画市場そのものの回復がある。2024年後半から2025年にかけて、ベトナム国産映画のヒット作が相次ぎ、観客動員数が大幅に増加した。ベトナムでは旧正月(テト)期間の映画興行が年間売上の大きな比重を占めるが、2025年のテト興行は記録的な成績を残したとされる。

第二に、Galaxy Cinema側のコスト構造改革も寄与していると考えられる。コロナ禍の期間中に不採算店舗の整理やテナント賃料の見直し、人員の効率化などを進めた結果、損益分岐点が引き下げられた可能性が高い。

第三に、映画館の「体験型エンターテインメント」としての価値が再評価されている点も見逃せない。ベトナムの若年人口(全人口約1億人のうち中央年齢は30歳前後)は、友人やカップルでの映画鑑賞を重要な娯楽・社交活動と位置づけており、OTTとの棲み分けが進んでいる。

ベトナム映画館業界の競争環境

ベトナムの映画館市場は、都市化と中間層の拡大を背景に、コロナ前は年率二桁成長を続けていた有望市場である。スクリーン数はASEAN域内でも急速に増加しており、特にイオンモール(日本のイオングループ)やヴィンコム・メガモール(ビングループ(ベトナム最大手のコングロマリット)傘下)などの大型商業施設の出店に伴い、シネマコンプレックスの新規開業が相次いでいる。

市場シェアでは韓国系のCGVがトップを走り、Lotte Cinemaがそれに続く構図が長く続いてきたが、Galaxy Cinemaは地場企業としてのブランド力とベトナム映画の配給ネットワークを武器に、独自のポジションを築いてきた。今回の黒字転換は、同社が競争の激しい市場で生き残り、再成長フェーズに入ったことを示すものである。

投資家・ビジネス視点の考察

Galaxy Entertainment Holdingの黒字転換は、ベトナムのエンターテインメント・消費セクター全体の回復トレンドを裏付けるシグナルとして注目に値する。以下の観点から考察する。

1. ベトナム消費セクターの回復指標として
映画館事業は、消費者の「可処分所得の余裕」と「外出志向」をダイレクトに反映するビジネスである。Galaxy Cinemaの黒字化は、ベトナムの内需・個人消費が力強さを取り戻しつつあることを示唆しており、小売・サービス関連銘柄への投資判断にも好材料となり得る。

2. 日本企業への示唆
ベトナムで大型ショッピングモールを展開するイオングループにとって、テナントである映画館チェーンの業績回復はモール全体の集客力・賃料収入にプラスに働く。元記事の画像がイオンモール・フエ(Aeon Huế)であることからも、Galaxy Cinemaがイオンモール内にテナント出店している可能性がうかがえる。日本のコンテンツ産業(アニメ映画など)のベトナム市場での興行成績拡大にも追い風となろう。

3. FTSE新興市場指数格上げとの関連
2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速し、消費関連を含む幅広いセクターの株式が恩恵を受ける可能性がある。Galaxy Entertainment Holding自体は非上場の可能性もあるが、ベトナムの消費・エンタメセクター全体のバリュエーション底上げにつながる文脈として捉えるべきである。

4. リスク要因
一方で、40億ドン超という黒字額は、過去4年間で累積した数百億ドン規模の赤字と比較すると、まだ回復途上の水準に過ぎない点には留意が必要である。OTTプラットフォームとの競合激化、テナント賃料の上昇、そして韓国系チェーンとの価格競争など、構造的な課題は依然として残っている。持続的な黒字体質の確立に向け、今後数年間の業績推移を注視する必要がある。


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出典: 元記事

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