ベトナム最南端に位置するカマウ省が、2025年夏の行政再編と大規模インフラ整備により、かつての「辺境」から「海洋経済の拠点」へと大きく変貌しようとしている。トー・ラム書記長は同省を「ベトナムという船が大海へ漕ぎ出す際の船首」と表現し、国家戦略上の重要性を強調した。
2025年7月、カマウ省とバクリエウ省が合併──新生カマウ省が誕生
2025年7月1日、カマウ省とバクリエウ省が正式に合併し、新たな「カマウ省」が誕生した。合併後の面積は7,942平方キロメートル超、人口は260万人以上に達する。これにより、同省はベトナム南西部沿岸の発展軸における中核的な結節点となり、エビの生態系養殖・集約養殖、再生可能エネルギー、観光、物流サービス、加工産業といった多角的な発展の基盤を手にすることになった。
カマウ省は、ベトナム本土の最南端「ダットムイ(岬の地)」を擁することで知られる。かつては道路インフラが未整備で、移動の多くを河川・運河に頼らざるを得なかった。地盤が軟弱で建設資材も乏しく、公共投資コストが他地域の数倍に達するなど、開発の遅れが課題とされてきた。
ベトナム最長の海上橋──全長18km超でホンコアイ島と本土を接続
2025年、カマウ省では戦略的インフラ整備が本格化している。最大の目玉は、本土とホンコアイ島を結ぶ全長18キロメートル超の海上橋の建設である。2028年の完成を目標に工事が進行中で、完成すればベトナム国内最長、東南アジア地域でもトップクラスの規模を誇る海上橋となる。
ホンコアイ島は、1940年12月13日に起きた「ホンコアイ蜂起」で知られる歴史的な場所でもある。この蜂起はカマウの党・軍・人民にとって革命史上初の武装蜂起であり、初勝利を記録した記念碑的な出来事だ。現在、12月13日は同省の「革命伝統の日」として制定されている。
橋と並行して、ホンコアイ島には最大25万DWT級の船舶が接岸可能な「ホンコアイ総合・兼用港」の建設も進む。国際海上輸送航路との接続を視野に入れた戦略的深水港として位置づけられており、完成すれば国家物流チェーンの重要な結節点となる見込みだ。
ガス・電力・肥料コンビナート──南西部最大の工業拠点
カマウ省には既に、ベトナム南西部最大の「ガス・電力・肥料コンビナート」が稼働している。20年以上にわたり安定運転を続けるこの施設は、国家重点プロジェクトとして海洋経済、水産養殖・加工産業の発展を牽引し、大手投資家を呼び込む原動力となってきた。雇用創出と地方財政収入の増加にも大きく貢献している。
2025年の経済実績と将来展望
2025年末時点で、カマウ省のGRDP成長率は目標どおり8%を達成。省内総生産は現行価格で172兆ドン超、一人当たりGRDPは年間約8,000万ドンに達した。経済構造はサービス業と工業・建設業がけん引役となり、農林水産業が引き続き基盤を支える形で推移している。
同省の発展戦略は、「海に強く、海から富み、持続可能に発展する」という方針に基づく。海洋領土の主権保護、効率的な海洋経済の開発、国際物流の発展、離島観光の振興を柱に据え、ハイテク水産業、加工産業、クリーンエネルギー、デジタル転換、環境保護、人材育成、文化・観光振興を同時に推進する計画だ。
日本企業・投資家への示唆
カマウ省の急速なインフラ整備と行政再編は、日本企業にとっても注目に値する動きである。特にエビをはじめとする水産加工品はベトナムの主要輸出品であり、日本市場への供給拠点としてカマウ省の重要性は高い。物流網の整備が進めば、輸送コストの低減や鮮度向上が期待でき、サプライチェーンの最適化に寄与する可能性がある。また、再生可能エネルギー分野での投資機会拡大も見込まれる。
かつては「国土の果て」とされたカマウ省が、いま「海洋国家ベトナムの船首」として新たな航路を切り開こうとしている。その変貌は、ベトナム全体の発展戦略を象徴するものと言えるだろう。
出典: Vn Economy
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