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前日の大幅上昇を受けたT+決済(約定日から3営業日後の受渡し)の利益確定売りが集中し、2026年3月26日午前のベトナム株式市場は全面安の展開となった。VN-Indexは17.81ポイント安(-1.07%)で午前の取引を終了。特筆すべきは、売買代金がわずか7,990.4億ドンと前日午前比で19%も減少し、直近5週間で最低水準に落ち込んだことである。「投げ売り」ではなく「買い手不在」による下落という構図が鮮明になった。
午前の相場概況——買い意欲が「蒸発」した半日
ホーチミン証券取引所(HoSE)の値動きの内訳を見ると、上昇銘柄はわずか91に対し、下落銘柄は210と約2.3倍に達した。このうち1%超の下落を記録した銘柄は114にのぼる。VN-Indexは午前10時に一時21.35ポイント安(-1.29%)まで下げ幅を拡大したが、その後はおおむね低水準で横ばいとなり、引けにかけてやや下げ渋った。
注目すべきは、寄り付き直後の9時30分時点ですでに上昇91銘柄、下落152銘柄と売り優勢の構図が完成していた点である。取引時間を通じて売り手が主導権を握り続けたものの、売買代金が極端に薄かったことから、大口の投げ売りというよりも「買い手の撤退」が下げの主因であることが読み取れる。
大型株が軒並み下落——VN30は27銘柄が赤
VN-Indexへの下押し圧力の中心は時価総額上位の大型株であった。主な下落銘柄は以下のとおりである。
- VCB(ベトコムバンク、ベトナム最大の国有商業銀行):-1.03%
- VHM(ビンホームズ、ビングループ傘下の不動産大手):-2.21%
- BID(BIDV、国有大手銀行):-1.01%
- CTG(ビエティンバンク、国有大手銀行):-1.32%
- TCB(テクコムバンク、民間大手銀行):-1.46%
- HPG(ホアファット・グループ、ベトナム最大の鉄鋼メーカー):-1.14%
- GAS(ペトロベトナムガス、国営石油ガス傘下):-2.55%
大型30銘柄で構成されるVN30指数は1.28%の下落で、唯一上昇したのはVJC(ベトジェット航空)のみ。残る27銘柄が下落し、うち20銘柄は1%以上の値下がりとなった。DGC(ドゥクザン化学)、FPT(ベトナム最大手IT企業)、PLX(ペトロリメックス、石油流通大手)、VHM、VRE(ビンコム・リテール)、STB(サコムバンク)、SAB(サベコ、ビール大手)などは2%超の下落を記録している。
とりわけ目を引くのは、VN30構成銘柄の売買代金が3,669.8億ドンと年初来最低を記録した点である。機関投資家を含む大口資金がブルーチップ銘柄から明確に手を引いた格好だ。
中小型株も全面安、ただし売買は低調
直近数日間、資金流入が目立っていた中小型株も軒並み調整に転じた。HoSE全体で1%超下落した114銘柄のうちVN30に含まれるのは20銘柄であり、残る94銘柄は中小型株である。ブルーチップ以外で比較的大きな売買代金を伴った下落銘柄は以下のとおり。
- PNJ(フーニュアンジュエリー、宝飾品大手):-5.41%、売買代金141.9億ドン
- DPM(ペトロベトナム肥料化学、化学肥料大手):-1.36%、138.3億ドン
- BSR(ビンソン精油、ベトナム唯一の製油所運営企業):-2.55%、106億ドン
- DXG(ダットサイゴン不動産):-1.77%、100.6億ドン
一方、流動性が低いまま大幅に下落した銘柄も多い。BVH(バオベト・ホールディングス、保険最大手)が-3.49%、PVD(ペトロベトナム掘削)が-3.17%、BMP(ビンミン・プラスチック)が-3.04%、GMD(ジェマデプト、港湾物流大手)が-2.98%、PAC(ドンアー塗料)が-2.86%、TCX(-2.83%)など。下落上位銘柄の売買代金合計はHoSE全体の約51.7%を占めた。
逆行高銘柄——個別要因で一部に買い
全面安の中でも、一部の銘柄には実需を伴う買いが入った。ただし業種としてのまとまりはなく、あくまで個別材料に基づく動きである。
- CII(ホーチミンインフラ投資):+2.25%、売買代金318億ドン
- PC1(パワー・コンストラクション、電力建設大手):+1.79%、245.9億ドン
- HCM(ホーチミン市証券、大手証券会社):+1.42%、204.1億ドン
- DCM(カマウ肥料、化学肥料メーカー):+1.65%、123.5億ドン
- VCI(バンダリア証券):+2.33%、140億ドン
外国人投資家も買い縮小——FUEVFVND売りが継続
海外投資家の動向にも変化が見られた。HoSEにおける外国人の買い付け額は942.1億ドンと、前日午前比で26%の大幅減少となり、直近5営業日で最も低い水準にとどまった。ネット(差引)では-852.9億ドンの売り越しである。
売り越しの内訳を見ると、最大はETFのFUEVFVND(ベトナム株に連動するファンド証書)で-353.2億ドン。次いでFPTが-155.4億ドン、VCBが-59.4億ドン、SSI(サイゴン証券)が-46.8億ドン、HPGが-42.6億ドン、BIDが-42億ドンと続く。一方、買い越し側ではMWG(モバイルワールド・グループ、家電小売最大手)が+69.8億ドン、MBB(MBバンク)が+42.6億ドン、VPB(VPバンク)が+34.9億ドンと、選別的な買いが見られた。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の調整は、3月20日の「底打ち」局面から2営業日続いた反発に対する典型的なT+利益確定であり、市場参加者の多くが予想していた動きである。重要なのは、下落局面で売買代金が大きく膨らんでいない点だ。これは「パニック売り」ではなく、利益確定売りに対して新たな買い手が現れなかっただけという状況を示唆している。反発局面の売買代金自体もさほど大きくなかったことを考えれば、今回の薄商いは過度に悲観する材料ではない。
ただし、VN30の売買代金が年初来最低を記録したことは、大口資金の様子見姿勢が強まっていることを意味する。2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げ判定を控え、外国人投資家のポジション調整が断続的に発生する可能性がある。FUEVFVNDの継続的な売り越しは、グローバルETFのリバランスに伴うフローである可能性が高く、個別銘柄のファンダメンタルズとは切り離して評価すべきである。
日本企業やベトナム進出を検討する投資家にとっては、ベトナム株の短期的なボラティリティが高まりやすい局面に入っていることを認識しておく必要がある。一方で、CIIやPC1といったインフラ・電力関連銘柄に実需の買いが入っている点は、ベトナム政府が推進する公共投資拡大やエネルギー政策の恩恵を市場が織り込み始めている兆候とも読める。中長期的には、FTSE格上げが実現すれば数十億ドル規模のパッシブ資金流入が期待されるため、現在の調整局面は押し目と捉える向きも少なくない。
午後の取引では、午前中に形成された下値水準が維持されるかどうかが焦点となる。売買代金が回復しないまま引けた場合、翌営業日以降も薄商いの中でのジリ安が続くリスクがある。逆に午後に買い戻しが入り出来高が増加すれば、短期的な底固めが進んだとの見方が強まるだろう。
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