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2026年3月26日、ベトナム株式市場の代表的指数であるVN-Indexは前日比13.56ポイント安(▲0.82%)の1,644.63ポイントで取引を終えた。外国人投資家の10営業日連続の売り越しが重くのしかかる中、市場は1,600〜1,725ポイントの広いレンジで均衡点を探る展開が続いている。複数の大手証券会社が翌27日の市場見通しを発表しており、慎重姿勢が目立つ内容となった。
3月26日の市場概況──朝高後に売り崩され大幅安
VN-Indexは寄り付き直後に1,675ポイント付近まで上昇したものの、この水準で強い売り圧力に押し戻され、その後は1,635〜1,650ポイントの狭いレンジで膠着。結局1,644.63ポイントで引けた。ハノイ証券取引所のHNX-Indexも1.46ポイント安(▲0.58%)の248.21ポイントと連れ安した。
セクター別では18業種中14業種が下落。保険セクターの下げが最も大きく、IT(情報技術)セクターがこれに続いた。一方、産業財・サービスセクターは数少ないプラス圏で引ける業種となった。個別銘柄ではVHM(ビンホームズ、ベトナム最大の不動産デベロッパー)、GAS(ペトロベトナムガス)、FPT(ベトナム最大手IT企業)といったVN30構成の大型株に売りが集中し、指数を押し下げた。市場全体の値下がり銘柄数は207に上り、セリングプレッシャーの広がりが確認された。
外国人投資家はホーチミン証券取引所(HSX)で売り越しを継続。一方、ハノイ証券取引所(HNX)およびUPCoM市場では小幅ながら買い越しに転じたが、全体としては10営業日連続の売り越しとなっており、市場のセンチメントを冷やす大きな要因となっている。
主要証券各社の見通し──6社の分析を読み解く
バオベト証券(BVSC):200日移動平均線付近での保ち合い継続を予想
BVSCは、VN-Indexが200日移動平均線(MA200)を軸とした保ち合い局面に入りつつあると分析。外国人の10日連続売り越しが回復の足かせになっており、新たな価格帯を形成するにはさらに時間を要するとの見方を示した。投資戦略としては、既存の短期ポジションは保持しつつ、VN-Indexが1,700ポイントのレジスタンスゾーンに接近した場面での段階的な利確を推奨。新規のトレーディング買いは、底値から2〜3日反発した銘柄の高値追いは避け、不動産・銀行・電力・証券セクターの押し目でのT+(翌営業日以降受け渡し)トレードを優先すべきとしている。
BSC証券(ベトナム投資開発銀行系):1,600〜1,725ポイントで均衡点模索
BSCは、市場が1,600〜1,725ポイントの広いレンジ内で均衡点を見つけようとしていると指摘。当面の焦点は1,645〜1,660ポイントのレジスタンスゾーンであり、ここを明確に上抜けできるかが1,700〜1,725ポイントへの回帰の条件になるとの見解を示した。
SHS証券(サイゴン・ハノイ証券):短期下落トレンド継続、中型株に資金シフト
SHSは、VN-Indexの短期トレンドは1,660ポイント(MA200に相当)をレジスタンスとした下落基調にあると判断。注目すべきは、VN-Index全体の動きがVN30(大型株30銘柄で構成)よりも相対的に堅調である点で、これは中型株への資金シフトを示唆している。2026年第1四半期の業績改善期待に加え、中東の地政学リスクに伴う供給不安の恩恵を受けるセクターへの短期的な投機が活発化しているとの分析だ。ただし、原油価格の高止まりがマイナス要因となるセクターについてはポジション縮小を推奨。全体としては「中立」スタンスに回帰し、VN-Indexが下落トレンドを脱し、出来高の改善が確認されるまで慎重姿勢を維持すべきとしている。ファンダメンタルズの良好な業界トップ企業への中長期投資を推奨する点も付け加えている。
ティエンベト証券(TVS):最も弱気、1,590ポイントの底値再テストを警戒
TVSは今回の各社見通しの中で最も弱気な見解を示した。VN-IndexがMA200を試した後に反落し、かつ出来高も減少していることから、回復のモメンタムは「かなり弱い」と断じている。加えて、世界的な原油価格の再上昇もネガティブ要因として指摘。短期的には1,590ポイントの直近安値を再テストする可能性が高く、より悲観的なシナリオでは1,530〜1,550ポイント(過去の高値圏)まで下落する恐れもあるとした。底値拾いを狙う投資家に対しては、上記サポートラインでのVN-Indexの反応を慎重に確認してから行動するよう求めている。
ユアンタ・ベトナム証券(YSVN):出来高減少下の調整、売り圧力は限定的
YSVNはやや楽観的な見方を含む。出来高が減少する中での調整であることから、売り圧力自体は大きくないと分析。1,630ポイント付近がサポートとして機能しており、チャート上は保ち合い局面入りの兆候が見られるとした。直近のレジスタンスは1,690〜1,700ポイント。短期戦略としては株式比率を低めに維持しつつ、調整局面での試し買いを検討する余地があるとしている。
VCBS証券(ベトナム外商銀行系):1,630〜1,640ポイントで需給テスト中
VCBSは、テクニカル指標を詳細に分析。日足チャートではRSI(相対力指数)がやや下向きである一方、MACD(移動平均収束拡散法)は依然上向きであり、VN-IndexはMA200(1,635ポイント付近)に接近しつつもまだ割り込んでいない。このため、翌営業日は1,630〜1,650ポイント圏での揉み合い継続の可能性が高いと予想。時間足チャートでは各指標が横ばいまたは緩やかな上昇を示しており、1,627ポイント(ボリンジャーバンドのMA20付近)が最も近いサポートラインとなる。投資戦略としては、調整局面や日中の振幅を活用した試し買いを推奨。深い調整を経て底値圏で保ち合いを形成している銘柄や、保ち合いから上放れしつつある電力・小売・証券・銀行セクターの銘柄を優先的に検討すべきとしている。
SSI証券(ベトナム最大手証券):MA200付近で保ち合い形成中、ブレイクの確認待ち
SSIは、VN-IndexがMA200付近で振幅を縮小させつつ揉み合っている状況を「保ち合い形成プロセス」と位置づけた。低出来高がこの見方を裏付けている。今後の方向性は、この均衡ゾーンをどちらにブレイクするか、そしてそのブレイクに出来高の裏付けがあるかで決まるとした。テクニカル上は、短期・中期ともに下落トレンドが継続中で、レジスタンスは1,680〜1,700ポイント、サポートは1,580〜1,600ポイントとしている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の各社レポートを総合すると、VN-Indexは1,600〜1,725ポイントという比較的広いレンジの中で方向感を探る局面にあり、短期的にはMA200(1,635〜1,660ポイント)付近での需給テストが最大の焦点となっている。以下のポイントに注目したい。
①外国人売り越しの長期化リスク:10営業日連続の売り越しは、ベトナム市場における外国人投資家のリスクオフ姿勢を如実に反映している。背景には、中東の地政学リスクの高まりと原油高、さらにはグローバルなリスク資産からの資金流出がある。この流れが止まらない限り、VN-Indexの本格的な反転は難しいと考えるべきだ。
②原油高のベトナム経済への二面性:ベトナムは石油の純輸出国から純輸入国に転じた経緯があり、原油高は貿易収支やインフレ見通しにマイナスに作用する側面がある。一方で、ペトロベトナム関連企業にとっては追い風となる面もあり、セクター選別がより重要になる。
③2026年第1四半期決算への期待と選別物色:複数の証券会社が指摘しているように、市場参加者の関心は第1四半期(1〜3月)の業績発表に向かいつつある。特に中型株やファンダメンタルズの良好な銘柄への選別投資が進んでおり、VN-Index全体がVN30よりも堅調という構図はこの流れを裏付けている。
④FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2025年にFTSEラッセルのウォッチリストに残ったベトナムは、2026年9月の再評価で正式に「セカンダリー・エマージング」への格上げが決定される可能性がある。格上げが実現すれば、パッシブファンドを中心に数十億ドル規模の資金流入が見込まれるが、現在の外国人売り越し局面はむしろ格上げ前の「仕込み期」として注視すべきタイミングともいえる。格上げ恩恵を最大限に享受し得る銘柄(大型株・流動性上位銘柄)のバリュエーションが調整されている今こそ、中長期投資家にとっては注意深く銘柄を選定する好機とも捉えられる。
⑤日本企業・日系投資家への示唆:ベトナムに製造拠点を持つ日本企業にとって、原油高に伴う物流コスト上昇やインフレ圧力は注視すべきリスクだ。一方で、ベトナム政府が推進するインフラ投資や電力開発は中長期的な成長ドライバーであり、電力セクターや産業財セクターへの関心は引き続き高いといえる。
総じて、短期的には慎重姿勢が求められる局面だが、中長期の構造的な成長シナリオは依然健在である。VN-Indexが1,600ポイント付近のサポートを維持できるかが目先の最大の試金石であり、ここを割り込む場合は1,530〜1,550ポイントまでの調整も視野に入れたリスク管理が不可欠だ。逆に、出来高を伴って1,700ポイントを回復する展開となれば、外国人買い転換の可能性も含めてセンチメントの改善が期待できるだろう。
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