ベトナム株VN-Indexが1600ポイント割れ、3.44%急落—専門家が語る底値の条件と投資戦略

VN-Index "bục" 1600 điểm, cổ phiếu "quá bán" la liệt, chuyên gia nói gì?
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ベトナム株式市場の代表的指数であるVN-Indexが、週明けの取引で心理的節目の1,600ポイントを割り込み、前週末比56.64ポイント安(-3.44%)の1,591.17で引けた。中東・イランを巡る地政学リスクの高まりと原油価格の高止まりが世界的なリスクオフを誘発し、ベトナム市場にも容赦ない売りが押し寄せた格好である。市場関係者の間では「底入れは近い」との見方がある一方、「まだ条件が整っていない」との慎重論も根強い。

目次

市場の惨状——317銘柄下落、ストップ安38銘柄

この日の売りは寄り付き直後から激しかった。大量の投げ売りが追い証(コールマージン)の連鎖を呼び、下げ幅は一気に拡大した。市場全体の騰落状況を示す「市場幅(マーケットブレス)」は極端に悪化し、下落銘柄317に対して上昇銘柄はわずか33。ホーチミン証券取引所(HoSE)だけでもストップ安に張り付いた銘柄が38に達した。

ストップ安となった代表的銘柄には、VIC(ビングループ、ベトナム最大手コングロマリット)、GVR(ベトナムゴムグループ)、MWG(モバイルワールド、家電量販大手)、BSR(ビンソン製油)、PNJ(フーニュアンジュエリー)、VCI(バンタイン証券)、VND(VNダイレクト証券)、HCM(ホーチミン市証券)、DGC(ドゥックザン化学)、GEX(ジェレックス・グループ)など、直近で活発に取引されていた主力銘柄が軒並み含まれる。一方、わずかに買いが入ったのはTCX、LPB(リエンベト・ポスト銀行)、VPX、VNM(ビナミルク)、SAB(サベコ、ベトナム最大手ビールメーカー)など限定的であった。

薄い商い——「割安」でも買い手不在の深刻さ

もう一つ注目すべきは出来高の低さである。HoSE・HNX(ハノイ証券取引所)・UPCoM(未上場企業向け市場)の3市場合計の約定代金は3兆500億ドン(約3万500億ドン=30,500 tỷ đồng)にとどまった。多くの銘柄が割安水準にまで売り込まれているにもかかわらず、押し目買いの資金は極めて慎重であり、投資家心理の冷え込みが鮮明となっている。

専門家の見立て——「底値圏は近いが、確認には条件がある」

ユアンタ証券(Yuanta)のリテール部門リサーチ・分析部長であるグエン・テ・ミン氏は、今回の局面について以下のように分析している。

まず同氏は「現在の局面では、指数の上下そのものが市場の本質的な状態を反映しているとは限らない。より重要なのは『真の均衡水準はどこか』という問いだ」と指摘。多くの銘柄が「過売り(オーバーソールド)」状態にあり、バリュエーション(株価評価)も魅力的な水準に低下しているが、それだけでは底値確認の「十分条件」にはならないと強調した。

VN-Indexの短期的なレンジについては1,550〜1,600ポイントを想定しており、今週中に底入れする可能性があるとの見通しを示した。

中東地政学リスクと原油価格——22営業日の経験則

ミン氏が最大のリスク要因として挙げたのは、イランを中心とした中東の地政学的緊張である。過去の統計では、中東で軍事的緊張が高まるたびに市場への影響はおよそ22営業日(約1カ月)続くパターンが確認されているという。現時点でVN-Indexが影響を受け始めてからすでに約3週間が経過しており、原油価格は依然として高止まりしている。

ただし、ここへ来て明るい兆しも見え始めている。直近1週間の原油価格は上昇の勢いが鈍り、100〜120 USDのレンジで横ばいに推移。直近の週では100〜110 USDに収れんしつつある。ミン氏は「この横ばい化は、市場が原油高に関するネガティブ材料の大部分を織り込んだことを示唆している」と分析。地政学的緊張が1カ月を超えて長期化せず、原油価格が100〜110 USD近辺で推移し続けるなら、原油は反落前の「ダイバージェンス(分岐)」局面に入った可能性が高いとした。原油が反落に転じれば、株式市場には追い風となる。「紛争の正確な見通しを立てるのは困難だが、コモディティ市場の需給を観察する限り、原油価格が反転する確率はかなり高い」と同氏は述べた。

マクロリスクは限定的——CDS・インフレ・金利の現状

マクロ経済のリスク指標についても、ミン氏は冷静な見方を示している。国の信用リスクを測るCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドはわずかに上昇した程度で、警戒シグナルを発する水準には達していない。これはベトナムのマクロ経済の安定性が大きく損なわれていないことを意味する。

また、グローバルなインフレ圧力に関しても、現時点で上昇しているのは原油価格のみであり、天然ガスなど他のエネルギー価格はまだ大きく動いていない。このため、「利上げリスクは顕在化しておらず、市場の長期的な上昇トレンドが転換したとは言えない」というのが同氏の結論である。

推奨される投資戦略——キャッシュポジション別のアプローチ

ミン氏は投資家のポジション状況に応じて異なる戦略を推奨している。

  • 現金比率が高い投資家:焦って全力買いせず、少額の「打診買い」から始めるのが賢明。底入れを確認してから本格的な資金投入を行うべきである。
  • 株式を保有中でマージンコールの圧力がない投資家:現時点で慌てて損切りする必要はない。トレンド転換のシグナルを確認してからポートフォリオを再構成するのが望ましい。

底入れ後に注目すべきセクターとして、ミン氏は以下の3つを挙げた。

  1. 銀行株:PBR(株価純資産倍率)が魅力的な水準に低下しており、特にCASA比率(低コスト預金比率)の高い大型銀行が有望。
  2. 保険株:金利が高止まりする環境では運用収益が拡大しやすく、業績面で恩恵を受けやすい。
  3. エネルギー株(特に電力):エネルギー需要の構造的拡大を背景に中長期的なポジティブ見通しが継続。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の急落は、ベトナム市場が依然としてグローバルなリスクセンチメントに強く連動する「新興市場」であることを改めて浮き彫りにした。2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数への正式格上げは、海外の機関投資家資金の大規模流入をもたらすと期待されているが、その前段階ではこうした急落局面がむしろ「安値での仕込み」の好機となりうる。中長期的な視点を持つ投資家にとって、VN-Indexが1,550〜1,600ポイントの水準まで調整した今回の局面は、FTSE格上げを先取りするエントリーポイントとして記憶に留めておくべきだろう。

日本企業にとっては、原油価格の高止まりが製造コストやサプライチェーンに波及するリスクがある一方、ベトナムドンの安定やCDS水準の落ち着きは、現地事業環境の根本的な悪化を示すものではない。ベトナムに進出済み、あるいは進出を検討中の日系企業にとっては、短期的なマーケットノイズに振り回されず、構造的な成長ストーリー——若年人口、都市化、FDI流入——に軸足を置くことが引き続き重要である。

なお、今回の記事に登場する原油価格が100〜120 USDという水準は、ベトナムの国家予算(歳入の一部を原油関連収入に依存)にとってはプラス面もある一方、輸入物価の上昇を通じたインフレ圧力やベトナム国家銀行(中央銀行)の金融政策に制約を与える可能性がある点には注意が必要である。


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出典: 元記事

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