ベトナム株VN-Index午前+1.92%の大幅高も売買代金は急減—「疑念の中の上昇」が示す市場心理

Thị trường tiếp tục tăng trong nghi ngờ, thanh khoản giảm mạnh
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2025年3月25日午前のベトナム株式市場は、中東情勢の緊張緩和期待と原油価格の急落を追い風にVN-Indexが前日比+1.92%(+30.99ポイント)と大幅に上昇した。値上がり銘柄数は251に対し値下がりはわずか77と、市場の「広がり(ブレッドス)」は極めて良好であった。しかし、売買代金はホーチミン証券取引所(HoSE)でわずか9,808.7億ドンにとどまり、前日午前比で約3%の減少、週初来の最低水準を記録。価格は上がっても資金は入ってこない——まさに「疑念の中の上昇」と呼ぶにふさわしい展開である。

目次

中東緊張緩和と原油急落が心理面を下支え

今回の上昇のきっかけとなったのは、中東情勢を巡る新たな緊張緩和の報道である。国際原油価格が大幅に下落したことで、インフレ懸念や地政学リスクへの警戒感が後退し、ベトナム市場においても投資家心理が改善した。ベトナムは石油の純輸入国ではないものの、ガソリン価格やエネルギーコストの上昇は消費者物価指数(CPI)に直結するため、原油安はマクロ経済にとってポジティブな材料と受け止められる。

価格は急伸、しかし売買代金は週初来最低

午前の取引でHoSEの売買代金は9,808.7億ドンと低調であった。特にブルーチップ(大型優良株)への資金流入は約4,515.8億ドンにとどまり、直近4営業日で最も少ない水準である。VN30銘柄群がHoSE全体の売買代金に占める比率はわずか46%まで低下し、昨年9月以降で最低を記録した。

一方で値上がり幅は大きく、1%超の上昇を見せた銘柄は156に達し、HoSEの総売買代金の73.5%を占めた。この「低い売買代金にもかかわらず大きな値上がり幅」という組み合わせは、売り圧力が極めて薄い「売り控え(ティエット・クン)」の状態を如実に示している。つまり、積極的な買いが入って上がったのではなく、売りが出てこないために少量の買いでも価格が跳ね上がった構図である。

大型株:ビングループ系が軒並み急伸

時価総額上位10銘柄はすべて上昇した。とりわけ目立ったのはビングループ(Vingroup、ティッカー:VIC、ベトナム最大手のコングロマリット)の+4.11%、ビンホームズ(Vinhomes、ティッカー:VHM、不動産開発大手)の+4.14%という上昇幅である。金融セクターではVPバンク(VPBank、ティッカー:VPB)が+2.57%、テクコムバンク(Techcombank、ティッカー:TCB)が+1.84%、MBバンク(MBBank、ティッカー:MBB)が+1.56%と堅調。エネルギー分野ではペトロベトナムガス(PetroVietnam Gas、ティッカー:GAS)が+1.98%上昇した。VN30-Indexは午前終値で+1.63%であった。

中小型株に資金がシフト——Midcap指数がVN30を凌駕

注目すべきは、中小型株への資金流入が相対的に活発化していた点である。Midcap指数は+2.09%とVN30を上回る上昇率を記録し、HoSE全体の売買代金に占める比率も48.4%とVN30の46%を超えた。個別では以下の銘柄が高い売買代金を伴って上昇した。

  • BSR(ビンソンリファイナリー、ベトナム最大の石油精製企業):+3.41%、売買代金328.7億ドン
  • VIX(VIX証券):+2.88%、売買代金290.4億ドン
  • REE(REEコーポレーション、電力・インフラ投資):+6.94%、売買代金252.6億ドン
  • HCM(ホーチミン市証券、ベトナム大手証券会社):+5.82%、売買代金210.2億ドン
  • VCI(ヴィエットキャピタル証券):+2.94%、売買代金195.9億ドン

ストップ高(値幅制限上限)に張り付いた銘柄としては、NT2(ニョンチャック2火力発電)、REE、TV2、PC1(パワーコンストラクション1)、TTA、GEG(ハザン省風力発電関連のジアライ・エレクトリシティ)が挙げられ、いずれも比較的良好な売買代金を伴っていた。電力・エネルギーセクターにストップ高銘柄が集中した点は、原油安の恩恵を受けるセクターとして投資家に意識されたことの表れであろう。

利益確定売りも出現——高値からの調整幅に注目

午前の取引中、VN30-Indexは一時+2.21%まで上昇した後、引けにかけてやや失速した。個別銘柄でも高値からの調整が見られ、GVR(ベトナムゴムグループ)は+5.4%で引けたものの高値からは約0.82%下落、SSI(SSI証券、ベトナム最大手の証券会社)は+3.67%ながら高値比で1.47%の調整、PLX(ペトロリメックス、ベトナム最大のガソリン販売企業)は+3.52%ながら高値比2.6%の調整、MWG(モバイル・ワールド・グループ、家電・携帯販売最大手)は+3.03%ながら高値比1.01%の調整であった。

VN-Index構成銘柄のうち、取引のあった銘柄の41.6%が高値から1%以上下落している。ただし、元記事が指摘する通り、売り手は「投げ売り」ではなく「より良い価格を選んで売る」姿勢を崩していない。これは売り手側にも一定の強気心理が残っていることを意味する。

逆行安銘柄は限定的

1%超の下落かつ売買代金10億ドン以上の銘柄はわずか15にとどまった。目立ったところでは、VJC(ベトジェットエア、ベトナムのLCC最大手)が-1.9%(売買代金101.5億ドン)、NAFが-2.27%(17.8億ドン)、VVSが-3.83%(13.9億ドン)、DCLが-1.59%(13.3億ドン)、MCH(マサンコンシューマー)が-1.97%(10.4億ドン)であった。航空株であるVJCの下落は、原油安が本来追い風となるはずだが、直近の急騰に対する利益確定が勝った格好である。

外国人投資家は売り越し拡大——ただしETF要因が大半

午前の外国人投資家の売買動向は、ネットで-612.8億ドンの売り越しとなり、前日午前の-360億ドンから売り越し幅が拡大した。しかし内訳を見ると、売り越しの大部分はETF(上場投資信託)であるFUEVFVND(ダイヤモンドETF)への-543.6億ドンの売り越しに起因する。個別株ではVCB(ベトコムバンク、ベトナム最大の国営商業銀行)が-95.7億ドン、BID(BIDV、国営大手銀行)が-60.4億ドン、STB(サコムバンク)が-58.9億ドンの売り越しであった。一方、買い越しではMWGが+58.9億ドン、VHMが+56.6億ドン、HCMが+31.3億ドンと、外国人が選別的に中小型・不動産株を拾っている姿が見て取れる。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の「低売買代金・高上昇率」という現象は、ベトナム株式市場においてしばしば観察されるパターンである。いわゆる「疑念の中の上昇(tăng trong nghi ngờ)」は、強気相場の初期段階に現れることが多い反面、売買代金の裏付けがないまま上昇が続けば、一転して急落するリスクもはらんでいる。

注目すべきポイントは以下の3点である。

第一に、中小型株への資金シフトである。VN30の売買代金シェアが46%まで低下し、Midcap銘柄群がそれを上回るという異例の事態は、投資家が大型株の高値警戒から中小型株に物色対象を広げていることを示唆する。特に証券セクター(SSI、HCM、VCI、VIX)への資金流入は、市場全体の取引活性化への期待を反映している可能性がある。

第二に、FTSE新興市場指数への格上げ(2026年9月決定見込み)との関連である。ベトナムがFTSEの「セカンダリー・エマージング」に格上げされれば、グローバルなパッシブ資金の大量流入が見込まれる。現段階ではETFを通じた外国人の売り越しが目立つが、格上げが近づくにつれ、ブルーチップへの先回り買いが本格化する可能性がある。今回のETF売り越し(FUEVFVND -543.6億ドン)は、ファンドのリバランスに伴う一時的な動きと解釈するのが妥当であろう。

第三に、原油安がベトナム経済に与える複合的な影響である。ベトナムは原油の生産国でもあるため、BSR(石油精製)やPLX(ガソリン販売)にはプラスの面とマイナスの面が混在する。しかし、マクロ経済全体としてはインフレ圧力の低下を通じて中央銀行(ベトナム国家銀行)の緩和的な金融政策を後押しする要因となり得る。日本からベトナムに進出している製造業にとっても、エネルギーコストの低下は好材料である。

午後の後場で売買代金が回復し、VN-Indexが午前の上昇幅を維持できるかどうかが、短期的な相場の方向性を占う鍵となる。買い手が本格的に戻らないまま「売り控え」だけで上昇が続く状態は長くは持続しない。今後数日の売買代金の推移を注視したい。


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出典: 元記事

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