ベトナム航空インフラが大変革期へ——2025年、ロンタイン国際空港始動・タンソンニャットT3開業で「アジアのハブ」を目指す

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2025年、ベトナムの航空インフラが歴史的な転換点を迎えている。長年の課題であった空港の過密状態を解消するため、政府は主要空港の大規模拡張と新空港建設を同時並行で推進。世界の航空業界が地政学リスクやサプライチェーンの混乱に揺れる中、ベトナムは旅客数・貨物量ともに二桁成長を維持し、「単なる目的地」から「アジアの航空ハブ」への脱皮を図っている。

目次

世界が停滞する中、ベトナム航空市場は二桁成長を維持

2025年の世界航空業界は、地政学的緊張、サプライチェーンの断絶、航空安全に関するリスクの高まりなど、多くの不確定要素に直面している。こうした厳しい環境下において、ベトナム航空市場の堅調さは際立っている。

ベトナム航空局の発表によると、2025年の年間旅客数は8,350万人を超え、前年比10.7%増を記録。貨物取扱量も150万トン以上に達し、18%以上の伸びを示した。過去10年以上にわたり、ベトナムの航空市場は急成長を続けてきたが、インフラ整備が需要拡大に追いつかず、主要空港での慢性的な混雑が大きな課題となっていた。

2025年初頭、政府が直面した課題は「ターミナルをいくつ増設するか」「滑走路を何本拡張するか」といった単純な量的拡大ではなく、空港システム全体を経済規模と国際環境のリスクに適合する形で再編成するという、より本質的なものへと変化していた。

南北の主要空港が大幅拡張——タンソンニャットT3とノイバイT2

政府はこうしたボトルネックを解消すべく、2025年中に複数の重要プロジェクトを完成・稼働させた。

南部では、ベトナム最大の空港であるタンソンニャット国際空港(ホーチミン市)の第3ターミナル(T3)が2025年4月30日に供用を開始。これにより年間約2,000万人の旅客処理能力が追加された。同空港は長年にわたり設計容量を大幅に超過した状態で運用されてきたが、T3の開業により旅客動線の再編成が可能となり、既存ターミナルへの負荷軽減が期待されている。

北部では、ノイバイ国際空港(ハノイ)の第2ターミナル(T2)拡張工事が2025年12月19日に完了。国際線ターミナルの処理能力は年間約1,500万人に増強された。新型コロナ後の国際線需要の急回復に対応するため、施設拡張と同時に運航管理・調整システムの近代化も進められている。

これら二大空港に加え、ヴィン空港(中部ゲアン省)やカマウ空港(最南端カマウ省)といった地方空港の改修・拡張も進行中だ。これらのプロジェクトは規模こそ大きくないが、繁忙期における中央空港への集中を緩和する役割を担っている。

ロンタイン国際空港——「目的地」から「ハブ」への転換点

ベトナム航空インフラ再編の中核に位置するのが、ドンナイ省に建設中のロンタイン国際空港である。その意義は投資規模の大きさだけでなく、ベトナム航空システムの長期的な構造転換における役割にある。

これまでベトナムの航空産業は、主に「最終目的地」としての機能を果たしてきた。高付加価値の航空貨物を含む国際トランジット需要の多くは、シンガポール、バンコク、香港といった地域のハブ空港に依存してきた。この構造は、ベトナムの航空物流チェーンに自主性の欠如と外部ショックへの脆弱性をもたらしていた。

ロンタイン国際空港は、この状況を段階的に変革するために設計されている。第1期から大規模な処理能力を備え、将来の拡張余地も明確に確保。物流エコシステムとの統合を前提とした設計により、単なる旅客空港ではなく、経済・物流の中枢として機能することが期待されている。

2025年12月19日には初の技術フライトが実施され、第1期の主要施設が稼働準備を完了したことが確認された。商業運航の本格開始は2026年に予定されているが、この技術的マイルストーンは、ベトナム航空の将来構造におけるロンタイン空港の位置づけを明確にするものとなった。

注目すべきは、ロンタイン空港が「孤立したインフラ島」として開発されていない点である。高速道路網、東南部地域の主要交通軸、そして将来的な空港連絡鉄道との接続が計画されており、空港を単なる離発着地点ではなく「物流・経済センター」として位置づける思想が反映されている。

首都圏にも新空港——ザービン空港で「多極型」航空網へ

南部でロンタイン空港が国際ハブを目指す一方、北部では首都圏の航空空間再編が進んでいる。2025年12月、国会はバクニン省ザービン地区への新空港建設を承認した。

長年、ノイバイ国際空港は国際ゲートウェイ、トランジットハブ、国内線拠点という複数の役割を一手に担ってきた。その結果、ピーク時間帯の運用負荷は限界に達していた。

ザービン空港は民間と軍事の「両用モデル」で計画されており、投資効率の最適化と緊急事態への対応力向上が図られている。また、急成長するバクニン省の工業団地、テクノロジーパーク、物流センターとの連携により、航空インフラと製造業・ハイテク産業との結びつきが強化される見込みだ。

空間発展の観点から見ると、ザービン空港は首都圏の航空インフラを「一極集中型」から「多極分散型」へと転換させる。これにより旅客・貨物の流れが再配分され、システム全体の適応力が向上することが期待されている。

デジタル化と安全管理——ハード面だけでは不十分

政府は航空セクターに対し、「安全を最重要かつ一貫した任務」とすることを繰り返し強調している。特にピーク時における運用管理と最適化が、新インフラの実効性を左右する決定的要因と位置づけられている。

同時に、デジタルトランスフォーメーション、航空データベースの構築、離発着スロット調整ツールの導入が必須要件として掲げられている。輸送量が増大する中、透明性の高いスマート運用能力こそが、システムの安全かつ効率的な運営を支える条件となる。

「需要追従型」から「需要創出型」へ——発想の転換

2025年の航空インフラをめぐる動きは、ベトナムの開発思想における明確なシフトを示している。従来の「需要があれば拡張する」という受動的アプローチから、「インフラで新たな経済空間を創出する」という能動的アプローチへの転換である。

大規模空港、補完的な地方空港、それらを結ぶ交通ネットワークの同時整備は、現在の需要に対応するだけでなく、新たな経済圏の形成を牽引する基盤として機能することを目指している。

日本企業・投資家への示唆

ベトナムの航空インフラ大転換は、同国に進出する日本企業や投資家にとっても重要な意味を持つ。ロンタイン空港の稼働は、南部の製造拠点からの輸出物流を大幅に効率化する可能性がある。また、首都圏のザービン空港は、バクニン省に集積する日系電子部品メーカーにとって、サプライチェーンの柔軟性向上に寄与するだろう。

航空インフラの充実は、ベトナムのASEAN域内における地位向上にもつながる。「チャイナ・プラスワン」戦略の受け皿として、ベトナムの競争力は一段と高まることが予想される。

出典: Vn Economy

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