ベトナム農業企業の衝撃──持続可能性認証を持つ約100社のうち「グリーンローン」を借りられたのはたった1社だけ

Chỉ một trong gần 100 doanh nghiệp nông nghiệp vay được vốn xanh

ベトナムで持続可能な農業に取り組む企業が直面する深刻な資金調達の壁が、改めて浮き彫りになった。持続可能な農業認証を少なくとも1つ取得している約100社を対象にした調査で、実際に「グリーンローン(緑色融資)」を借り入れることができた企業はわずか1社にとどまったことが明らかになった。この衝撃的なデータは、ベトナムの社会的企業支援を手がけるMSD(Management and Sustainable Development Institute/持続可能開発経営研究所)が公表したものである。

目次

グリーンファイナンスの理想と現実

グリーンローンとは、環境改善や持続可能な事業活動を目的とした資金を融資する金融商品であり、世界的にはESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大に伴い急速に普及が進んでいる。ベトナムでも近年、政府がグリーン成長戦略を掲げ、2050年までのカーボンニュートラル達成を国際社会に約束するなど、制度面での枠組み整備が進められてきた。ベトナム国家銀行(中央銀行)も各商業銀行に対してグリーンクレジットの拡大を促す通達を出してきた経緯がある。

しかし、現場の実態は理想とはほど遠い。今回の調査が示すように、持続可能な農業認証(GlobalGAP、有機認証、Rainforest Alliance認証など)を取得し、環境配慮型の農業を実践している企業であっても、実際にグリーンローンにアクセスできるケースは極めて限定的である。約100社中わずか1社という数字は、制度と実運用の間に巨大なギャップが存在することを如実に物語っている。

なぜ農業企業はグリーンローンを借りられないのか

この背景には複数の構造的な課題がある。まず、ベトナムの商業銀行の多くが「グリーンローン」の明確な審査基準や商品設計を確立できていないという問題がある。グリーンファイナンスに関する国際基準(グリーンローン原則など)は存在するものの、ベトナム国内の銀行がそれを実務レベルで運用するためのガイドラインやノウハウが不足している。

次に、農業セクター特有のリスクが挙げられる。ベトナムの農業企業は中小零細規模が大半を占め、担保資産が乏しく、財務諸表の透明性にも課題を抱えるケースが多い。銀行側から見れば、通常の融資ですらリスクが高いと判断される農業企業に対して、金利優遇を伴うグリーンローンを提供するインセンティブは低い。

さらに、持続可能性認証の取得と銀行の融資審査基準が連動していないことも大きな障壁である。企業側がGlobalGAPやRainforest Allianceといった国際的に認知された認証を苦労して取得しても、それが銀行の信用評価にほとんど反映されないのが現状だ。認証取得には相応のコストと労力がかかるにもかかわらず、金融面でのメリットが得られなければ、企業の持続可能な農業への移行意欲を削ぐことにもなりかねない。

ベトナム農業の構造的課題と政策の方向性

ベトナムは世界有数の農産物輸出国であり、コーヒー、コメ、カシューナッツ、水産物などで世界トップクラスのシェアを持つ。農業セクターはGDPの約12%を占め、労働人口の約30%が従事する基幹産業である。一方で、EU(欧州連合)の森林破壊規制(EUDR)をはじめとする国際的な環境規制が強化される中、ベトナムの農業サプライチェーン全体でグリーン転換が急務となっている。

ベトナム政府は2022年に「2030年までのグリーン成長に関する国家戦略」を更新し、農業分野におけるグリーンファイナンスの拡充を重点課題に位置づけている。しかし、今回のMSDの調査結果は、政策目標と金融機関の実務、そして農業企業の現場との間に依然として大きな乖離があることを示している。

日本企業・投資家への示唆

日本はベトナムにとって最大級のODA(政府開発援助)供与国であり、農業分野でも技術協力やサプライチェーン投資を通じて深い関わりを持つ。日本の商社や食品メーカーの中には、ベトナムの農業企業から原材料を調達する企業も多い。今回明らかになったグリーンファイナンスへのアクセスの困難さは、日本企業のサプライチェーン上のパートナーが持続可能な農業への転換資金を確保できないことを意味し、ひいてはEUDRなど国際規制への対応遅れにつながるリスクがある。

また、ベトナムのグリーンボンド市場やサステナブルファイナンス分野への参入を検討する日本の金融機関にとっても、現地の農業セクターにおける金融アクセスの実態を正確に把握することは不可欠である。制度整備の途上にあるベトナムだからこそ、日本の金融ノウハウや技術支援が果たせる役割は大きいと言えるだろう。

まとめ

約100社のうちグリーンローンにアクセスできたのはわずか1社——この数字は、ベトナムにおけるグリーンファイナンスの普及がまだ緒に就いたばかりであることを端的に示している。持続可能な農業認証の取得と金融支援の仕組みを結びつける制度設計が急務であり、政府・金融機関・企業・国際パートナーが一体となった取り組みが求められている。

出典: VN Express

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