ベトナム鉄鋼市場、2026年Q2に本格回復へ—HPG市場シェア拡大と中国産調査が追い風

Giá thép tiếp tục đi lên trong quý 2/2026
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ベトナムの大手証券会社ロンベト証券(VDSC/Chứng khoán Rồng Việt)が鉄鋼セクターの最新見通しを発表し、2026年第2四半期から業界の回復が一段と鮮明になるとの見解を示した。中国産広幅鋼板に対する貿易救済調査の結果公表と、毎年恒例の建設繁忙期が主な押し上げ要因になるという。

目次

2026年Q1の価格動向——コストプッシュ型の上昇

ベトナム国内の鉄鋼価格は全般的に回復基調にある。年初来で最も上昇幅が大きいのは建設用鋼材で、約10%の値上がりを記録した。一方、熱延コイル(HRC)は3月後半にようやく小幅な上昇に転じた段階にとどまっている。

Q1の価格上昇の主因はコストプッシュ圧力である。原料炭(コークス用石炭)が年初来で約3%、鉄鉱石が約4%それぞれ上昇したほか、原油価格の上昇に伴い輸送コストも増大している。

中国産広幅HRCに対する貿易救済調査の行方

今回の見通しで最も注目すべきポイントは、中国産広幅熱延コイルに対するアンチダンピング回避調査である。2025年初頭から、中国メーカーは既存のアンチダンピング税(狭幅HRC対象のAD20案件)を回避する目的で、幅1,880〜2,300mmの広幅HRCをベトナムに大量輸出していた。税関統計によれば、2025年1〜7月の同製品の輸入量は83万2,000トンに達し、前年同期比で実に18倍という異常な伸びを示した。

これを受けてベトナム商工省は2025年10月27日、決定第3176/QĐ-BCT号を発出し、広幅HRCに対するアンチダンピング回避調査(案件コード:AC03.AD20)を正式に開始した。調査結果は今後1〜2四半期以内に公表される見通しで、対象製品には現行の狭幅HRCと同水準の関税が課される可能性が高いとVDSCは予測している。

HRCはトタン・メッキ鋼板(以下、塗装鋼板)の主要原材料であるため、関税賦課は塗装鋼板メーカーのコスト増要因となり得る。しかしVDSCは、短期的にはむしろポジティブ材料と評価している。HRC価格が上昇する局面では、塗装鋼板メーカーは事前に積み増した低コスト在庫を活用でき、販売価格の引き上げ余地も広がるため、粗利益率が改善する傾向があるためである。

セグメント別の販売動向——建設用鋼材とHRCが好調

建設用鋼材:2026年1〜2月の累計販売量は250万トン(前年同期比+39%)と力強い成長を見せた。とりわけ国内市場が牽引役で、220万トン(同+52%)を記録している。ホアファット・グループ(HPG/Hòa Phát Group、ベトナム最大の鉄鋼メーカー)は88万7,000トンを販売し(同+29%)、市場シェア36%(同▲2ポイント)で首位を堅持した。

熱延コイル(HRC):最も成長が著しく、累計140万トン(同+214%)に達した。輸出・内需の双方が寄与している。HPGの販売量は累計90万6,000トン(同+82%)で、市場シェアは63%へ急伸した(前年同期は47%)。ズンクアット第2製鉄所(Dung Quất 2、ベトナム中部クアンガイ省に位置するHPGの新工場)が稼働率約60%で操業を開始したことが大きい。一方、台湾系のフォルモサ・ハティン・スチール(Formosa Hà Tĩnh)は54万トンと前年同期並みにとどまった。

塗装鋼板(トンマ):累計61万4,000トン(同▲22%)と大幅に減少した。特に輸出が18万トン(同▲45%)と落ち込みが激しく、国内も6%減となった。主要3社であるホアセン・グループ(HSG)、ナムキムグループ(NKG)、GDA(グエン・ズイ・アン・スチール)の販売量はそれぞれ前年同期比▲24%、▲30%、▲13%と軒並み減少している。市場シェアはHSGが27%(▲1pt)、NKGが14%(▲1pt)へ低下する一方、GDAが18%(+2pt)へ上昇し、勢力図に微妙な変化が生じている。

鋼管:累計40万9,000トンとほぼ横ばいだが、HPGは14万4,000トン(同+17%)と好調で、市場シェアを35%(+5pt)まで引き上げた。HSGは5万2,000トン(同▲15%)で、シェアは13%(▲2pt)に後退している。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のVDSCレポートから読み取れる投資上のポイントは以下の通りである。

①HPGの一強体制がさらに強化:建設用鋼材・HRC・鋼管のすべてでHPGがシェアを拡大ないし高水準を維持しており、ズンクアット第2工場のフル稼働に向けた増産余地も大きい。ベトナム鉄鋼セクターへの投資を検討する場合、HPGが引き続き最有力候補である。

②中国産HRC調査はセクター全体にプラス:関税が正式に適用されれば、国内HRC価格の下支えとなり、HPGやフォルモサの収益性改善に直結する。塗装鋼板メーカーにとっても、前述の在庫評価益を通じた短期的な粗利改善が見込まれる。

③塗装鋼板セグメントは要注意:HSG・NKGは輸出環境の悪化で販売量が大幅減少しており、回復の時期が不透明である。米国の関税政策やASEAN域内の競合激化が引き続きリスク要因となる。

④建設需要の回復はベトナム経済全体の好材料:建設用鋼材の内需が前年同期比+52%という伸びは、公共投資や不動産開発プロジェクトの再加速を示唆している。2026年9月に判断が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、インフラ関連・不動産関連銘柄を含むベトナム市場全体への海外資金流入が期待でき、鉄鋼セクターにも間接的な恩恵が及ぶだろう。

⑤日本企業への示唆:ベトナムで製造拠点を持つ日系企業にとって、鋼材価格の上昇は調達コスト増につながる。特にQ2以降の建設繁忙期には鋼材の需給がタイト化する可能性があり、早めの手当てが望ましい。一方、JFEスチールが出資するフォルモサ・ハティンの業績安定は、日本の鉄鋼業界にとっても注視すべきポイントである。


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出典: 元記事

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