ベトナムの銀行間市場で流動性ショックが再発するリスクが高まる中、専門家らは中央銀行の金融調節手段だけでなく、公共投資の執行加速による財政資金の流れの改善が不可欠だと指摘している。
テト明けに銀行間金利が急騰、2014年以来の高水準を記録
2026年の旧正月(テト)連休明け、ベトナムの銀行間市場は1週間ほど安定した取引を続けていたが、3月2日と3日の2営業日で状況は一変した。1カ月未満の短期金利が急騰し、2月末比で6ポイント以上の上昇を記録したのである。
実はこの兆候は2月にすでに現れていた。2月2日から4日にかけて、翌日物金利は年率17〜18%という水準に達し、これは2014年以来の最高値となった。ベトナム国家銀行(中央銀行)とWiGroupのデータによると、年初から3月2日までの銀行間金利は乱高下を繰り返しており、市場参加者の間で警戒感が強まっている。
中央銀行が直面する「三つの目標」のジレンマ
専門家らによれば、現在のベトナム国家銀行の金融政策運営余地は著しく狭まっている。中央銀行は「低金利の維持」「為替レートの安定」「システム全体の流動性確保」という三つの目標を同時に達成しなければならないという難題に直面しているためだ。
この状況下で、2月および3月初旬に発生したような流動性ショックの再発を防ぐには、中央銀行による公開市場操作(OMO)などの複合的な調節手段だけでは不十分である。問題の核心は、金融政策と国庫資金管理の間の連携メカニズムにあると指摘されている。
国庫資金の動きが銀行システムの流動性を左右
DNSE証券の調査・投資コンサルティング担当ディレクターであるホー・シー・ホア博士は、VnEconomyの取材に対し、銀行間市場の金利は三つの大きな要因から同時に影響を受けていると説明した。すなわち、(1)公共投資の執行進捗、(2)中央銀行によるOMOチャネルを通じた調節活動、(3)国有商業銀行における国庫預金残高の変動——である。
ホア博士は次のように強調する。「国庫は直接的に金融政策を執行する機関ではないが、商業銀行における国庫預金の規模と期間構成は、システムの流動性状態に直接的な影響を与える。国庫残高が増減すると、銀行間市場の資金フローは大きく変動し、短期金利水準も大幅に変化する可能性がある」
公共投資の執行加速が流動性改善の鍵
ホア博士は、流動性を安定させ短期金利の急騰を抑制するためには、公共投資の執行進捗を大幅に改善し、資金がより安定的にシステムへ還流するようにする必要があると主張する。また、中央銀行が外貨を購入してベトナムドンを市場に供給することで流動性圧力を軽減する方法もあるが、現在の状況ではこの手段を実施する条件は必ずしも整っていないという。
専門家らの分析によると、国家予算が徴収されても即座に執行されない場合、その資金は一時的に国庫の口座に滞留する。この期間中、資金は経済に支出された場合のように銀行システム内を広く循環することはない。その結果、特に国庫預金を直接保有していない金融機関では利用可能な資金が減少し、銀行間市場での借入需要が高まり、短期金利を押し上げる要因となる。
逆に、公共投資の執行が加速すれば、予算資金は企業、請負業者、労働者へと流れ、その後、預金口座や決済口座として銀行システムに還流する。このプロセスは、システム内の流動性配分を改善し、短期的な資金不足圧力を軽減し、銀行間金利の沈静化に寄与するのである。
日本企業への示唆——ベトナム金融市場の構造的課題
今回の流動性逼迫は、ベトナム金融市場が抱える構造的な課題を浮き彫りにしている。公共投資の執行遅延は長年の問題であり、毎年、年度末に予算消化のための駆け込み執行が行われる傾向がある。この不均一な資金フローが、銀行システムの流動性変動を増幅させている。
ベトナムに進出している日本企業にとっては、短期金利の急変動がベトナムドン建ての資金調達コストに影響を与える可能性がある点に留意が必要だ。また、公共インフラ事業に関わる企業は、政府の執行加速方針が今後の受注や支払いサイクルにどう影響するか、注視する価値があるだろう。
出典: Vn Economy
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