ベトナム首相「1日も無駄にするな」──2026年GDP成長率10%超へ、戦略インフラ整備を猛加速

Đẩy nhanh hạ tầng chiến lược, phấn đấu tăng trưởng từ 10% trong năm 2026

ベトナム政府は2026年3月17日付の通達第129号を発出し、ファム・ミン・チン首相が主宰した国家重要プロジェクト指導委員会の第24回会合の結論を公表した。首相は交通運輸分野を中心とする戦略的インフラ整備を「決然かつ同期的」に推進し、2026年のGDP成長率10%以上という野心的な目標の達成に向けた原動力とするよう、各省庁・地方政府に強く指示した。

目次

旧正月返上で「3交代・4シフト」──現場の決意

通達によると、2026年の旧正月(テト・グエンダン、丙午=ビンゴ)期間中も多くの建設現場で「3交代・4シフト」体制が維持され、数千人規模のエンジニアや作業員がテト休暇を返上して工事を続行した。ベトナムでは旧正月は最大の祝日であり、通常は少なくとも1週間程度の長期休暇となる。それにもかかわらず現場が稼働し続けたことは、政府が掲げるインフラ整備の緊迫感を端的に示している。首相は年初から任務遂行に尽力した各省庁、地方政府、労働者を称賛した。

依然残る課題──投資方針の承認と用地確保の遅れ

一方で、一部のプロジェクトにおいては投資方針の策定・承認手続きや用地収用(ベトナム語で「解放面整」と呼ばれる用地取得プロセス)が依然として遅延しており、求められるスケジュールに追いついていない現状も指摘された。ベトナムでは土地の所有権は国家に帰属し、使用権のみが個人・法人に付与される独特の制度をとっているため、大規模インフラ整備における住民移転や補償交渉は常に難航しやすい構造的課題となっている。

「5つの化」──デジタル化・グリーン化など新たな方針

首相は各機関に対し、戦略的インフラプロジェクトの推進にあたって「5つの化(5 hóa)」の精神を貫くよう求めた。具体的には以下の5項目である。

数字化(デジタル化):建設管理や進捗管理にデジタル技術を全面導入すること。
緑化(グリーン化):環境負荷の低減と持続可能な開発を意識した施工。
最適化:コストと効率の最適なバランスを追求すること。
スマート化(ガバナンスの知能化):データに基づく意思決定と管理体制の構築。
利益の調和:住民・企業・政府の利害を調整し、社会的公正を確保すること。

同時に、「迅速であっても規定を逸脱せず、汚職や浪費を絶対に発生させない」よう厳命した。ベトナムでは近年、大規模な反腐敗キャンペーンが継続しており、インフラ事業においても透明性の確保が強く求められている。

高速道路網と空港アクセス──具体的プロジェクトの全容

通達には、多数の重点プロジェクトに関する具体的な指示が盛り込まれた。主要なものを整理すると以下の通りである。

【ハノイ・バクニン】ザービン空港連絡道路
首都ハノイとバクニン省(ハノイ北東に隣接し、サムスンなど外資系企業の生産拠点が集積する工業都市)を結ぶザービン空港連絡道路について、2026年3月中の投資承認完了が求められた。バクニン省のザービン空港は新設が計画されているとみられ、完成すれば首都圏の航空アクセスが大幅に改善される。

【ホーチミン市】環状4号線(バンダイ4)
南部の経済首都ホーチミン市では、環状4号線プロジェクトの手続きを加速し、5月19日(ホーチミン主席の誕生日にあたる記念日)の着工を目指すよう指示が出された。環状4号線はホーチミン市とその周辺省を環状に結ぶ大動脈であり、慢性的な交通渋滞の緩和と物流効率の向上が期待されている。

【ヴィン~タイントゥイ】高速道路
中部のゲアン省ヴィン市からタイントゥイを結ぶ路線も、同じく5月19日の着工が目標とされた。

【首都圏環状4号線(バンダイ4 vùng Thủ đô)】
ハノイ首都圏の環状4号線については、ドンナイ省、ラムドン省、バクニン省などの地方政府に対し、用地収用に関する障害を完全に解消するよう要請された。

【ザウザイ~タンフー、タンフー~バオロック】
南部ドンナイ省のザウザイからラムドン省バオロックに至る高速道路区間についても、用地問題の早期決着が指示された。この路線はホーチミン市からダラット(中部高原の観光都市)方面へのアクセスを飛躍的に改善するもので、観光業や農産物輸送への波及効果が大きい。

【トゥエンクアン~ハザン、カインホア~ブオンマートゥオット、チャウドック~カントー~ソクチャン、ホーチミン市環状3号線】
これらの高速道路については、発注者・施工業者が人員・機材を最大限動員し、連続施工体制で完成を目指すよう命じられた。北部山岳地帯から南部メコンデルタまで、ベトナム全土にわたる高速道路ネットワークの整備が同時並行で進められている状況がうかがえる。

【南北高速道路(東ルート)】
建設省に対しては、ベトナムの大動脈である南北高速道路(東ルート)の残工事を2026年3月中に完了させるよう指示が出た。この路線はハノイからホーチミン市を結ぶ約1,800kmに及ぶ国家プロジェクトであり、全線開通はベトナムの物流構造を根本的に変える可能性がある。

【ベンルック~ロンタイン高速道路】
財務省には資金配分の指導が求められ、特にベンルック~ロンタイン高速道路の工期短縮が指示された。この路線はメコンデルタ地域とロンタイン新国際空港(ドンナイ省で建設中のベトナム最大級の空港)を直結する重要路線であり、空港の開業と同期した供用開始が不可欠とされている。日本のODA(政府開発援助)も一部区間に投入されてきた経緯があり、日本企業にとっても注目度の高いプロジェクトである。

地方政府への要請──都市計画と住民移転

各地方政府に対しては、高速道路ネットワークと連動した都市計画の見直し・調整が求められた。高速道路のインターチェンジ周辺に接続ポイントを追加し、投資効果を最大化するよう指示が出されている。また、用地収用に伴う住民への補償・再定住については、「新しい住居が旧住居より良好であることを保証する」という原則が改めて強調された。

「1日も無駄にするな、1週間も遅れるな」

首相は会合の締めくくりにあたり、「1日も無駄にせず、1週間も遅れてはならない」というスローガンを掲げ、進捗・品質・安全の三位一体を確保しつつ、検査・監督を強化してあらゆる不正を未然に防ぐよう全関係者に呼びかけた。

日本企業・投資家への示唆

ベトナムが2026年にGDP成長率10%以上という極めて高い目標を設定した背景には、インフラ投資による内需喚起と、製造業のサプライチェーン強化を同時に実現しようという国家戦略がある。高速道路網の急速な整備は、ベトナム各地に展開する日系製造業にとって物流コストの削減や拠点選択の自由度拡大につながる。特にロンタイン空港と連動したベンルック~ロンタイン高速道路や、ホーチミン市環状4号線の進捗は、南部に集中する日系企業のサプライチェーンに直接的な影響を及ぼすだろう。

一方で、用地収用の遅延や行政手続きの停滞は依然としてリスク要因であり、プロジェクトのスケジュールが計画通りに進むかどうかは今後も注視が必要である。また、反腐敗の厳格化はガバナンス改善の観点からは歓迎されるものの、許認可プロセスにおいて担当者がリスク回避的になり、意思決定が遅れる「萎縮効果」も一部で指摘されている。ベトナムでのビジネス展開を検討する日本企業にとっては、こうした制度環境の変化を丁寧にフォローすることが不可欠である。

出典: Vn Economy

いかがでしたでしょうか。今回のベトナムの戦略インフラ整備加速と2026年GDP10%成長目標について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

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