ベトナムのファム・ミン・チン首相は、企業の発展とイノベーション(革新的創造)を促進するための全国規模の競争運動を発動した。企業から一般市民に至るまで、国を挙げて「富を築き、発展し、新たな価値を創造する」ことを呼びかけている。
首相が打ち出した「競争運動」の概要
チン首相が発動したのは「企業発展・イノベーション競争運動」である。ベトナムでは社会主義体制の伝統として、政府主導で国民や組織に特定の目標達成を促す「競争運動(phong trào thi đua)」がしばしば展開される。今回の運動は、経済成長の主役である民間企業の活性化と、技術革新による付加価値創造を国家的な優先課題として位置づけるものだ。
チン首相は演説の中で、国内のあらゆるセクター——大企業から中小零細企業、そして個人事業主や一般国民——に対し、積極的に経済活動に参加し、自らの手で豊かさを追求するよう強く訴えた。
背景にある経済政策の転換
ベトナムは近年、年率6〜8%の高いGDP成長率を維持し、「チャイナ・プラス・ワン」の有力な受け皿として外国直接投資を急速に集めている。一方で、政府は従来の労働集約型製造業への依存から脱却し、ハイテク産業やスタートアップエコシステムの育成を急いでいる。今回の運動発動は、2045年までに「先進国入り」を目指す長期国家ビジョンの一環と見られる。
特に半導体、AI、電気自動車(EV)といった分野でのイノベーション促進が急務とされており、ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)傘下のビンファスト(VinFast)によるEV事業の躍進などが国内でも大きな注目を集めている。
日本企業への示唆
ベトナム政府が民間主導の経済成長とイノベーションを明確に後押しする姿勢を示したことは、同国でビジネス展開を図る日本企業にとっても追い風となる可能性がある。日越間では製造業を中心に経済連携が深まっており、今後はスタートアップ投資や技術移転といった新たな協力領域の拡大が期待される。
一方で、急速な経済自由化と競争激化の中で、現地パートナーとの関係構築や規制動向の注視がこれまで以上に重要となるだろう。
出典: VnExpress












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