ベトナムETF資金流出:Fubon FTSE Vietnam ETFが146億ドン流出も運用成績は好調——矛盾の背景を読む

Quỹ Fubon FTSE vẫn chịu áp lực rút ròng lớn bất chấp hiệu suất nổi bật
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ベトナム株式市場に投資する海外ETFから、依然として大規模な資金流出が続いている。2026年3月9日〜13日の週、海外ETFからの純流出額は1,670億ドン超に達し、その大半を台湾系のFubon FTSE Vietnam ETF(▲1,462億ドン)と米国系のVanEck Vietnam ETF(▲444億ドン)が占めた。しかし注目すべきは、最大の流出元であるFubon ETFの運用成績が極めて好調であるという「矛盾」だ。パフォーマンスが良いにもかかわらず資金が抜ける——この現象の背景には、ベトナム市場特有の構造的要因が潜んでいる。

目次

週次の資金フロー全体像——流出規模は前週比96%減

2026年3月9日〜13日の1週間で、ベトナム株式市場に投資するETF全体の純資金フローは▲170億ドン超の流出となった。ただし、これは前週比で96%の大幅縮小であり、市場全体としてはやや落ち着きを取り戻しつつある。流出を記録したのは25本中8本のETFで、その大部分が海外籍のETFに集中していた。

海外ETFの流出の内訳を見ると、Fubon FTSE Vietnam ETF(台湾・富邦投信が運用)が▲1,462億ドン、VanEck Vietnam ETF(米国籍)が▲444億ドンと、この2本でほぼ全額を占める。一方、CGS Fullgoal Vietnam 30 Sector Cap ETF(シンガポール系)は110億ドン超の純流入を記録しており、海外勢の間でも銘柄選別が進んでいることがわかる。

Fubon FTSE Vietnam ETF——約2年間の流出にもかかわらず好成績の謎

Fubon FTSE Vietnam ETFは、台湾の個人投資家を主要顧客とするETFで、FTSE Vietnam指数に連動する。2024年4月以降、ほぼ切れ目なく資金流出が続いており、月平均の流出額は約7,450億ドンに達する。つまり、約2年にわたって毎月数百億ドン規模の資金が引き揚げられてきた計算だ。

ところが、運用成績は際立って良好である。2026年2月の月間パフォーマンスは+6.7%を記録し、1月の▲1.6%から鮮やかなV字回復を見せた。好パフォーマンスの要因は、同ETFがポートフォリオの大きな比率で保有するVIC(ビングループ〈Vingroup〉、ベトナム最大手コングロマリット)やBSR(ビンソン・リファイニング・アンド・ペトロケミカル〈Binh Son Refining〉、国営製油大手)の株価が2月に大幅上昇したことにある。

では、なぜ好成績にもかかわらず資金が流出し続けるのか。考えられる理由は複数ある。第一に、台湾の個人投資家がベトナム市場への投資配分を全体的に縮小している可能性がある。台湾ではAI・半導体関連銘柄の好調が続いており、資金がそちらへ振り向けられている構図だ。第二に、Fubon ETFは2022〜2023年のベトナム株ブーム時に台湾で爆発的に資金を集めたため、その「バブル的流入」の反動が長期にわたって続いているとも解釈できる。ただし、記事が指摘するように流出ペースは徐々に鈍化しつつあり、最悪期は過ぎた可能性もある。

国内ETFは堅調な流入——VFM系が牽引

海外ETFとは対照的に、ベトナム国内籍のETFは比較的堅調な資金流入を維持している。特に目立つのが、VFMVN Diamond ETF(+760億ドン)とVFM VN30 ETF(+624億ドン)の2本である。これらはベトナム資本市場を代表するVFM(VinaCapital Fund Management)が運用するETFで、VN30指数やVN Diamond指数といったベトナムの主力株指数に連動する。国内の個人投資家や機関投資家が、押し目を拾う形で資金を投入している姿が見て取れる。

一方、MAFM VNDIAMONDは国内ETFとしては唯一、100億ドン超の純流出を記録した。

タイからの資金フロー——DR(預託証券)経由の動き

興味深いのは、タイの投資家の動向である。タイの投資家はDR(預託証券)を通じてベトナムETFに投資しており、VFM VN30 ETF(銘柄コード:E1VFVN3001)で16万口(50億ドン超相当)の純買い、VFM VNDIAMOND(銘柄コード:FUEVFVND01)で110億ドン超相当の純買いを記録した。タイからの資金流入は規模こそ小さいものの、ASEAN域内でのベトナム株への関心が根強いことを示している。

2026年3月の月間推移と市場全体の資産規模

2026年3月は、月間ベースでETF全体から約7,460億ドンの純流出が記録されている。2026年初来の累計では210億ドンのわずかな純流入にとどまり、年初からほぼプラスマイナスゼロの状態だ。2026年3月13日時点のベトナム市場に配分されたETF全体の純資産総額(NAV)は約6兆1,700億ドンで、2025年末比で6.8%減少している。

ファンド全体の資金動向——PYN Elite Fundの大量流出が目立つ

FiinTrade(ベトナムの金融データプロバイダー)が公表した2月の月次レポートによれば、投資ファンド全体では約4兆2,000億ドンの純流出が続いた。前月(1月)の5兆5,000億ドン超からは縮小したが、依然として資金引き揚げの圧力は根強い。

特に株式ファンドからの流出が約3兆1,000億ドンと大きく、前月比▲26%の縮小とはいえ、投資家の慎重姿勢を反映している。市場のボラティリティが高まるなかで、ポートフォリオ再編の動きが続いているためだ。

オープンエンド型ファンドでは、フィンランド系のPYN Elite Fund(ベトナム株に特化した欧州のアクティブファンドとして有名)から約3兆ドンの大量流出が発生した。同ファンドの2月の運用成績は為替要因を除いても▲12.59%と大幅マイナスであり、パフォーマンス悪化が直接的な要因と見られる。一方、EVESG(+5,050億ドン)や「証券ダイナミックファンド(Quỹ Chứng khoán Năng động)」(+2,890億ドン)のように資金を集めたファンドもあり、ESG投資やアクティブ運用への関心は依然として高い。

クローズドエンド型ファンドの流出は2月に1兆3,000億ドンまで縮小し、前月比で78%減少した。これは、VEIL(Vietnam Enterprise Investments Limited、ドラゴンキャピタル系の老舗ベトナムファンド)からの突発的な大量償還が一服したためである。

ETFカテゴリーでは、2月の純流出はわずか約1,305億ドンにとどまった。FUEVFVND(+1,630億ドン)やKPHO(+1,000億ドン)が純流入を記録しており、特にKPHOは2025年12月の設定以来、累計3,244億ドンの純流入を集め、NAV規模が約3.6倍に拡大している点が注目される。

週間の売買銘柄——Fubon ETFの売りがVIC・HPGに集中

3月9日〜13日の週、ETF経由で最も売られた銘柄はVIC(ビングループ)、HPG(ホアファット・グループ〈Hoa Phat Group〉、ベトナム最大手の鉄鋼メーカー)、VHM(ビンホームズ〈Vinhomes〉、ベトナム最大手の不動産デベロッパー)、BSR、SSI(サイゴン証券〈SSI Securities〉)であった。売り圧力の大部分はFubon FTSE Vietnam ETFの資金流出に伴うリバランス売りである。なお、3月16日時点ではFubon ETFの資金フローに動きはなく、VFM VN30 ETFが90億ドン超、VFM VNDiamond ETFが30億ドン超の純流入を記録している。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のデータが示す最も重要なポイントは、「海外ETFからの資金流出」と「ベトナム市場の実力」の乖離である。Fubon ETFのケースが象徴するように、ベトナム株のファンダメンタルズやパフォーマンスは悪くないにもかかわらず、海外投資家のリスク選好やグローバルな資金配分の変化によって資金が流出している。これはベトナム市場固有の問題というよりも、新興国市場全体に共通する構造的課題だ。

一方で、国内ETFへの堅調な流入やタイからのDR経由の買いは、ベトナム市場の「地場の厚み」が増していることを示唆する。特に2026年9月にFTSEラッセルによる新興市場指数への格上げ判定が見込まれるなかで、ベトナム市場のインフラ整備や流動性向上に対する期待は根強い。格上げが実現すれば、現在流出している海外パッシブ資金が一転して大規模に流入する可能性がある。

日本の投資家にとっては、Fubon ETFの流出に伴うVICやHPGの需給悪化は、逆に押し目買いの好機となり得る。VICはベトナムのEV(電気自動車)メーカーVinFastの親会社としてグローバルな注目を集めており、HPGはベトナムの建設・インフラ投資拡大の恩恵を受ける代表銘柄だ。海外ETFの機械的な売りで株価が一時的に下がる場面こそ、長期目線で仕込むタイミングと言えるだろう。

また、KPHOのような新設ETFが短期間でNAVを3.6倍に拡大させている事実は、ベトナム市場における新たな投資テーマ(セクター特化型ETFなど)への需要が旺盛であることを示しており、今後もETF市場の多様化が進むものと見られる。


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出典: 元記事

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