ベトナム最大の商業都市ホーチミン市で2026年2月12日、新型コロナウイルス感染症の犠牲者を追悼する「リー・タイ・トー1番公園」が開園した。総投資額は263億ドン超で、長年放置されていた4.3ヘクタールの土地を公共の緑地空間へと生まれ変わらせた。都市開発と追悼の意味を併せ持つこの公園は、コロナ禍を乗り越えたベトナム社会の象徴的プロジェクトとして注目を集めている。
コロナ禍の記憶を刻む追悼空間
開園式でグエン・ヴァン・ドゥオック・ホーチミン市人民委員会主席は、同市がパンデミックの困難な時期を「感染症との戦いは敵との戦いと同じ」という精神で乗り越えたと振り返った。当時、市内で展開された「米ATM」(無料で米を配布する自動機)や「0ドン・スーパーマーケット」(無料で食料品を提供する店舗)、そして無料の食事配布といった取り組みは、ベトナム社会の相互扶助精神の象徴として今も語り継がれている。
公園の中心には「水滴の像」と呼ばれるモニュメントが設置され、周囲には9段の階段、360の水上キャンドル、そして約1,000点の照明が広場に配置されている。これらはすべて、パンデミックで命を落とした人々への追悼を表現したものである。
ベトナム最大手企業が全額出資
本プロジェクトは官民連携による社会化事業として実施された。サン・グループ(Sun Group、ベトナム大手の不動産・観光開発企業)が263億ドン超の建設費用を全額負担し、施工も直接担当した。同社は「3交代・4シフト制」で工事を進め、ピーク時には約500人の作業員と20人近いエンジニアが昼夜を問わず作業にあたった。着工からわずか90日余りで完成させ、旧正月(テト)前の開園を実現した。
ホーチミン市は国内外のコンサルタントを招聘し、技術面・美観・文化的価値の担保に努めた。特に水滴の像など技術的に複雑な構造物については、国内外の専門業者が連携して施工を行った。
都市緑化戦略の重点プロジェクト
リー・タイ・トー1番公園は、ホーチミン市が進める都市緑化・公共空間整備戦略における9つの重点プロジェクトの一つに位置づけられている。市中心部に位置するこの4.3ヘクタールの土地は、自然・歴史・精神的に高い価値を持ちながら、長年にわたり放置されていた。
チャン・ホアン・ガン准教授(経済学博士)によれば、この土地が活用できたのは、ベトナム国会が承認した決議98号および改正決議260号による特例措置のおかげだという。これらの決議により、ホーチミン市は中央政府機関と協議のうえ、国有資産である土地・建物を効率的に活用する権限を得た。同市の提案を受け、外務省が管理していたこの土地が市に移管され、公園建設が可能となった。
同准教授は「商業施設やサービス業向けに開発することも十分可能な一等地だったが、市は市民のための多機能公園という選択をした」と評価。この決定は、ベトナム共産党創立100周年(2030年)および建国100周年(2045年)という長期目標に向け、国民の利益と幸福を政策の中心に据える姿勢を示すものだと述べた。
テト時期には3万本の花々も展示
公園の開園に合わせ、サン・グループは4ヘクタール以上の敷地に約3万本の花木や鉢植えを配置した春の花祭りも開催。ベトナム北部・中部・南部それぞれのテトの特色を表現した12の景観が設けられ、市民の年始の観光スポットとして賑わいを見せている。
日本企業・投資家への示唆
今回の公園建設は、ベトナムにおける官民連携(PPP)の一つのモデルケースとして注目に値する。特に、大手民間企業が社会貢献として公共インフラを全額負担し、政府が特例制度を活用して迅速に土地を転用するというスキームは、今後のベトナムでの都市開発プロジェクトにおいても参考になるだろう。また、コロナ禍という共通の経験を持つ日本にとって、追悼と復興を同時に象徴するこうした施設の在り方は、社会インフラの意義を考えるうえでも示唆に富む事例といえる。
出典: Vn Economy
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