ベトナム最大の経済都市ホーチミン市が、サイゴン川沿いの一等地で計画されていた大型複合開発プロジェクトの投資方針を正式に撤回した。2016年から進められてきた「ニャーロン・カインホイ複合地区」計画は、約10年の歳月を経て白紙に戻されることとなった。
ホーチミン市人民委員会が正式決定
ホーチミン市人民委員会は、2016年12月29日付の第6815号決定および2018年1月12日付の第177号決定を廃止する決定を発表した。これにより、ゴック・ヴィエン・ドン都市開発投資有限会社(Công ty TNHH Đầu tư Phát triển Đô thị Ngọc Viễn Đông)を投資主体とする「ニャーロン・カインホイ複合地区」プロジェクトへの投資方針は正式に取り消されることとなる。この廃止決定は2026年3月4日から効力を発する。
撤回の理由は「国家の新たな都市計画との不整合」
ホーチミン市人民委員会によると、今回の決定撤回には複数の理由がある。最大の要因は、2025年6月に首相が承認した第1125号決定による新たな都市計画方針と、従来の投資計画が整合しなくなったことである。加えて、2010年の首相決定第46号に付随する財政規則にも適合しなくなっていたほか、政府の政令第118/2015/NĐ-CP号に定める認可権限の観点からも問題があったとされる。
関係各局に具体的な対応を指示
市人民委員会は、今回の決定に伴い関係部局に対して具体的な指示を出した。財政局は、これまで承認された書類全体の法的根拠および内容の正確性について責任を負う。農業環境局は、土地の交付や用途変更に関する全書類を精査し、2017年・2018年に発出された関連決定の処理について市に提言する役割を担う。
また、同局は投資主体であるゴック・ヴィエン・ドン社がこれまでに支出した合理的かつ適法な費用(監査済みのもの)を確定し、法令に基づき投資家への返還について市に提言することも求められている。都市計画・建築局は、新たに承認された都市計画に沿った当該地区の空間設計方針を検討・提言することとなった。
当初計画は3,000戸超のマンション・商業施設を含む大規模開発
問題の「ニャーロン港・カインホイ」地区は、サイゴン川沿いに位置する31ヘクタール超の広大な土地である。ホーチミン市中心部に隣接するこの一等地では、2016年にゴック・ヴィエン・ドン社による複合開発が承認されていた。当初計画では、ショッピングセンター、3,116戸のマンション、32棟の別荘、学校、診療所、各種インフラ設備が整備される予定だった。
新たな方針は「ホーチミン文化公園」への転換
2025年末、ホーチミン市党常務委員会は本プロジェクトの中止方針で合意した。代わりに、この土地は「ニャーロン港カインホイ公園」として整備され、ホーチミン博物館の拡張およびホーチミン文化空間の創出と一体化する計画が示されている。ニャーロン港は、1911年に若きホーチミン(当時の名はグエン・タット・タイン)がフランス船に乗り込み、30年にわたる海外での活動に旅立った歴史的な場所として知られており、ベトナム国民にとって象徴的な意味を持つ。
日本企業・投資家への示唆
今回の決定は、ベトナムにおける大型不動産開発が、国家レベルの都市計画変更によって大きく方向転換しうることを改めて示している。特にホーチミン市中心部では、歴史的・文化的価値を重視する方針が強まる傾向にあり、日本企業が現地での不動産投資やJV参画を検討する際には、政策リスクを十分に考慮する必要があるだろう。一方で、文化施設や公園整備に関連する建設・設計分野では、新たなビジネス機会が生まれる可能性もある。
出典: Vn Economy
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