ベトナム最大の経済都市ホーチミン市が、都市鉄道(メトロ)網の整備に向け、中央政府に対して約22兆ドン(約220,000億ドン)の追加予算配分を要請した。2026年3月3日に開催された国家重点鉄道プロジェクト指導委員会の会議で明らかになった。
必要総額34兆5,000億ドンに対し、現状は40%のみ確保
ホーチミン市人民委員会のブイ・スアン・クオン副委員長によると、同市は10路線の都市鉄道整備に約34兆5,000億ドン(345,000億ドン)の投資を計画している。このうち優先路線は先行着工し、残りの路線は2030年から2035年の間に完成させる予定である。
しかし、現時点で確保できている財源は約12兆5,000億ドン(125,000億ドン)にとどまり、必要総額の約40%に過ぎない。この資金ギャップを埋めるため、ホーチミン市は中央政府に対し、約22兆ドンの追加支援を求めた形だ。
タンソンニャット空港とロンタイン新空港を結ぶ路線が最優先
ホーチミン市は2030年までに、相互接続性の高い6路線のメトロを基本的に完成させることを目標に掲げている。特に優先度が高いのは、現在の国際玄関口であるタンソンニャット国際空港と、ドンナイ省で建設が進む新空港・ロンタイン国際空港を結ぶ路線である。
具体的な進捗としては、2026年1月中旬にメトロ2号線のタムルオン〜ベンタイン区間が着工済みで、タンソンニャット空港への接続工事も含まれている。同年4月にはベンタイン〜トゥーティエム区間の着工を予定し、6月にはトゥーティエム〜ロンタイン区間の建設開始を目指している。
ビングループなど民間大手5社が投資参画を表明
ホーチミン市建設局がベトナム建設省に提出した報告書によると、複数の大手企業がPPP(官民連携)方式や直接投資によるメトロ建設への参画を提案している。名を連ねるのは、ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)、ベカメックス(Becamex、ビンズオン省を拠点とする不動産・インフラ大手)、ソビコ(Sovico、ベトジェットの親会社)、チャコ(THACO、自動車最大手)、マスタリーズ(Masterise、高級不動産開発)の5社である。
各社の提案内容は以下の通りだ。
- ビングループ:ベンタイン〜カンゾー路線を着工済み
- ベカメックス:国鉄バウバン〜カイメップ路線の投資案を検討中
- ソビコ:メトロ4号線(ドンタイン〜ヒエップフック工業団地)への投資を提案
- チャコ:メトロ2号線のベンタイン〜トゥーティエム区間およびトゥーティエム〜ロンタイン路線をBT契約で提案
- マスタリーズ:メトロ3号線ヒエップビンフック〜アンハー区間をPPP・BT方式で提案
広域メトロ網は総延長1,012キロメートルの壮大な構想
計画によれば、ホーチミン市を中心とする広域都市鉄道網の総延長は約1,012キロメートルに達する。内訳は、ホーチミン市域が582キロメートル、隣接するビンズオン省が305キロメートル、バリア=ブンタウ省が125キロメートルである。
ビンズオン新都市〜スオイティエン路線、およびトゥーザウモット〜ホーチミン市路線については、現在コンサルタント選定が進められており、2026年から2028年の間に着工し、2035年までの完成を目指している。
ホーチミン市はまた、鉄道局と連携して都市鉄道に特化した独自の技術基準を策定し、将来的には国内鉄道産業の育成につなげる方針だ。さらに、2040年を目標、2060年を長期ビジョンとした都市計画の見直しを進め、メトロ網、車両基地、駅舎、TOD(公共交通指向型開発)エリア、地下空間の配置を拡大都市モデルに適合させる作業を行っている。
日本企業への示唆──巨大インフラ市場への参入機会
今回の要請は、ベトナム南部における交通インフラ整備の加速を示すものであり、日本企業にとっても注目すべき動きである。ホーチミン市のメトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン)は日本のODA(政府開発援助)によって建設され、2024年末に開業した実績がある。今後の路線拡大においても、車両製造、信号システム、建設技術など、日本企業が強みを持つ分野での参入機会は大きい。
一方で、ビングループやチャコといったベトナム民間資本の存在感が増していることも見逃せない。官民連携の枠組みの中で、日本企業がどのような形でパートナーシップを構築できるかが、今後の鍵を握るだろう。
出典: Vn Economy
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