半導体ファウンドリ市場が3,200億ドルの過去最高を記録—TSMC独走とベトナムへの波及を読む

Thị trường đúc bán dẫn toàn cầu lập kỷ lục doanh thu 320 tỷ USD năm 2025
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2025年、世界の半導体ファウンドリ市場の売上高が3,200億ドルという過去最高を記録した。AI向けGPUやASICチップへの需要爆発が牽引役であり、TSMC(台湾積体電路製造)の一極集中がさらに鮮明となっている。この動向は、半導体サプライチェーンの新たな拠点として注目されるベトナムにも大きな示唆を与えるものである。

目次

「Foundry 2.0」市場が3,200億ドル到達——前年比16%増

調査会社Counterpoint Research(カウンターポイント・リサーチ)が発表した「Foundry 2.0」レポートによると、2025年の世界ファウンドリ市場の売上高は3,200億ドルに達し、前年同期比16%の成長を遂げた。ここで言う「Foundry 2.0」とは、従来の純粋なファウンドリ(受託製造)企業だけでなく、垂直統合型半導体メーカー(IDM)、後工程の組立・テスト受託企業(OSAT)、フォトマスク供給企業までを包含する拡張的な市場概念である。成長の最大の原動力は、AI(人工知能)向けGPUおよびAI専用ASICチップに対する旺盛な需要であった。

TSMC独走——シェア38%、売上36%増

TSMC(台湾積体電路製造、世界最大の半導体受託製造企業)は、2025年通年で前年比36%の売上成長を達成し、世界市場シェアの38%を占めた。一方、TSMC以外のファウンドリ企業の成長率は約8%にとどまり、TSMCとの格差がさらに広がった形である。AI半導体の製造においてTSMCの先端プロセス技術が事実上の独占的地位にあることが、この数字に如実に表れている。

中国勢が存在感——SMIC16%増、Nexchip24%増

注目すべきは中国企業の躍進である。SMIC(中芯国際集成電路製造、中国最大のファウンドリ企業)は前年比16%の成長を記録し、Nexchip(合肥晶合集成電路、安徽省合肥市に本拠を置くファウンドリ企業)は24%もの高成長を達成した。いずれも中国政府が推進するサプライチェーンの国産化政策の恩恵を受けたものである。Counterpointは、中国ファウンドリ企業の二桁成長は2026年も継続する可能性があると予測している。米中対立の激化により、中国国内の半導体需要が国内メーカーに向かう構造的なシフトが起きていることが背景にある。

Samsung・Intel——明暗分かれる大手IDM

Samsung Electronics(サムスン電子、韓国の総合電子メーカー)について、Counterpointの研究ディレクターであるトム・カン氏は「多彩な色合いが交錯する一年」と評した。4nmプロセスへの需要は安定しており、価格維持力を支えた。一方、2nmプロセスへの移行がAIおよびモバイル分野で高付加価値案件の獲得につながると期待されている。

Intel Foundry(インテルのファウンドリ事業部門)はFoundry 2.0市場全体の約6%のシェアを占める。2025年下半期にはIntel FoundryのほかTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、米国の大手アナログ半導体メーカー)やInfineon(インフィニオン、ドイツの車載・産業用半導体大手)といったIDM各社が在庫調整に注力した。結果としてTexas Instrumentsは前年比13%の回復、Infineonは5%の成長を記録した。

後工程が「戦略的要衝」に——OSAT市場10%成長

Counterpointのシニアアナリストであるジェイク・ライ氏は、半導体業界の課題がウェハー製造能力からシステムレベルの統合へと移行していると指摘する。前工程(フロントエンド)での拡張余地が狭まるにつれ、技術的ボトルネックは後工程(バックエンド)へとシフトしているのである。

OSAT(後工程の組立・テスト受託)分野は2025年に売上10%増を記録した。ASE Technology Holding(日月光投資控股、台湾の世界最大OSAT企業。SPILを傘下に含む)とAmkor Technology(アムコー・テクノロジー、米国に本社を置くOSAT大手)が、TSMCの先端パッケージング能力の不足分を吸収する形で需要を取り込んだ。特にASEはFoundry 2.0市場全体でTSMCに次ぐ売上第2位の企業に浮上した。

Counterpointのシニアアナリストであるウィリアム・リー氏は「先端パッケージングはもはや後工程の補助的存在ではなく、AIシステム開発における戦略的な要衝となった」と強調している。同社は2026年に業界全体の先端パッケージング生産能力が約80%拡大すると予測する。AI企業がCoWoS-SやCoWoS-L(TSMCが開発した先端パッケージング技術)などの生産能力を確保するため、OSAT企業との長期契約を積極的に締結していることが背景にある。

投資家・ビジネス視点の考察——ベトナムへの示唆

今回のデータが示す構造変化は、ベトナムの半導体産業戦略と直結する論点を多く含んでいる。

第一に、後工程シフトはベトナムにとって追い風である。ベトナムは現在、Intel(ホーチミン市の大規模OSAT工場)、Amkor(バクニン省の新工場)、Samsung(タイグエン省・バクニン省の拠点)など、後工程を中心に半導体サプライチェーンへの参入を進めている。先端パッケージング需要が80%増と予測される中、ベトナム拠点の戦略的価値は一段と高まる。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する電子部品・製造受託関連銘柄や、各省の工業団地開発企業にとってポジティブな材料となりうる。

第二に、中国サプライチェーンの内製化加速は「チャイナ+1」の流れを強める。SMICやNexchipの急成長は中国国内需要の囲い込みを意味するが、同時に米中デカップリングを警戒するグローバル企業にとって、中国外の代替拠点としてベトナムの魅力が増す構図でもある。日本企業を含む多くのメーカーがベトナムへの生産移管を加速させている。

第三に、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げとの関連性である。半導体関連のFDI(外国直接投資)拡大はベトナムの製造業高度化を示す指標であり、格上げ審査においてもポジティブに評価される可能性がある。格上げが実現すれば、グローバルファンドからの資金流入が見込まれ、半導体関連のサプライチェーンに連なるベトナム上場企業にも恩恵が及ぶだろう。

第四に、日本企業への影響も大きい。半導体製造装置や素材で世界トップクラスのシェアを持つ日本企業(東京エレクトロン、信越化学工業、SUMCOなど)にとって、ファウンドリ市場の拡大は直接的な受注増につながる。また、ベトナムに生産拠点を持つ日系電子部品メーカーにとっても、後工程需要の拡大は事業機会の拡大を意味する。

半導体産業のバリューチェーンが「前工程の微細化競争」から「後工程の統合力競争」へと重心を移す中、ベトナムが後工程ハブとしての地位を確立できるかどうかが、同国の製造業高度化と株式市場の中長期的な評価を左右する重要な分水嶺となるだろう。


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出典: 元記事

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