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2026年4月2日(木)の米国市場は、米イラン軍事衝突の長期化懸念から激しく揺れ動いた。原油価格は11%超の急騰を記録し、WTI原油は約4年ぶりの高値となる111.54ドルで引けた。米国株は一時大幅安となったものの、ホルムズ海峡に関するポジティブな報道を受けて急速に買い戻され、S&P500とナスダックはプラス圏で終了する波乱の展開となった。
トランプ大統領の「石器時代」発言で市場急落
市場混乱の引き金となったのは、トランプ大統領が米東部時間の水曜夜に行った演説である。同大統領は、米イラン間の軍事衝突は「あと2〜3週間で終結する」との見通しを示す一方、それまでの間に米軍がイランを「特別に激しく」攻撃し、同国を「石器時代に戻す」可能性があると宣言した。この発言は、それまで市場が抱いていた緊張緩和への期待を一気に打ち砕いた。
木曜の取引開始直後、主要3指数は急落。ダウ工業株30種平均は一時600ポイント超(約1.4%)の下落を記録し、S&P500は1.5%安、ナスダック総合指数は2.2%安まで沈んだ。恐怖指数として知られるVIX指数は27ポイントを超え、通常とされる12〜20ポイントの水準を大きく上回った。
ホルムズ海峡をめぐる報道で急反発
しかし場中、イラン国営メディアが「イランはオマーンと協力し、ホルムズ海峡を通過する船舶の『監視』に関する議定書の策定に向けて取り組んでいる」と報じたことで、市場心理が一変した。この報道を受けて3指数は一斉にプラス圏に浮上する場面もあった。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割が通過する戦略的要衝であり、その通行の安全確保は世界経済にとって極めて重要である。CrossCheck Management社のCIO(最高投資責任者)トッド・ショーエンバーガー氏はCNBCに対し、「ホルムズ海峡の再開は米国にとって非常に重要だ。原油の流れだけでなく、ヘリウムの流れがあるからだ」と指摘した。同氏はヘリウムが半導体製造プロセスに不可欠であり「代替が利かない」ことから、「外国産原油よりも貴重だ」と強調した。
終値と原油価格の動向
結局、終値ではダウ工業株30種平均が61.07ポイント安(0.13%安)の46,504.67ポイントと小幅下落した一方、S&P500は0.11%高の6,582.69ポイント、ナスダックは0.18%高の21,879.18ポイントとプラス圏で引けた。週間ではS&P500が3.4%高、ダウが約3%高、ナスダックが4.4%高と、激しいボラティリティの中でも3指数揃って上昇した。
原油市場では、WTI原油先物が11.4%高の111.54ドル/バレルと、2022年6月28日以来の高値で引けた。ブレント原油先物も7.8%高の109.03ドル/バレルとなった。トランプ大統領の演説開始直後にはブレント原油が一時100ドルを割り込む場面もあったが、演説終了後に緊張の高さが再認識され、急反発した。
SimCorp社の投資判断調査ディレクター、メリッサ・ブラウン氏は「投資家は入ってくる情報に即座に反応している。良いニュースを求めているが、少し考えると不確実性がまだ大きすぎることに気づく」と述べた。同氏は原油価格が長期間高止まりする可能性が高く、たとえ原油価格が下落してもガソリン価格の低下はそれより遅れるため、「米国経済のインフレ圧力は早期には解消されないだろう」と警告した。
なお、翌金曜日は復活祭(イースター)のため米国の金融市場は休場となるが、米労働省は3月の非農業部門雇用者数を予定通り発表する。この雇用統計はFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ見通しに大きな影響を与え得る重要指標として注目される。
投資家・ビジネス視点の考察:ベトナムへの波及
今回の米イラン情勢と原油高騰は、ベトナム経済と株式市場に複数の経路で影響を及ぼす可能性がある。
原油高とベトナム経済:ベトナムは原油の純輸出国から純輸入国へと転じており、原油価格の高騰はガソリン価格や輸送コストの上昇を通じてインフレ圧力を高める。一方で、ペトロベトナムグループ傘下のPVガス(GAS)やペトロベトナム・ドリリング(PVD)など石油・ガス関連銘柄にとっては追い風となる。
米国株のボラティリティとベトナム市場:米国市場の乱高下は、外国人投資家のリスク許容度に直接影響する。VIXが27を超える局面では、新興国・フロンティア市場からの資金引き揚げが起こりやすい。ベトナム株式市場(VN-Index)は米国市場の動きに1〜2営業日遅れて連動する傾向があり、週明けの動向に注意が必要である。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げは、中長期的には大量の資金流入をもたらす。しかし、地政学リスクの高まりによる世界的なリスクオフムードが長期化すれば、格上げ決定後の資金流入規模が当初見込みより小さくなるリスクも考慮すべきである。
日本企業への影響:ベトナムに製造拠点を持つ日本企業にとって、原油高による輸送コスト増は利益圧迫要因となる。また、ホルムズ海峡の通行リスクはベトナム向け・ベトナム発の海上物流にも波及し得る。サプライチェーンの多元化を進めてきた企業でも、エネルギーコストの上昇は避けられない状況である。
総じて、米イラン情勢の行方は今後数週間のベトナム市場を左右する最大の外部要因の一つとなる。原油関連銘柄への短期的な投資機会がある一方、インフレ加速による消費関連銘柄への下押し圧力にも目配りが必要である。
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