2月12日(木)の米国株式市場は大幅な下落に見舞われた。人工知能(AI)ブームの「負の側面」に対する投資家の懸念が一気に表面化し、テクノロジー株を中心に幅広いセクターが売り込まれた。同時に原油市場でも、中東地政学リスクの緩和と需要見通しの下方修正を背景に、価格が3%近く急落する事態となった。
主要指数は軒並み大幅安、ダウは669ドル下落
この日の終値で、ダウ工業株30種平均は669.42ドル(1.34%)安の49,451.98ドルで取引を終えた。S&P500指数は1.57%下落して6,832.76ポイント、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は2.03%安の22,597.15ポイントとなった。
ダウ平均を最も押し下げたのは、ネットワーク機器大手シスコシステムズだ。同社株は12%急落した。2026年第1四半期の業績見通しが市場予想を下回ったことが嫌気された。
AI懸念が多方面に波及──テクノロジーから不動産まで
今年に入り、米国テクノロジー企業の株式は、既存ビジネスモデルを模倣できるAIツールの登場や、利益率の低下懸念から売り圧力にさらされてきた。
金融セクターでは、モルガン・スタンレーなどがウェルスマネジメント事業へのAI影響を懸念され下落。物流セクターでもCHロビンソンが14%安と急落した。AIによる業務効率化が一部の収益源を脅かすとの見方が広がった。
さらに不動産セクターにも波及し、CBREやSLグリーン・リアルティなどが売られた。AI普及による失業率上昇がオフィス需要に悪影響を及ぼすとの懸念が背景にある。
ソフトウェア株は特に打撃が大きく、パランティアは約5%下落し、年初来では27%超の下げを記録。ソフトウェアセクターETF(IGV)は約3%下落し、直近高値からの下落率は31%に達した。
「AIはこれらの銘柄を極端なバリュエーションまで押し上げた要因だった。今やそのAIが、同じ銘柄の足かせになっている」と、フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ首席ストラテジストは指摘する。
ディフェンシブ銘柄に資金逃避、消費財は過去最高値
AI懸念が広がる中、投資家は安全資産を求めてディフェンシブ銘柄へシフトした。ウォルマートは3.8%高、コカ・コーラは0.5%高となった。S&P500の11セクター中、生活必需品とユーティリティが最も好調で、それぞれ1%超の上昇を記録。生活必需品セクター指数は過去最高値で引けた。
原油価格急落──IEAの需要見通し下方修正が重し
エネルギー市場では、ロンドン市場のブレント原油先物が1.88ドル(2.71%)安の67.52ドル/バレル、ニューヨーク市場のWTI原油先物が1.79ドル(2.77%)安の62.84ドル/バレルで取引を終えた。
国際エネルギー機関(IEA)は月次報告で、2025年の世界石油需要の伸びを日量85万バレルと予測。前月予測から8万バレル下方修正した。世界の石油供給過剰は日量373万バレル(世界需要の約4%相当)と予測され、前月とほぼ変わらない水準だ。
中東情勢では、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米後、トランプ大統領がイランの核問題について解決策を模索しているとの認識を示した。リポー・オイル・アソシエイツのアンドリュー・リポー社長は「トランプ大統領のイランとの交渉継続は地政学リスクの低減につながる」と述べた。また、米国がベネズエラの政権交代後に石油産業復興を進める期待も、供給増加要因として市場に意識されている。
今後の焦点──CPI発表とFRBの金融政策
13日(金)には1月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。ダウ・ジョーンズ調査では、総合・コアともに前月比0.3%上昇が予想されている。
ただし、12日に発表された1月雇用統計が予想を上回る堅調さを示したことから、CPIの重要度は相対的に低下しているとの見方もある。ベアードのロス・メイフィールド・ストラテジストは「雇用統計の好調さがFRBに利上げ据え置きの余地を与える。CPIが予想を上回っても、FRBがタカ派姿勢に転じるには2カ月程度のデータ蓄積が必要だろう」と分析する。
日本企業・投資家への示唆
今回の米国市場の動揺は、AIブームの「両刃の剣」としての性質を改めて浮き彫りにした。AI関連投資を進める日本企業にとっても、技術革新がもたらす競争環境の激変リスクを再認識する契機となるだろう。また、原油価格の下落は日本の輸入コスト低減につながる一方、エネルギー関連投資への慎重姿勢も求められる局面だ。
出典: Vn Economy
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