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世界の金価格が3週連続の上昇を記録し、来週も4週連続の値上がりとなる可能性が高まっている。貴金属専門メディアのKitco News(キトコ・ニュース)が伝えたアナリストの見解によれば、地政学リスクやドル安基調、各国中央銀行の金購入継続といった複合的な要因が金価格を押し上げており、上昇トレンドはまだ続くとの見方が優勢である。ベトナム国内でも金価格は世界相場と連動して推移しており、投資家の関心が再び高まっている。
世界の金価格、3週連続上昇の背景
金は古来「有事の資産」として知られるが、2025年から2026年にかけての国際情勢はまさにその格言を地で行く展開となっている。米中間の関税問題の長期化、中東・東欧における地政学的緊張の継続、そして主要国の中央銀行による戦略的な金準備の積み増しが、金価格を構造的に支える主要因である。
Kitco Newsに掲載されたアナリストのコメントでは、金はすでに3週連続で週間ベースの上昇を記録しており、テクニカル的にも強気のモメンタムが維持されていると指摘されている。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡る不透明感や、米ドル指数の軟調推移も金にとっての追い風となっている。ドルが弱含むと、ドル建てで取引される金は他通貨圏の投資家にとって割安感が増し、買いが入りやすくなるメカニズムが働くためである。
ベトナム国内の金市場への波及
ベトナムは世界的に見ても「金好き」の国民性で知られる。伝統的に金は資産保全の手段として庶民の間にも広く浸透しており、結婚式の贈答品や不動産取引の決済手段としても用いられてきた歴史がある。ベトナム国内の金価格は、国際相場に加えて国内の需給バランスやベトナム国家銀行(SBV=State Bank of Vietnam、ベトナムの中央銀行)の政策によっても影響を受ける。
近年、SBVは国内の金市場安定化を図るため、SJC金地金(ベトナム政府公認の金ブランド)の供給拡大策を断続的に実施してきた。それでもなお、世界価格の急騰局面では国内価格が国際相場を大幅に上回るプレミアムを伴うことが珍しくなく、その価格差は時にオンスあたり数百ドルに達することもある。今回の国際金価格の上昇局面でも、ベトナム国内のSJC金地金価格が再び跳ね上がる可能性は十分にある。
なぜ金が買われ続けるのか——構造的要因の整理
金価格の上昇を支える構造的要因を改めて整理すると、以下の点が挙げられる。
第一に、各国中央銀行の金購入である。世界各国の中央銀行は2022年以降、記録的なペースで金準備を増やしてきた。背景には、米ドルへの過度な依存からの分散、さらにはロシア資産凍結を目の当たりにした新興国が「制裁リスクに備えた安全資産」として金を選好するようになったことがある。中国人民銀行やインド準備銀行などが購入を続けており、この流れは2026年に入っても衰える気配がない。
第二に、地政学リスクの高止まりである。米中間の貿易摩擦は関税引き上げの応酬が断続的に続いており、グローバルサプライチェーンの再編が進む中で不確実性が増している。こうした環境は、安全資産としての金の魅力を相対的に高める。
第三に、インフレと金利動向である。FRBの金融政策見通しが揺れる中、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)が低水準にとどまる限り、利息を生まない金の保有コストは相対的に低く抑えられる。これが機関投資家にとっての金保有のインセンティブとなっている。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナム株式市場への影響:金価格の上昇は、ベトナムの金関連銘柄や宝飾品企業にとってはプラス材料となり得る。一方で、金への資金シフトが株式市場からの資金流出を招くリスクもある。特にベトナムのVN-Index(ホーチミン証券取引所の代表的株価指数)は、個人投資家の比率が高いため、金価格の急騰局面では「金に乗り換え」の動きが市場の上値を抑える要因となることがある。
銀行・金融セクターへの影響:SBVが金市場安定化のために介入を強化する場合、外貨準備の使い方や為替政策にも波及する可能性がある。ベトナムドンの対ドルレートが不安定化すれば、輸入コストの上昇を通じて企業収益に影響を与えるため、銀行セクター全体の業績見通しにも注意が必要である。
日本企業・ベトナム進出企業への示唆:金価格の上昇はインフレ期待の高まりを反映している側面がある。ベトナムで事業展開する日系製造業にとっては、原材料コストや人件費上昇圧力が続く可能性を示唆するシグナルでもある。為替ヘッジや調達戦略の見直しが重要度を増す局面といえる。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:ベトナムは2026年9月にFTSE新興市場指数への格上げが決定される見込みであり、海外機関投資家の資金流入が加速することが期待されている。金価格上昇に伴うリスクオフの世界的な潮流が強まれば、新興国市場全体への資金配分に影響を与える可能性がある。ただし、ベトナム固有の成長ストーリー(若年人口、製造業の集積、FDIの堅調な流入)は依然として健在であり、FTSE格上げという構造的な変化は金価格の短期的な変動とは別次元のポジティブ要因である。中長期的な視点では、金価格の動向に一喜一憂するよりも、ベトナム市場の構造変化に注目すべき局面であろう。
金が4週連続上昇となるかどうかは来週の国際情勢とFRB関係者の発言次第ではあるが、金を取り巻く環境が「強気」に傾いていることは間違いない。ベトナムの投資家にとっても、ポートフォリオにおける金の位置づけを改めて見直す好機である。
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