金価格が4,600ドル突破後に失速、中東情勢と原油・ドルの綱引きで揺れる市場の行方

Giá vàng yếu đi sau khi vượt 4.600 USD/oz
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3月25日のニューヨーク市場で、金スポット価格が一時4,600 USD/オンスを突破したものの、終値ではその水準を維持できず4,507.3 USD/オンスで着地した。中東の戦争を巡る外交情報が原油価格と米ドルを大きく揺さぶり、金市場もその影響を真正面から受けた格好である。長期的な強気見通しと短期的な逆風が交錯するなか、金価格は方向感を欠く展開が続いている。

目次

25日の取引概況——一時4,600ドル超も、ドル高が重荷に

ニューヨーク市場の25日(水曜日)終値で、金スポット価格は前日比32 USD高(+0.7%)の4,507.3 USD/オンスとなった。COMEX(ニューヨーク商品取引所)の4月限金先物は3.4%上昇し、4,552.3 USD/オンスで引けている。銀スポット価格は71.38 USD/オンスとほぼ横ばいであった。

注目すべきは場中の値動きである。金スポットは一時4,600 USD/オンスを上回り、銀も74 USD/オンスを突破した。しかし取引終盤にかけて米ドルが急速に買い戻されたことで、両貴金属は上昇幅を大きく削る展開となった。ドルインデックスは前日比約0.5%高の99.44ポイントで引けている。

背景にある中東情勢——トランプ発言とイランの否定

今回の激しい値動きの直接的な引き金は、中東の地政学リスクをめぐる情報の錯綜である。トランプ大統領は火曜日に「米国とイランは戦争終結に向けて交渉中だ」と宣言。この発言を受けて原油価格が軟化し、ブレント原油は水曜日の場中に一時100 USD/バレルを割り込んだ。原油安はインフレ・利上げ懸念を後退させ、金価格の押し上げ要因として機能した。

ところがロイター通信によると、イラン軍の最高位報道官であるエブラヒム・ゾルファガリ氏が国営テレビで「我々が彼ら(米国)と交渉することなど、今もこの先も絶対にない」と全面否定した。これにより原油は下げ幅を縮小してブレント原油は再び100 USD/バレル台を回復、ドルも買い戻され、金は上値を抑えられた。

週明けには金価格が4,100 USD/オンス付近まで下落し、4カ月ぶりの安値をつけていた。火曜・水曜の反発は原油安に支えられたものであり、原油と金が逆相関の関係にある短期的な構図が鮮明になっている。

長期見通し——著名アナリストは依然強気

短期的には荒い値動きが続くものの、中長期の見通しについては強気派が優勢である。

ヤルデニ・リサーチ(Yardeni Research)のエド・ヤルデニ会長はCNBCとのインタビューで、「金価格はこの10年間で10,000 USD/オンスに到達する」との見通しを維持していると語った。同氏は2026年末の目標価格を従来の6,000 USD/オンスから5,000 USD/オンスに引き下げたが、それでも現在の水準から約11%の上昇余地があるとしている。

英スタンダード・チャータード銀行(Standard Chartered)も長期的に強気の姿勢を崩さない。各国中央銀行の金購入意欲と、地政学的不透明感のなかでの資産分散ニーズが金の上昇トレンドを長期的に支えるとの見方だ。同行は今後3カ月で5,375 USD/オンスへの上昇を予想し、4,100 USD/オンスが重要なテクニカルサポート(下値支持線)として機能するとしている。

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、最近の金価格下落は原油高に伴う利上げ期待の高まりとグローバル金融市場の混乱が直接的な要因であり、歴史的なパターンと整合的だと分析。長期的には金価格が2026年中に5,400 USD/オンスに達するとの強気見通しを維持している。

SPDR Gold Trustの売り越しが示す短期的リスク

一方で気がかりなのが、世界最大の金ETFであるSPDR Gold Trust(ティッカー:GLD)の動向である。同ファンドは25日に0.6トンの金を売り越し、保有残高は1,052.4トンに減少した。ここ約1カ月間、同ファンドは顕著な売り越し基調を続けており、短期的な投資マネーの流出が金価格の上値を抑える構造的な要因となっている。

26日のアジア時間早朝(ベトナム時間午前7時頃)には、金スポット価格はニューヨーク終値から約0.25%下落し、4,496 USD/オンス付近で推移。銀は0.8%超の下落で70.8 USD/オンスとなった。ドル高基調が継続していることが引き続き重荷である。

なお、この水準の金価格をベトナム国内で換算すると、ベトコムバンク(Vietcombank)のドル売りレート(26,359ドン/USD)基準で約1億4,280万ドン/ルオン(ベトナムの金取引単位、約37.5グラム)に相当する。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の金価格の乱高下は、ベトナムの投資家や市場にも複数の経路で影響を及ぼす。

ベトナム国内金市場への波及:ベトナムは世界有数の金消費国であり、国際金価格の変動は国内のSJC金地金価格に直結する。4,100 USD台への急落局面では国内でも実需の買いが活発化したとみられるが、4,500 USDを超える水準では利益確定売りが優勢になりやすい。金価格の不安定さはベトナム国内の個人投資家心理にも影響し、株式市場への資金流入・流出の一因となり得る。

ベトナム株式市場との関連:原油価格が100 USD/バレル前後で高止まりする環境は、ベトナム上場の石油ガス関連銘柄(PVN系企業など)にとっては追い風だが、製造業やガソリン輸入コストの上昇を通じて広範な企業収益を圧迫する可能性がある。一方、ドル高・ドン安が進行すれば輸出企業には恩恵があるものの、外国人投資家の資金引き上げリスクも意識される。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、中長期的な海外資金流入の起爆剤として期待されている。ただし、世界的な金融市場のボラティリティが高い局面では、新興国全体からの資金流出が先行するリスクもある。金や原油を巡る地政学リスクの推移は、格上げ後の資金流入規模にも影響を与える重要な外部環境要因である。

日本企業・投資家への示唆:中東情勢の行方次第では、原油輸入コストの変動を通じて日本企業のベトナム工場の操業コストにも影響が及ぶ。また、金のボラティリティ拡大は円建て金価格にも波及し、ベトナム株と金を分散投資の両輪として位置づけている投資家にとってはポートフォリオ全体のリスク管理が一段と重要になる局面である。


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出典: 元記事

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