金相場が1オンスあたり5,000ドルの大台を回復して週末を迎えたが、市場関係者は「安心するには早すぎる」と警鐘を鳴らしている。木曜日に発生した突然の売り浴びせは、貴金属市場がいまだ均衡点を模索している証左だという。
週前半の上昇基調から一転、木曜日に急落
先週初め、金価格と銀価格は1月末から2月初旬にかけての大規模な売り局面を経て、上昇トレンドを取り戻したかに見えた。しかし木曜日、再び強烈な売り圧力が襲来。金は3%、銀に至っては10%以上も急落する事態となった。
金融サービス会社ペッパーストーン(Pepperstone)のアナリスト、マイケル・ブラウン氏は米キトコ・ニュースの取材に対し、「非常に異例の動きだった。金だけでなく銀についても、背後に明確なきっかけがなかっただけに、なおさら奇妙だ」と指摘。「この下落を見る限り、変動局面が終わったとは到底言えない」との見解を示した。同氏は「金価格が再び上昇トレンドに乗る前に、しばらくの調整(レンジ相場)期間が必要だ」と強調する。
米CPI鈍化で金価格は反発、FRBの利下げ期待が下支え
金曜日には一転して金価格が反発し、5,000ドルの節目を取り戻した。米国の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまったことが追い風となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年中に利下げに踏み切るとの観測が強まったためである。
とはいえ、市場では依然として「FRBが6月より前に利下げに動く可能性は低い」との見方が主流だ。年内の利下げ回数についても2回程度と見込まれている。FXTM(ForexTime)のシニアアナリスト、ルクマン・オトゥヌガ氏は「最新のインフレ指標を受け、市場は2026年に追加利下げ(年間3回目)が行われる確率を約50%と織り込み始めた。しかし金の強気派が勝利宣言するには時期尚早だ。5,000ドルは依然として重要な心理的節目であり、これを維持できれば5,050〜5,100ドルへの上昇が見込める一方、割り込めば4,900ドルまで下落するリスクがある」と分析する。
同氏は「木曜日の突然の売り浴びせは、1月の激しい急落による『傷』がまだ癒えておらず、市場心理が依然として脆弱であることを示している」と付け加えた。
米国株下落と「AI相場」への懸念も金に影響
金価格の変動には、FRBの金融政策への思惑だけでなく、米国株式市場の動向も影を落としている。ウォール街では、長らく株価上昇のエンジンとなってきた人工知能(AI)ブームが「持続不可能なバブルではないか」との懸念が急速に広がっており、株式市場は非常に神経質な状態にある。
金は伝統的に「安全資産」として、株式市場が不安定な局面でポートフォリオの価値を守る役割を果たす。しかし一方で、流動性の高い資産でもあるため、株価が急落した際に投資家が追加証拠金(マージンコール)に対応するための換金売りの対象にもなりやすい、という二面性を持つ。
中国市場の春節休暇が短期的な重しに
一部のアナリストは、今週は中国市場が旧正月(春節)の休暇で閉鎖されることから、金・銀ともに売り圧力にさらされやすいと指摘する。中国は世界有数の貴金属消費国であり、最近の価格変動局面においても中国からの需要が市場を下支えしてきた経緯がある。
独コメルツ銀行のアナリスト、バーバラ・ランブレヒト氏は「春節の週は金価格がレンジ内で推移する調整局面に入る」と予測する。米国市場も月曜日はプレジデンツ・デー(大統領の日)の祝日で休場となるが、今週は製造業指標、不動産市場データ、GDP統計など重要な米経済指標の発表が相次ぎ、金・銀相場に大きな影響を与える可能性がある。
専門家の見立て:「押し目は買い」だが短期的な方向感は不透明
FXエンパイア・ドットコムのシニアアナリスト、クリストファー・ルイス氏は、金価格は良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)に支えられているものの、短期的なトレンドは不明瞭だと分析する。
「投資家は複雑に考えすぎる必要はない。短期的な下落局面は依然として買いの好機と捉えられる。金価格はしばらくもみ合いが続く可能性があるが、このような環境下で私は売りたくはない。仮にここから200ドル程度下落すれば、新たな買い手が参入してくるだろう。金価格がこれまでの高値を再び試しに行っても、私は驚かない」とルイス氏はキトコ・ニュースに語った。
今後の見通しと日本の投資家への示唆
金価格は歴史的な高値圏にあり、FRBの金融政策、米国株式市場の動向、そして中国をはじめとする新興国の実需など、複合的な要因が絡み合いながら推移している。短期的には方向感が定まりにくい展開が予想されるが、中長期的には利下げ局面入りや地政学的リスクの高まりが金の支援材料となる可能性がある。日本の投資家にとっても、資産分散の観点から貴金属市場の動向は引き続き注視に値するだろう。
出典: Vn Economy
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