韓国発のコンビニエンスストアチェーン「GS25」がベトナムの首都ハノイに進出してから1年が経過し、若年消費者層を中心に着実な支持を獲得している。次々と新たな購買体験を提供し続ける同チェーンの戦略は、激化するベトナムのコンビニ市場において明確な存在感を示しつつある。
GS25とは何か――韓国小売大手のベトナム展開
GS25は、韓国の大手財閥GSグループ傘下のGSリテールが運営するコンビニエンスストアブランドである。韓国国内ではCU(BGFリテール)、セブンイレブンと並ぶ三大コンビニチェーンの一角を占め、約1万7,000店舗以上を展開する巨大ブランドだ。
ベトナム市場へは、現地パートナーであるソンキム・グループ(Son Kim Group)との合弁を通じて2018年にホーチミン市で第1号店をオープン。以来、南部を中心に店舗網を拡大してきた。そして2024年から2025年にかけて、いよいよ北部の中心地ハノイへの本格進出を果たした。ハノイでの展開開始から約1年が経過した現在、同チェーンは首都の消費者、とりわけ若年層から高い支持を集めていると報じられている。
若者を惹きつける戦略――「体験型」コンビニの魅力
GS25がベトナムの若い消費者を引きつけている背景には、単なる物販にとどまらない「体験型」の店舗づくりがある。韓国ドラマやK-POPの影響で韓国文化への親和性が極めて高いベトナムの若年層にとって、GS25は「本場の韓国コンビニ体験」ができる場所として特別な位置づけにある。
店内では韓国直輸入のスナック菓子、即席麺、飲料といった韓国ブランド商品が豊富に取り揃えられているほか、ベトナムの食文化に合わせたローカライズメニューも提供されている。バインミー(ベトナム式サンドイッチ)やベトナムコーヒーといった現地の定番商品と、韓国発のホットドッグやキンパ(韓国式海苔巻き)などが同じ棚に並ぶ光景は、まさに両国の食文化の融合を象徴している。
さらに、SNS映えを意識した店舗デザインや、定期的に展開されるコラボレーション企画、限定商品の投入など、常に「新しさ」を演出する姿勢が、トレンドに敏感な若い消費者の来店動機を生み出し続けている。
激戦区ハノイ――群雄割拠のコンビニ市場
GS25がハノイで成果を上げている一方、ベトナムのコンビニ市場全体は激しい競争のただ中にある。現在、ベトナム国内で存在感を持つ主要コンビニチェーンとしては、以下のブランドが挙げられる。
まず、ベトナム最大手のコンビニチェーンであるウィンマート・プラス(WinMart+)。ベトナム最大のコングロマリットであるビングループ(Vingroup)傘下のマサングループ(Masan Group)が運営し、全国で数千店舗規模を誇る。次に、日系のミニストップやファミリーマートがホーチミン市を中心に展開しており、日本品質のサービスや日本発の商品ラインナップで差別化を図っている。また、タイ資本のセブンイレブンも2017年にベトナムに上陸し、じわじわと店舗数を増やしている。
ハノイは人口約850万人(都市圏を含めると1,000万人超)を抱えるベトナム第二の経済都市であり、近年は所得水準の上昇と都市化の進展により、コンビニ業態への需要が急速に高まっている。かつては伝統的な個人商店や路上の屋台文化が根強かったハノイだが、若い世代を中心にライフスタイルの変化が進み、「清潔で便利で、ちょっとおしゃれな買い物空間」としてのコンビニが日常に浸透しつつある。
日本企業への示唆――ベトナム小売市場の可能性とリスク
GS25のハノイでの成功は、日本の小売・流通業界にとっても示唆に富む事例である。ベトナムは人口約1億人、平均年齢が30歳前後という極めて若い人口構成を持ち、中間層の拡大に伴い消費市場としてのポテンシャルは計り知れない。
一方で、ベトナム市場特有の課題も存在する。不動産コストの上昇、複雑な規制環境、そして地場の小売プレーヤーとの競合は、外資系企業にとって常にリスク要因となる。実際、日系コンビニチェーンの中にはベトナムでの収益化に苦戦しているブランドもあり、「進出すれば自動的に成功する」という単純な構図ではない。
GS25が短期間で若年層の支持を得た要因は、韓流文化という強力なソフトパワーの活用、現地パートナーとの緊密な協業、そしてローカライズと本国ブランドの「本物感」を両立させた商品戦略にある。日本企業がベトナム市場でさらなる成長を目指すうえでも、こうした文化的資産の活用と現地適応の巧みなバランスは、大いに参考になるだろう。
ベトナムのコンビニ市場は今後も拡大が続くと見られており、GS25の次なる一手、そして各チェーンの競争戦略から目が離せない状況が続きそうだ。
出典: VN Express
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