サムスン、キヤノンなど大手外資系企業が悲鳴──ベトナム新通関規制で輸出加工企業に「手続き地獄」発生

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ベトナム財務省が発行した通達121/2025/TT-BTCが2026年2月1日から施行されているが、輸出加工企業(EPE)から通関手続きの煩雑化に対する不満が噴出している。サムスン・ベトナム、キヤノン・ベトナム、パナソニック・ベトナム、フーシャン・テクノロジー・ベトナムといった大手製造拠点が、生産効率への悪影響を訴えている。

目次

新通達の概要と輸出加工企業の特殊性

通達121/2025/TT-BTCは、通関手続き、税関検査・監視、輸出入税、および輸出入品に対する税務管理に関する規定を大幅に改正したものである。税関管理の近代化を目指す重要な一歩として位置付けられているが、実際の運用段階で多くの「ボトルネック」が露呈した。

輸出加工企業は、その性質上、工場への物品の搬入・搬出が頻繁に発生する。修理、検査、再梱包といった作業は数時間から数日で完了することも多い。こうした短期間の物品移動に対して、毎回通関手続きを義務付けられれば、コスト増加と生産スケジュールの遅延という二重の打撃を受けることになる。

企業が問題視する「柔軟性の喪失」

特に問題となっているのは、従来認められていた「申告の選択制」が廃止された点である。以前は、修理・保証・検査・分類・再梱包のために輸出加工企業に出入りする物品について、税関申告書を作成するかどうかを企業側が選択できた。この柔軟な仕組みが新通達では削除されたのである。

また、エネルギーラベル貼付など専門検査が必要な物品については、管轄機関が輸出加工企業向けの対応申告書を発行するかどうかの判断に企業側が困惑している状況も報告されている。

税関当局の回答と例外規定

こうした懸念に対し、税関当局は現行法上、以下のケースでは輸出加工企業とその取引先が共同で税関申告書を提出するか否かを選択できると説明している。

(i)政令35/2022/NĐ-CPに定められた活動に供する物品、(ii)検査・検定・試験・分類または研究開発に供する物品、(iii)同一輸出加工企業内の工場間または輸出加工企業とその従属支店間で移動する物品。

税関申告書を提出しない選択をした場合、企業は物品の搬入・搬出前に税関当局へ書面で通知し、請求書・伝票制度を完全に遵守する義務を負う。また、取引先が優先企業で申告義務がある場合は、通達121/2025/TT-BTC第86条第6項に基づき手続きが行われる。

内部移動と使用目的変更の扱い

企業側からは、輸出加工企業内部での物品移動に関する申告選択規定が削除された点についても疑問が呈されている。特に、委託加工と輸出生産を同時に行う企業が、輸入原材料を両形態間で移動させる際、「在地輸出入」手続きが必要になるのかという問題である。

税関当局はこの点について、非課税対象である輸出加工企業の輸入品について、委託加工と輸出生産の間で使用目的を変更する場合、目的変更手続きは不要であると明確にした。

証憑書類の取り扱いに関する混乱

物品や工具・器具を国内市場に出して修理・保証を行う際の証憑書類の特定についても、企業から困難の声が上がっている。税関当局によれば、経済活動の本質と請求書・証憑に関する法規定に応じて、出庫伝票、内部輸送兼出庫伝票、売上請求書、商業送り状、付加価値税請求書など、各種書類を柔軟に使用できるとのことである。

売買活動が発生しないため付加価値税請求書や内部輸送兼出庫伝票がない場合に商業送り状で輸出申告できるのか、また輸出加工企業と国内企業間の委託加工・売買・賃貸借活動で商業送り状を提出できるのかといった疑問も残されている。

経過措置と今後の課題

注目すべき点として、税関当局は2026年2月1日以前に輸出加工企業と取引先が共同で通関手続きを行わない選択をしていた場合、通達121施行後も物品の返却時に同じ仕組みを継続適用できると表明した。これにより遡及的な手続き発生を回避し、生産活動の安定性を確保する狙いがある。

本通達は、事前検査から事後検査へ、そしてデータに基づくリスク管理への移行という税関管理近代化の重要なステップとして期待されている。しかし、輸出加工企業の特殊な状況、特に短期間の取引については、管理要件と企業の運営ニーズの調和を図るため、引き続き明確化が必要とされている。

日本企業への影響と考察

ベトナムには多くの日系製造業が進出しており、輸出加工区で操業する企業も少なくない。今回の規制変更は、サプライチェーンの効率性に直結する問題である。特に「ジャストインタイム」方式を採用する製造業にとって、数時間単位の部品移動に毎回通関手続きが必要となれば、深刻な生産遅延リスクとなり得る。

ベトナム政府が税関近代化を推進する姿勢自体は評価できるものの、現場の実態に即した運用細則の整備が急務といえる。日系企業としては、現地の日本商工会議所などを通じた建設的な対話を継続し、実務上の問題点を当局に伝えていくことが重要となるだろう。

出典: Vn Economy

いかがでしたでしょうか。今回のベトナム輸出加工企業の通関規制問題について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

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