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ベトナムの上場企業10社超が、銀行の定期預金金利を上回る水準で現金配当を実施している。2025年に入り銀行金利が大幅に上昇したにもかかわらず、それを凌駕する配当利回りを提示する企業群が存在することは、ベトナム株式市場における「高配当投資」の魅力を改めて浮き彫りにしている。
銀行金利上昇局についても揺るがない高配当企業群
ベトナムでは2025年に入り、国家銀行(中央銀行)の政策調整や市場環境の変化を背景に、銀行の預金金利が顕著に上昇している。各商業銀行が提示する12カ月物定期預金の金利は年5〜6%台に達しており、安全資産としての預金の魅力が高まっている状況である。
しかしながら、こうした金利上昇局面においてもなお、それを超える現金配当利回りを維持する上場企業が10社以上存在する。これらの企業は安定した利益基盤と潤沢なキャッシュフローを持ち、株主還元を重視する経営方針を貫いている点で共通している。
高配当を可能にする業種と企業の特徴
ベトナム株式市場において高い現金配当を実施できる企業には、いくつかの共通した特徴がある。まず、電力・水道などのインフラ関連企業は、安定的な収益構造を持ち、毎期の利益から高い比率で配当を行う傾向がある。次に、消費財やゴム・プラスチックなどの製造業セクターにおいても、国内需要に支えられた堅調な業績を背景に高配当を継続する企業が見られる。
ベトナムの上場企業の配当は、現金配当(tiền mặt)と株式配当(cổ phiếu)の2種類があるが、今回注目されているのは現金配当である。株式配当は発行株数の増加により1株あたりの価値が希薄化するリスクがあるのに対し、現金配当は投資家に直接的なリターンをもたらすため、特にインカムゲインを重視する投資家にとって魅力が大きい。
なぜ今、高配当銘柄が注目されるのか
ベトナム株式市場(VN-Index)は2025年前半、米中貿易摩擦の再燃やグローバルな景気減速懸念を受けて、不安定な値動きが続いた。こうした局面では、キャピタルゲイン(値上がり益)を狙う投資戦略よりも、安定的な配当収入を確保するインカム型投資が相対的に有利となる。
さらに、ベトナム国内の個人投資家にとっては、銀行預金との比較が最も身近な投資判断基準となっている。「銀行に預けるよりも株を持っていた方が利回りが高い」という事実は、預金からの資金シフトを促す強力なメッセージとなる。実際に、ホーチミン証券取引所(HOSE)における個人投資家の売買代金比率は依然として7割前後を占めており、こうした層への影響は無視できない。
ベトナムの配当課税と実質利回り
ベトナムにおける配当所得への課税も、日本の投資家にとっては重要な確認事項である。ベトナムでは、個人投資家が受け取る現金配当に対して5%の個人所得税(thuế thu nhập cá nhân)が源泉徴収される。したがって、表面上の配当利回りが仮に8%であっても、税引き後の実質利回りは7.6%程度となる。それでも銀行預金金利を大きく上回る水準であることに変わりはない。
一方、銀行預金については、ベトナム国内居住者の場合、預金利息に対する課税は原則として非課税(5,000万ドン以下の利息など一定条件下)となっているため、税制面での比較も考慮する必要がある。ただし、高額預金の場合は課税対象となるケースもあり、単純な利回り比較だけでは判断できない側面もある。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のニュースは、ベトナム株式市場の成熟度を示す一つの指標として捉えることができる。上場企業が株主還元を強化し、銀行預金を上回る配当を安定的に実施できるということは、企業のガバナンスや財務健全性が一定水準に達していることの証左である。
ベトナム株式市場への影響:高配当銘柄への注目が集まることで、ディフェンシブ銘柄を中心とした資金流入が期待される。特にVN-Indexが調整局面にある現在、高配当銘柄は下値支持の役割を果たす可能性がある。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外機関投資家からの資金流入が大幅に増加する。その際、安定的な配当を実施する企業は、長期保有を前提とする海外ファンドにとって特に魅力的な投資対象となるだろう。格上げ前の現段階で高配当銘柄を仕込んでおくことは、中長期的な投資戦略として合理的である。
日本企業・ベトナム進出企業への示唆:ベトナムで事業展開する日本企業にとっても、現地パートナー企業や取引先の財務健全性を測る指標として、配当政策は有用な参考情報となる。安定配当を継続できる企業は、一般的に経営基盤が強固であり、サプライチェーンの安定性という観点からもプラスに評価できる。
ベトナム経済全体のトレンド:ベトナム政府は2025年のGDP成長率目標を8%以上に設定しており、内需拡大と輸出回復の両輪で経済成長を推進している。こうしたマクロ環境の中で高配当を維持できる企業は、経済成長の恩恵を着実に享受している「勝ち組」企業群と位置づけることができる。インフレや金利動向を注視しつつ、配当利回りと企業の成長性を総合的に評価する姿勢が、ベトナム株投資においてはますます重要となるだろう。
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出典: 元記事












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