ベトナム政府が2026年の経済成長率目標を10%に設定する中、同国の有力商業銀行が積極的な信用拡大戦略を打ち出している。軍系銀行として知られるMBバンク(Ngân hàng TMCP Quân đội、正式名称:ベトナム軍隊商業株式銀行)は、2026年の信用成長率を35%と見込んでおり、業界全体の目標水準15%を大幅に上回る計画だ。
中央銀行は不動産向け融資を厳格管理へ
ベトナム国家銀行(中央銀行)は2026年、業界全体の信用成長率を約15%に誘導する方針である。注目すべきは、不動産分野への信用成長を業界平均を超えないよう厳格に管理するという新たな規制方針だ。これは2026年の金融政策運営における重要な転換点となる。
2月2日に開催された投資家向け説明会で、MBバンクのルー・チュン・タイ取締役会長は、この方針について「慎重かつ根拠のあるアプローチであり、2026年の監督当局の運営姿勢を明確に反映している」と評価した。
資本市場の活性化に期待
タイ会長は、社債市場の急速な回復と株式市場における新規IPO案件の増加に期待を寄せている。これらが活性化すれば、経済への資金供給が多様化し、銀行融資への依存度が軽減されるとの見方だ。
同会長は中長期的な展望についても言及し、「ベトナム経済が年7%以上の成長を維持し、一人当たり所得が5,000ドルを超えれば、今後5年間でベトナムは金融資産蓄積の最も重要な段階に入る」と述べた。これは銀行業界にとって事業拡大の大きな機会となる。
MBバンクの2026年経営計画
MBバンクが35%という高い信用成長率を見込む背景には、経営不振に陥った金融機関の再編に参加していることがある。これにより、中央銀行から通常より高い信用成長枠が付与されている。2026年の利益成長率は約15%を見込み、不良債権比率(NPL)はグループ全体で約1.5%、銀行単体では約1%程度に抑制する計画だ。
個人消費と小売分野が引き続き拡大する中、MBバンクはリテール向け融資を中核事業と位置づけている。総融資残高に占めるリテール・個人向けローンの比率は、毎年1.5〜2ポイントずつ引き上げていく方針である。
また、タイ会長は、MBバンクが専門知識を持つ分野での事業活動への融資に注力すると表明。特に長期的な競争優位性を持つベトナム企業への支援を重視し、輸出入関連の融資も引き続き強化していく。
不動産融資は「実需」プロジェクトに厳選
不動産分野への融資規制が強化される2026年に向け、MBバンクは投資案件の選別基準を策定した。実需に基づくプロジェクト、特に大都市における不動産価格を国民の所得水準に見合った適正な水準に誘導するという政府目標に沿った案件に重点を置く方針だ。
金利環境は安定推移の見通し
2025年末時点で預金金利はやや上昇傾向にある一方、貸出金利は大きな変動がない状況である。タイ会長は、各業種の特性に応じた適正な貸出金利の維持が引き続き優先されると予測。リスクの高い業種には低金利を適用できないものの、全体として経済の金利水準は資金調達と投資・消費刺激のバランスを取る必要があるとの見解を示した。
MBバンクとしては、2026年の預金・貸出金利は安定的に推移すると見込んでおり、純金利マージン(NIM)の拡大は目標としていない。代わりに、事業規模の拡大によって収益成長を実現する戦略である。
日本企業への示唆
ベトナムの銀行セクターが積極的な信用拡大に動く一方で、不動産向け融資の規制強化という方針は、同国で事業展開する日本企業にも影響を与える可能性がある。不動産開発に関わる日系企業は、現地パートナーの資金調達環境の変化に注意が必要だ。一方、製造業や輸出入関連事業を展開する企業にとっては、MBバンクのような積極的な融資姿勢は追い風となりうる。
出典: Vn Economy
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