MENU
24時間以内で読まれているベトナムニュース

ベトナムで稲わらとCO₂が「売れる資源」に—循環経済がもたらす新ビジネスの全貌

Khi rơm rạ và CO₂ đều có thể bán được
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
ハノイ在住13年の現地投資家による、より深い企業分析・投資戦略は👉 メンバーシップで公開中

かつて収穫のたびに焼却処分されていた稲わら(rơm rạ)が、いまやベトナムで商人が買い付けに来る「商品」へと変貌している。さらに、工場から排出されるCO₂も大気中に放出せず、製品として加工・販売される時代が到来した。ベトナムが国を挙げて推進する循環経済(サーキュラーエコノミー)の具体的な成功事例として、国内外で注目を集めている。

目次

稲わら——「厄介もの」から「換金作物の副産物」へ

ベトナムは世界有数のコメ輸出国であり、メコンデルタ(南部の大規模穀倉地帯)や紅河デルタ(北部ハノイ周辺)を中心に、年間4,000万トン以上のコメを生産している。コメの収穫後に大量に発生する稲わらは、従来は田んぼでそのまま野焼きされるのが一般的であった。この野焼きは深刻な大気汚染の原因となり、特にハノイやホーチミン市周辺では秋の収穫期になるとPM2.5濃度が急上昇し、住民の健康被害や交通への影響が問題視されてきた。

しかし近年、状況は大きく変わりつつある。稲わらはキノコ栽培の培地、家畜の飼料、有機肥料の原料、さらにはバイオマス燃料のペレットとしての需要が急速に拡大しており、収穫後の田んぼには商人(thương lái)が直接買い付けに訪れるようになった。農家にとっては、廃棄物処理のコストがゼロになるどころか、副収入を得られるようになったのである。

ベトナム政府も2022年以降、稲わらの野焼きを段階的に禁止する方針を打ち出しており、ハノイ市では条例レベルでの規制が既に施行されている。こうした規制の強化が、稲わらの商業利用を後押しする形となっている。

CO₂も「排出物」から「製品原料」へ転換

もう一つの注目すべき動きが、工場で発生するCO₂の有効活用である。従来、セメント工場や化学プラント、エタノール製造工場などから排出されるCO₂は、そのまま大気中に放出されていた。しかし現在、ベトナム国内では、排出されるCO₂を回収・精製し、食品用炭酸ガス(炭酸飲料やビールの製造に使用)、ドライアイス、溶接用ガス、さらには農業用ハウスへのCO₂供給といった形で商品化する取り組みが広がっている。

この動きは、ベトナムが2021年のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で宣言した「2050年までにカーボンニュートラル達成」という目標とも整合する。排出権取引(カーボンクレジット)の制度設計が進む中、CO₂を削減するだけでなく「資源として活用する」アプローチは、企業にとって環境規制への適応と収益確保を同時に実現する手段として、戦略的な重要性を増している。

ベトナムの循環経済政策——制度面の追い風

ベトナムでは2020年に改正環境保護法が成立し、2022年1月に施行された。同法は循環経済の推進を明確に位置づけており、廃棄物の減量・再利用・リサイクルに関する企業の責任を強化している。さらに、拡大生産者責任(EPR)制度の導入により、製造業者は自社製品のライフサイクル全体にわたる環境負荷への対応を求められるようになった。

加えて、ベトナム政府は2024年にカーボンクレジット取引所の試験運用を開始する計画を発表しており、2028年の本格稼働を目指している。こうした制度インフラの整備は、稲わらやCO₂のような「かつての廃棄物」に市場価値を与える制度的な裏付けとなっている。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースは、ベトナムにおける循環経済・グリーンビジネスの実態が着実に進展していることを示すものであり、投資家やビジネスパーソンにとって以下の点で注目に値する。

1. 関連銘柄への間接的な追い風:バイオマス発電や有機肥料、産業ガス関連の企業は、稲わらやCO₂の資源化トレンドの恩恵を受ける可能性がある。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する産業ガス関連や、農業資材セクターの銘柄は中長期的な成長テーマとして注視すべきである。

2. 日本企業との連携機会:日本はバイオマス利活用やCCUS(CO₂回収・利用・貯留)技術で世界的な知見を有しており、ベトナム市場への技術移転・共同事業の機会は大きい。JICAや日本の商社がすでに関連プロジェクトに関与しているケースもあり、今後さらに拡大が見込まれる。

3. ESG・サステナビリティ投資の文脈:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げが実現すれば、ESG基準を重視するグローバル機関投資家の資金流入が加速する。その際、循環経済やカーボンニュートラルに積極的に取り組む企業は、ESGスコアの面で優位に立つ可能性が高い。「稲わらを売り、CO₂を製品化する」という事例は、ベトナム経済全体がグリーントランジションに本格的に舵を切りつつあることを象徴しており、投資先としてのベトナムの「質的な変化」を裏付けるものといえる。

4. カーボンクレジット市場の形成:ベトナムのカーボンクレジット取引所が本格稼働すれば、CO₂削減・活用の取り組みは直接的な経済的リターンに結びつく。農業分野での稲わら焼却削減も、将来的にはクレジット化される可能性があり、農業関連企業やアグリテック企業にとっての新たな収益源となりうる。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

📊 ベトナム経済研究会メンバーシップ
ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
✅ 個別銘柄の詳細分析 ✅ FTSE格上げ関連速報 ✅ 現地だからわかるリアルタイム情報
👉 月額980円でメンバーシップに参加する

出典: 元記事

noteメンバーシップのご案内

ベトテク太郎noteメンバーシップ
Khi rơm rạ và CO₂ đều có thể bán được

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次