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ベトナム系アメリカ人の金融専門家・投資コンサルタントであるサム・バン(Sam Van)氏が、長年の海外生活を経てベトナムに帰国し、母国の劇的な変貌に驚嘆したという。ベトナム経済誌「VnEconomy」のインタビューに応じた同氏は、「ドイモイ(刷新)の本質は政策文書にあるのではなく、人にある」と断言。著書『40年 ドイモイから今日まで』の出版を機に、ベトナム経済の40年にわたる跳躍の原動力を語った。
「生存」から「競争と主導」へ——サム・バン氏が見たベトナムの変貌
サム・バン氏は米国で長年金融・投資コンサルティングの分野で活躍してきた越僑(ベトナム系海外在住者、Việt kiều)の一人である。久しぶりに帰国した同氏の目に映ったのは、かつての「生き延びることが最優先」だった国が、国際競争の舞台で主導的な役割を果たそうとしている姿だった。
ベトナムは1986年にドイモイ(Đổi Mới)政策を開始し、計画経済から社会主義志向の市場経済へと大きく舵を切った。以来約40年、GDPは飛躍的に拡大し、世界銀行の分類では低所得国から中所得国へと移行。サムスン、インテル、LGなど世界的な製造業の集積地となり、FDI(外国直接投資)の受入額はASEAN域内でもトップクラスを維持している。
「リスクに賭ける人々」が経済跳躍を支えた
サム・バン氏がインタビューで最も強調したのは、ベトナム経済の成功を支えたのは政策の文言そのものではなく、リスクを恐れず挑戦した「人」の存在だという点である。同氏は「過去40年の経済的飛躍の背後には、リスクに『賭ける』ことを厭わなかった人々がいた」と述べた。
これは単に起業家精神にとどまらず、政策立案者から地方の農民、中小企業経営者に至るまで、変化を受け入れ自ら行動を起こした無数の個人を指している。ドイモイ初期には、国営企業の枠組みの中で独自に市場原理を取り入れた工場長や、私的な商取引を始めた農家など、制度が追いつく前に現場で変革を起こした人々の存在が広く知られている。
越僑の視点が持つ意味
ベトナムには推定約600万人の越僑が世界各地に暮らしており、彼らからの送金額は年間約130億〜150億USDに達するとされる(ベトナム中央銀行推計)。サム・バン氏のように海外で専門知識を蓄積した越僑が母国の発展を客観的に評価し、さらにその知見を著書やメディアを通じて発信することは、ベトナムの国際的な信認向上にも寄与する。
同氏の著書『40年 ドイモイから今日まで』は、外部の視点と内部の文化的理解を兼ね備えた稀有な分析として注目されている。金融・投資の専門家としての経歴を持つ同氏の言葉は、ベトナム市場への投資を検討する海外投資家にとっても示唆に富む。
投資家・ビジネス視点の考察
サム・バン氏の指摘は、ベトナム投資を考える上で本質的な論点を提示している。すなわち、ベトナムの競争力の源泉は制度設計だけでなく、変化への適応力と挑戦を厭わない人的資本にあるという点である。
この「人の力」は、ベトナム株式市場においても重要なファクターとなる。2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、数十億USD規模のパッシブ資金流入が期待されるが、その前提として市場制度の整備だけでなく、企業経営者のガバナンス意識や人材の質が問われることになる。サム・バン氏の「イノベーションは人にある」という視座は、まさにこの点と符合する。
日本企業にとっても、ベトナム進出における最大の魅力は安価な労働力から「質の高い人材とその挑戦意欲」へとシフトしつつある。製造業のみならず、IT・フィンテック分野での日越協業が加速する中、ベトナムの人的資本の厚みは中長期的な投資判断において見逃せない要素である。
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出典: 元記事












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